地球温暖化防止対策を切り口とした行財政改革の提案

 

一厘の仕組(日本編)

森本 優(2005/07/01)


 地球温暖化防止対策の推進を切り口として、行財政改革並びに住民参加型地方自治の進展、更には地域経済の活性化を図る政策を、以下のとおり提案します。

 

 地球温暖化防止対策の推進を、住民・議会・長の責任・責務とし、その対策に関する各主体間の効率的・合理的な協働作業を確保するために、各地方公共団体の条例という形でそのための大まかな法的枠組みを整備します。

 その場合、先進的な民間事業体・NPO法人・ボランティアグループ・地域協議会等に、各温暖化防止活動に見合った経済的援助がなされるよう配慮します。

 すなわち、地球温暖化防止基金を各地方公共団体で設置し、防止活動の財源とすることができればと思います。

 以下、そのための集金システムを幾つか提案します。

 

1 住民からの寄付金

 各地方公共団体の広報等によって、広く基金への寄付を呼びかけます。

 

2 予算措置

 市・県民税の1パーセントを、各地方公共団体独自の地球温暖化防止対策推進事業に充てます。

 そして、その推進事業の一環として、広報活動並びに下記のとおりの地域通貨発行の準備をします。

 

3 減価型地域通貨(カード)の発行

 この地域通貨は、カード式のものが利便性に富みます。

 カードには基金の趣旨を明記して、地球温暖化防止対策推進への地域住民の皆様のご協力をお願いするようにして、カードの流通そのものに啓蒙活動の機能も持たせます。

 また、裏面には、カードが使用できる主な提携場所(詳しい個々の加盟店はHPに載せる)等を記載します。

 このカードはプリペイドカード(10000円・5000円の二種類)として、先ず、各地方公共団体の職員や長の給与並びに議会議員の報酬等の一割程を、このカードで支払います。

 また、一般住民も提携銀行で買えるようにします。

 カードで支払った分の現金(円)は、各地方公共団体から提携銀行に、担保として預金するようにします。

 このカードは、各地方公共団体との提携スーパー(食料品・日用雑貨等)・加盟店舗等で使用でき、使用毎に利用額の一割が基金に対する寄付として利用額に加算されて引かれるようにします。

 提携スーパー・加盟店舗等は、カード支払い分の円を提携銀行から受け取るようにします。

 このように立ち上がり1,2年目は、地域通貨流通の大きな幹を作り、また住民に対する直接的な寄付を募り、基金の充実を図るようにします。

 (地域通貨の形式に関して、現行紙幣のように、より多くの人の手に渡っていくものが啓蒙活動という意味では良いので、カードにもうひと工夫するか、別の紙幣型も合わせて発行するか、等々、今後の検討の余地は充分あります。)

 

 次の段階では、民間レベルでの地球温暖化防止活動が充分できるように、民間事業体・NPO法人・地域協議会・民間ネットワーク等にも、相応な額の人件費・運営費等を基金から補助金として出し、その内の一定の割合(2,3割ほど)においても、この地域通貨で出すようにします。

 また、防止活動の人件費・運営費等に対して国から補助金が下りるような場合にも、地域通貨で対象となる団体に支払うようにします。

 民間レベルでの活動が活発化するこの段階では、趣旨に賛同してこの地域通貨をご利用いただける加盟店並びに事業者・ボランティア・一般住民等も、大幅に増やすことが出来るものと考えます。

 このように、啓蒙活動が浸透すればするほど、地域でしか使えない地域通貨の流通量も格段に増えていきますから、地域の提携スーパー・加盟店舗等により多くのお金が回るようになり、地域経済の活性化にも資することは必定です。

 

 最終段階では、地球温暖化防止のために限定せず、各地方公共団体業務の効率化・合理化のための民間への業務委託を進める場合にも、この地域通貨を利用するようにします。

 この段階になれば、多額の地域通貨が地域内を回っているはずですし、また地域内における仕事の確保・ワークシェアリング・支え合い、という点からしてみても、受託業者・団体としても、一定の割合において、地域通貨で支払いを受けること(結果的に2,3パーセントの寄付をすることなる)に対しては、それほど抵抗感はないでしょう。

 (減価型地域通貨から基金を積み立てていく場合、基金の目的別に異なった地域通貨を、その目的と密接に関連する委託業務の報酬として渡すようにします。特に、環境問題のように、事業化は困難であるが、地域住民の生活において避けてとおれない分野に関しては、今後も基金の必要性は高いでしょう。)

 また、このように地域通貨を回すことにより、より良い地方自治を作り出すための公益目的業務を担うボランティアグループやNPO等の団体も数多く出来てきて、事業としても成り立っていくようになるはずです。

 当然、一般市民の地方政治への良心的な参加意識(地域の政治をどのようにしていくのか、そのために地方公共団体のサービス業務をどのように担っていくのか、また、交付金・市県民税をどのように使っていくか、等々に関する意識)も育っていくはずです。

 

 以上のような自然環境並びに政治環境を整備していく過程の中で、各地方公共団体の行政組織をスリム化し、地方自治の充実とその財政的自立を図って行くべきであると私は考えます。

 

 以上

 


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