いのちを核に、子供たちを核に、親たち・大人たちは何をなすべきか、何ができるか

 

森本 優(02/4/14)


 アフガニスタン・パレスチナ情勢の混迷で始まった今世紀。紛争の火種が全世界に放たれ、今までに蓄えられてきた歪みが一挙に表面化しようとしています。

 国家・民族・宗教等に起因すると思われる紛争も、元を質せば大国の利権が絡んでいたからこそ発生し拡大したとも言えます。

 そのような大国・先進国主導型の政治・経済システム(権力装置)の中で、我々先進国の大半の生活者は、第三世界の人達の窮状に目を瞑り、家畜のごとく日々の生活に追われ続けているのが現状です。

 しかし、第三世界に赴いて、デモ行進するのも大部分の生活者にとっては非現実的とも言えます。

 私たちは、現に己が立っているこの場から、回りを変え、世界を変えてゆかねばなりません。第三世界の窮民が大国に対して自爆テロで挑むより、我々先進国の人間が、自国の政治・経済システムを変えてゆく方が、第三世界の人達を救済する上で、はるかに効果的で理に適ったものであると言えるのです。

 

 では、どの様にしてこの国を変えていくのか。

 

 まず、生活者協同組合運動の再構築を図るべきだと思います。

 即ち、親そして大人たちは、子供たち、そしてこれから生まれてくるいのちに対して責任を負わなければなりません。

 安全な物であっても、物の供給のレベルに止まっているのであれば、スーパーやデパート等の流通資本と何ら変わらず、アメリカでのように、生協運動は必ず衰退していくことでしょう。

 運動の視点を深化させ、トータルな戦略を練り直して、運動を再構築すべき秋です。

 「いのちを核に、子供たちを核に、親たち・大人たちは何をなすべきか、何ができるか」、生産者・消費者の垣根を取り払い、様々な交流の場を作り出していく必要があると思います。

 その一環として、子供たちがいのちの交流を通して、原体験を持ってもらうことも大切になってきます。

 即ち、農林漁業に対する理解を育み、人間性を回復する機会を提供するようにします。そのような原体験があれば、様々な形で農に対する関わり合いを将来においても求めることになるでしょうし、応援団となり、後継者ともなります。そして、そのような原体験を持った若者たちによって、新しい価値観に基づいた新しい時代が切り拓かれることになるでしょう。第三世界の人達との共感は、そのような者たちによってもたらされることでしょう。

 以上のように、生協運動は、安全で良質な物をより安く購入するといったレベルから、いのちの革命を通して、体制内からの変革と同時に、第三世界との連携を進めるべき段階にあると考えます。

 

 以上で終わります。

 

 

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