日 本 政 治 の 立 て 直 し 策

 

森本 優(2004/01/19)


 前回、「地域協働社会作りへのお誘い」で、日本経済の立て直し策を提案させていただきましたが、今回は、その経済立て直しの為の地域協働社会作りの過程で、どのようにして政治を自らの手に取り戻し、政治の自給を達成するかを考えてみたいと思います。

 特に、無党派層が過半数に至っている現在の日本の状況においては、政治の自給は差し迫った問題でもあると言えます。(「1998年の年頭に当たって」の四参照)

 

 現在日本の政治の牽引力となっている主体は、個々の国民ではなく、大企業や多国籍企業の経済力です。そのような場では、企業の利益追求とグローバルな自由市場経済が最優先され、個々の生活者の安全・利益は、二の次三の次になってしまいます。そして地域の政治・経済は、後退を余儀なくされてしまいます。

 確かに、代議士は国民一人一人が投票して選ぶ建前にはなっていますが、国政レベルでは、個々の国民や選挙母体に拘束されることはなく、抽象的な統一的国家意志(即ち大企業や多国籍企業の経済的権力)に従って、党や政府が運営されることになります。(金・名誉・権威等によって、党や政府を意のままに操ることはいとも容易いことでしょう。そのため、党の判断と、それを支える個々の党員の思いとの間には、大きな溝が現在生じてきています。)

 ですから、多数決と党派の論理が支配する国政においては、農民連合や全国農街道五十三次ネットワーク等々の農民・市民運動で参院議員を一人二人送り込んだところで、ほとんど現実的な力にはなりません。労多くて益無しとさえ言えるのではないでしょうか。

 それより、生活者と距離の近い地域レベルでの選挙にその力を振り向けた方が、国政を変えるという意味からも、よほど合理的かつ効率的であると考えます。

 すなわち、全国同時進行的に各地域レベルで政治が変わり出す時、自然に国政レベルでも変わらざるをえなくなるはずだからです。それも、時代の要請により、そのような劇的な変化がほんの数年の内に一挙に現れてくるものと考えています。

 そのためには、全国同時進行の形で、地域協働社会作りを進めると同時に、その地域協働社会作りのために必要な政策を各地域で煮詰めた上で、その政策実現に協力して頂ける地方議員を掘り起こして育て、支援してゆくようにします。

 そして地域協働社会作りのための全国レベルでの政治的ネットワークを準備し、国政レベルでの地殻変動が激しくなり、政界再編成が迫られる時点で、環境保護のみを主眼としたヨーロッパ風「みどりの党」ではなく、地域協働社会作り即ち代替社会作りの運動を母体とした「日本みどりの党」(仮)を結成することも、前もって考えておいて良いのではないでしょうか。

 とりあえず、地域レベルでは、超党派での、党派の枠に限定されない支援体制作りが必要だと思います。

 まず各地域の特色を活かした地域協働社会作りのための政策を具体的に煮詰めた上で、協働派議員を掘り起こし、支援体制を整えるようにします。

 次に、各地域レベルでの事業活動や農民・市民運動を互いに紹介し合い、経済的のみならず政治的にも協力し合えるための情報網(インターネット網)の構築をしておく必要があります。

 

 以下では、事業活動のなかで、生活者のみでなく、地方議員・役人とも協力し合って地域協働社会を準備する場合の具体的な例を挙げてみます。

 まず農の現場から。

 ある地域の生産者グループが、有機の里として地域起こしを仕掛けようとする場合、環境保全型農業・地産地消型学校給食・堆肥自給システム・自給市場・地場産農産物を使った加工品・レストランの経営等々、地域で出来そうなことを煮詰め、地域の生産者・消費者、議員・役場をも巻き込み、話を進めることになりますが、その過程で、次世代の地域作りに必要な人材を掘り起こして、協働派の議員として地域政治の舞台に送り出し、支援するシステムを自覚的に準備する必要があります。

 次に住の現場から。

 ソーラーパネルを使った共同発電所を保育園・幼稚園・学校・公共施設等に設置する場合、その過程で話し合いの場・学習の場・交流の場等を設けて、その施設を核として協働派の応援団を組織して、そのような応援団を共同発電所が設置された各地点を中心に幾つも作り出します。それと同時に、協働派の政策実現に尽力して頂けそうな人材を掘り起こして、協働派の議員として育成し支援していくシステムも自覚的に準備してゆきます。当然、役場との協力関係も不可欠です。

 また、協働派応援団の中から動けそうな人材を掘り起こし、その人材を支援して、地域協働社会作りに必要な他の事業も立ち上げてゆくようにします。

 

 以上、地域協働社会作りにおいて、政治の自給も同時に目指し、無党派層の皆様(既存の所属政党に見切りをつけようとしている党員・議員も含む)が、嬉々として政治を自らの手に取り戻してゆかれることをこの場で提案致します。

 


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