日本国憲法と地域協働社会(代替社会)

 

森本 優(2004/03/03)

 


 同盟国としての海外派兵は、諸国民の利益を守るための現実的選択だという。

 しかしその裏には、世界中に張り巡らされた権益と物資輸送ルートを守ろうとする、巨大化した資本の力が存在する。

 日本の政治も、抽象的な「統一的国家意志」(即ち大企業や多国籍企業の経済的・政治的権力)によって操られ、それを前提としたシステムに組み込まれている国民およびその家族にとっても、海外派兵は、自らの生活を守るための現実的な選択とされる。

 しかしちょっと待ってほしい。

 海外派兵を阻止し、現憲法を守る生き方があるのではないか。巨大な資本力が支配するグローバルな自由市場経済の中で、餌付けされ、自らの生を委ねてしまう生き方ではなく、自らが誇りを持ち、地域内の人々と、更には全世界の人々と、協働して必要なものやエネルギーを、そして政治そのものをも、各地域内で自給してゆく道が。

 そのような場では、世界各地に利権の網を被せる必要もなく、また海外派兵を無理に推し進める必要もない。また、そのような場では、食の安全・基礎食糧の自給率・地球環境、そして雇用等々の諸問題も、次第に解決する方向に向かうはずだ。

 そして、この途方もない力を持つに至ったグローバルな自由市場経済による破局に、もしブレーキをかけ得るとするなら、それは地球全体が完全に管理・統制された全体主義社会になるか、若しくは、地球上の住人が、各々の心の内に自ら足るを知り、自然の恵みに感謝することのできる自給生活者としての価値・楽しみを育ててゆくことができるかの、どちらかの場合だけだろう。

 当然、宇宙の理法(タオ)に適うのは後者のはず。

 そして、世界各地に地域協働社会が形作られ、互いに尊重し合う関係が築かれるなら、正に現憲法が予定している世界の到来となる。

 ところで、そのような代替社会を準備してゆくためには、政治的な政策実現能力が不可欠。

 しかし、この抽象的な「統一的国家意志」によって党や政府が運営されているのが現実であってみれば、党の判断と、一般国民、更には党を支える個々の党員の思いとの間にさえ、埋めることのできない程の深い溝が現在生じてきているはず。即ち、実質的無党派層が全国民の過半数を遥かに超える事態となってきている。

 その意味で、政治を自らの手に取り戻そうという政治の自給運動は、最も急がれる課題の一つとなっている。

 そこで、全国同時進行の形で、現憲法を支える実体としての地域協働社会作りを進めると同時に、それに必要な政策を各地で煮詰めた上で、その政策実現に協力して頂ける議員・候補者を掘り起こして育て、個人レベルで自覚的に支援してゆくことを提案したい。

 それと平行して、情報網を全国レベル・世界レベルで構築し、政界再編成が大きく迫られる時点で、環境保護のみを主眼としたヨーロッパ風「みどりの党」ではなく、代替社会作り運動を母体とした「日本みどりの党」(仮)を立ち上げる準備も、前もって周到にやっておくことも提案したい。

 地域協働社会作りの中で、自らの土台を打ち据え、そこを拠点としながらも、共通の重要事項に関しては、全国・全世界の各拠点間で相互に連携行動をとってゆける程にまで、運動の質を高めてゆこう。

 そして、上記のようなやり方で、無党派層の同志諸君(既存の政党に見切りをつけようとしている党員・議員も含む)と共に、嬉々として政治を自らの手に取り戻してゆこう。

 現日本国憲法は、私たちに対して、地域協働社会(代替社会)をこの地球上に作り出せるか、常に問いかけている。

 

以上


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