一厘の仕組(地域編)

国有地囲い込み事件経過報告その9

森本 優(2004/3/18)

 


(次回期日 平成16年3月18日午前10時15分)

平成14年(ワ)第××号 妨害排除・原状回復並びに損害賠償請求事件

平成15年(ワ)第××号 自治会総会決議無効確認請求事件

 

 原告 森本優

 被告 I・K1・K2

 被告 N第3自治会

 

 

準 備 書 面

 

平成16年2月23日

××地方裁判所民事部イ係 御中

原告 森本 優

 

 

 本事件(平成15年(ワ)第××号自治会総会決議無効確認請求事件)訴状の請求の原因に、以下の通り付記する。

 

 自治会員に対する不当な差別的取扱いを禁じている地方自治法260条の2第8項は、強行法規であると解せられるところ(憲法14条)、当時自治会長の立場でありながら、一方的に被告Iの不法占拠の利益のみを擁護し、当自治会員である原告森本の権利・利益に関しては全く無視する言動を繰り返した被告K2元自治会長の行為は、違法であり、自治会の目的の範囲外のものである。

 従って、そのような違法行為に関する訴訟費用や弁護士費用等の諸費用は、被告K2個人が負担すべき性質のものであり、そのような諸費用を自治会の負担とする内容の本件決議は、被告K2の違法行為を援助するものとして、公序良俗に反し(民法90条)無効である。

 

 また、被告K2元自治会長を一方的に支援する内容の本件決議は、当時の状況から判断すれば、実質上、原告森本及びその家族を村八分として扱うとの当自治会の判断の表明があったものと解せられ、それはまた、原告森本及びその家族の名誉に対する害悪の告知に他ならない。

 そして、森本の家を子々孫々に亘り呪い害悪を加え続けるとの内容の当自治会役員等の発言と、その実現の一つである本件決議とによって、原告森本及びその家族は、言いようのない恐怖心に襲われたものである。

 従って、そのような決議自体が、名誉毀損行為(刑法230条)及び脅迫行為(刑法222条)となるため、本件決議は公序良俗に反し(民法90条)無効である。

 

 更に、そのような決議を主導した当自治会主要役員等の行為は、名誉毀損罪・脅迫罪に止まらず、事後強盗罪(238条)にも該当すると言うべきである(平成14年(ワ)第××号事件の平成15年12月15日付原告準備書面参照)。

 

 ところで、本件決議に際して、M現自治会長自身が作成した総会資料(乙2の2)が当日配られ、その場で、「問題解決に当たって、森本氏は文書等による一方的な要求で、対話による趣旨・目的の説明、相談・協力の依頼は皆無」(乙2の2総会資料2ページ目上から三つ目の黒点部分)との指摘がなされ、「唯の一度も自治会、又自治会長に対して要望、相談等は一切なく」「今迄誰一人として相談する事もなく身勝手な思いこみだけで訴訟に持ち込」み(乙2の1被告K2陳述書1ページ2段落目、及び同2ページ終わりから3段落目)、「文書送付のみで対話による相談方策を介在せず、直接訴訟で課題解決を図」(乙2の2総会資料2ページ目の4.(3)5.二行目)ろうとする、非常識極まりない人物として原告森本は、M現自治会長及び被告K2・同K1を初めとした当自治会役員等から扱われている。

 そのため、本件決議の際においても、当自治会主要役員等によって、一般自治会員の前で原告森本の名誉(社会的評価)は著しく毀損されたものである。

 しかし原告森本は、本訴訟を提起する前にM現自治会長には二度(平成14年(ワ)第××号事件の平成15年3月5日付証拠申出書の二尋問事項と立証事項の3、乙2の3資料C、乙2の2総会資料1.(4)2.を、それぞれ参照)、また被告K2元自治会長現自治会顧問には一度(乙2の1被告K2陳述書2ページ最初部分参照)、それぞれ話し合いの機会を作って頂いていることは、M現自治会長が作成した総会資料(乙2の2、平成14年(ワ)第××号事件の平成15年11月28日付被告側証拠説明書乙2の2作成者欄参照)や、被告K2陳述書(乙2の1)から明らかである。

 そして、原告森本をそのような非常識極まりない人物として扱うことを、前々から当自治会役員等の間で申し合わせていたことも、乙2の2総会資料2ページ目3.の「役員会の対応・協議の経過」部分の記載、及び主要役員が口裏を合わせている事実(乙2の1、乙2の2)等から、また明らかであると言わねばならない。

 

 さて、ところで、上記のような裁判上明らかに虚偽であることが分かる事実(「問題解決に当たって、森本氏は文書等による一方的な要求で、対話による趣旨・目的の説明、相談・協力の依頼は皆無」等々)が、本件決議後においても、周辺地区(××地区内)の何も知らない一般住民に対して流布されている。

 本件決議後、総会資料(乙2の2)を周辺地区に配布したり、また陳述書と一緒に担当裁判所に提出したりするなどして、前もって相談等を持ち掛けずに徒に訴訟を起こした原告森本は非常識極まりない人物であると、手分けして公に触れ回っている者等がいるとしたら、その者等の行為も、また名誉毀損罪に該当するものと言わねばならない。

 

 以上


(次回期日 平成16年3月18日午前10時15分)

平成14年(ワ)第××号 妨害排除・原状回復並びに損害賠償請求事件

平成15年(ワ)第××号 自治会総会決議無効確認請求事件

 

 原告 森本優

 被告 I・K1・K2

 被告 N第3自治会

 

 

準 備 書 面

 

平成16年3月3日

××地方裁判所民事部イ係 御中

原告 森本 優

 

 下記の一において、平成14年(ワ)第××号事件の平成16年1月26日付「訴えの変更申立書」請求の原因3に、以下の通り付記し、同二において、乙1の1被告I陳述書及び2月5日になされた当事者尋問での被告Iの供述に対して、以下の通り反論・主張を加える。

 

 

一、善管注意義務違反

 

 被告K1と原告森本とは、農事組合長と同組合員との関係にあり、その関係は委任関係に準じるものであるから、被告K1農事組合長は、組合契約の本旨に従い、善良な管理者の注意を以って同組合員である原告森本の権利が支障なく行使できるように、また原告森本の利益が守られるように配慮すべき法的義務が課されていると言わねばならない(民法671条・同644条)。

 しかるに、平成13年7月1日、被告K1農事組合長は、同組合員である原告森本からの農事上の権利・利益に関する苦情申し立てにもかかわらず、その法的義務を果たそうとはせず、却って、同年6月27日頃、市の担当役人に対して、原告森本の権利・利益を侵害した被告Iの不法占拠状態を一方的かつ積極的に正当化して擁護し(平成15年4月17日付け被告準備書面の4ページ「「訴状補充書」に対する答弁」の5参照)、もって原告森本及びその家族に多大な精神的苦痛を与えたものである。

 

二、陳述書及び当事者尋問での供述に対する反論・主張

 

1  泥揚げ部分が更地状態であった事実について

 写真乙4の1において、原告森本が使用している用水路の取水口部分が、手前男性の腹部とバイクとの間に見える。そして用水路はそこから子犬の方向(南)へ走っている。

 この写真によって、取水口から約2〜3メートルの幅で(現在の自動販売機・駐車場設置場所、甲4の1・甲5の4参照)、本件係争地である泥揚げ部分が、被告Iによってコンクリートが打たれる前の更地状態であったことが分かる。

 そしてこの状態が、被告Iによれば(陳述書1ページ上から4段落目参照)、平成2年まで続いているのである。

 

2  公用の廃止がなかった事実について

 昭和53年の河川修復工事前までは、本件係争地は一部公水面一部畦畔であり、畦畔は公共用地として、すなわち、地域の住人によって、通路として、洗い場として、また取水板を張る足場として、そして泥揚げ部分として、利用されてきていたことは、被告I自身が尋問で認めている通りである。

 従って、昭和53年に840−2の土地を購入し倉庫を設置する時から既に意図的に、徐々に不法占拠の範囲を広げていったことは明らかであり、公用の廃止があったわけではないのである。

 

3  悪意による公物の占有開始の事実について

 被告Iは、本件係争地から100メートルも離れていない所に生まれ育って、周辺の地理に関しては熟知しており、本件係争地が一部畦畔(泥揚げ部分)として利用されてきた事実、そして、昭和53年の河川修復工事前の河川の状態(甲25の7参照)も、被告自身が尋問で認めている通り、当然知っていたものである。

 ところで、もし現在占拠している部分(甲4の2参照)までが土地840−2の範囲であるとの境界説明がなされたとするなら、昭和53年の河川修復工事前の時点で、その土地の売り主であるT2は、大胆にも公水面上に境界線を引いたことになるが、そのようなことは常識では考えられず、また、被告I自身が畦畔だけでなく公水面上もT2の所有地だと過って信じ込んだということも、同様にあり得ないことである(陳述書2ページ上から2行目参照)。

 したがって、土地840−2を購入した時点で被告は既に、本件係争地部分は公共用地としての畦畔であり、またかなりの部分が公水面上に位置していることを、知っていたと言わねばならないのである。

 

4  本件係争地である「土地の購入」時期について

 まず、地籍調査時の杭の位置の確認であるが、昭和60年頃、被告Iの土地840−2側の岸の某地点に赤い色が付いた木の杭が打ち込まれていたと、被告自身が供述している(陳述書1ページ上から9行目参照)。

 ところで、市の地籍調査課に問い合わせたところ、河川の畦畔の取り扱いについては、実務上は、基準線から両岸に同じ幅で畦畔が存在するか、それとも対岸地権者の同意を得て対岸にすべて畦畔が移されるかの、どちらかの場合のみがなされ、杭が両岸に打ち込まれていたのなら、その杭の位置がどうであれ、当時の測量技術では座標値から復元すると実測上20cm前後の誤差は出るとしても、両岸にはほぼ同じ幅の畦畔が存在するはずだとのことであった。

 もしそうであるなら、被告Iの土地側の岸にも杭が打ち込まれていたというのであるから、その正確な位置はどうであれ、地籍調査の初めの段階では、両岸にはほぼ同じ幅の畦畔が存在していたと推測できるのである。

 まして、被告I自身が尋問で認めている通り、地籍調査には何ら立ち会わず、後から杭の存在を知ったというのであるから、被告及び対岸地権者の両者とも畦畔に関して何もしていない以上、昭和56年版マイラー図面(甲23・甲25の7)にも反映され存在していた両岸の畦畔は、地籍調査の初期の段階においても、当然考慮されていなければならないはずなのである。

 そして、昭和63年に登記簿上、国土調査による地籍錯誤により約24平米の増加が土地840−2に認められるのであるが(乙5の2)、それは、杭が打ち込まれた段階ではまだ両岸に存在していた畦畔が、図面となって出てきた段階では、既に何者かによって座標値が対岸にずらさてしまった結果(甲17の1〜2参照)、本来被告側にあるはずの公共用地としての畦畔は、すべて私有地として土地840−2に編入され、その分、対岸の地権者であるT1側に余計に畦畔が押しやられたことをも示していたのである。

 当然、その増加部分につき対価の支払いがあったと考えるのが自然であり、すなわち、平成15年4月17日付け被告準備書面で被告が主張している本件係争地である「土地の購入」時期は、この地籍調査時であると考えるのが自然なのである。

 また、昭和53年に本件係争地を、無権利者であるT2から善意で購入したと主張するつもりなら、時効取得の援用ができない以上、そもそも本件係争地に関しては被告Iも無権利者なのだから、素直に公図の修正に応じるべきであったのではなかったのか(甲10の2参照)。

 公図の修正を拒み、本件係争地は自分の土地であると頑なに主張し続けているのは、本件係争地を昭和53年にT2から騙されて買ったのではなく、昭和60年頃の地籍調査時に、T2から話を持ちかけられ、座標値をずらしてもらい公共用地としての本件係争地を自己の私有地として編入するための対価として、幾許かの金をT2に渡したからに他ならないのである。

 そして、地籍調査後、T2と意思を通じ合って、被告及びT2側の岸に元々あったはずのその畦畔を、現公図を正当化根拠として、徐々に囲い込んでいったものである。

 したがって、本件係争地である「土地の購入」時期は、この地籍調査時でなければ他に考えようがないのである。

 

5  暴行・傷害事件の真相について

 平成13年1月11日頃(被告Iの供述は曖昧であるが、乙2の1被告K2陳述書1ページ上から3番目の1.冒頭日付け部分参照)、原告森本は、自らが管理している柵の鍵の返却を求めるため、被告I宅に赴いた。

 玄関口で被告に鍵の返却を求めたところ、被告は即座にズボンのポケットから鍵を取り出し、原告に手渡してくれた。

 鍵の返却後、来る途中で原告森本の取水板が2枚払われ取水口内に投げこまれてあったのを確認していたので、被告に取水口まで同行してもらい、問い詰めたところ、被告が自らしたことだと認めたので口論となった。

 その時に、被告がいきなり拳を振り上げてきたので、それを避けるためとっさに身を屈め、それと同時に被告の上腕部を軽く押す形となった。

 その後、玄関から20m以上離れている取水口付近の道路上(被告も尋問で原告がボクシングの身構えをしていたのは道路上であったことを認めている)で、原告森本はボクシングの身構えで防御の姿勢を取り、被告からの攻撃をしばらくの間警戒していたところに母春代が割って入ってきたので、そのまま何もなく終わることとなった。

 以上が、事の真相であるが、被告の主張によれば、鍵を返す前に既に原告森本はボクシングの構えをしていて、初めから被告を攻撃する意図があったとされる(陳述書2ページ最後から10行目辺りから参照)。

 しかし、被告自身が尋問で認めている通り、鍵の返却時においては、返却を求めそれに即座に応じた平静な状態が、当事者間にはあったのである。

 また、同じく尋問で被告自身が認めている通り、玄関口で原告が戸を開け、応対に出た被告が自らの手で、目の前にいる原告に鍵を手渡しているのであるから、被告が平成15年9月4日付け陳述書2ページ後半で述べているような「・・応襲して表に出たところ既に森本は両手をグーに丸め、ボクシングの戦いのような格好で私に近づき、私の胸をそのグーで小突いた」という部分は、明らかに被告Iがでっち上げた作り話であることが分かるのである。

 更に、被告は「胸をそのグーで小突かれたことによって、肋骨が折れたと思うほどの痛みを覚えた」と、尋問で初めて主張し出したが、では、何故その時点で即座に病院に行って診察を受けなかったのか。

 そのような痛みに一か月以上も耐え続け、2月13日に初めて診察を受に行ったと主張しても、そこに何ら合理的理由が認められない以上、それを容易に信じる訳にはいかないであろう。しかも、被告自身が尋問で認めた通り、診察の結果が何でもなかったというのなら、その痛みは一体何であったと弁明するつもりなのか。

 当時、咳を伴うインフルエンザ等の感染症に罹り、診察してもらったことがあったことをこれ幸いに、強引に本暴行・傷害事件に結びつけ、でっち上げを図ったものと勘繰られても仕方がない。

 即ち、そのようなでっち上げ話を使って、原告森本は、「対話による相談方策を介在せず、直接訴訟で問題解決を図」る非常識極まりない人物であるだけでなく(平成16年2月23日付け原告準備書面参照)、問題解決に当たってすぐ暴力をふるう粗暴極まりない人物であると、村内だけでなくこの公の場でも触れ回り、原告森本の名誉を徹底的に毀損しようとしたものに他ならないのである。

 

6  河川の氾濫の件について

 陳述書3ページ下から1段落目で問題となっている河川の氾濫の時期は、平成12年9月10日前後だと記憶している(甲6稲作の記録5ページ終わり部分参照)。

 当日の朝、河川が氾濫して水が825番地の畑の上を走っている状態だったので、本件係争地に沿って流れている河川を見回りに行ったところ、原告森本は、被告Iと取水口付近の道路上で出会っている。

 当日の河川の状態は、濁流の勢いが激しく、川底の取水板に粗大ゴミが引っかかれる状態では到底あり得ず、すべて押し流されていた。

 また、増水した濁流が激しく下流の暗渠部分(乙4の4参照)に流れ込み、一部通路にまで流水が溢れ出ていたため、川底にあったその板を引き上げることは、非常に危険であり、一つ間違えば、下流の暗渠部分に呑み込まれ、命を落としかねない状況であった。

 そのような状況の中で、当日被告が川底から板を引き上げたとは到底考えられず、原告が取水口付近で被告に会った時点でも、そのような光景は確認してはいない。

 また、川底の10cm弱程のその板を引き上げたところで、「あっという間に畑の水が引き始め、流れは正常に戻った」はずもない。

 当時、××盆地及びその周辺では、観測史上初めての記録的な集中豪雨となっており、××盆地全体が洪水状態で、床下・床上浸水も発生していたのであるから、そのような状態で「外したマチを取水口の入口に置いてお」ける程、「あっという間に畑の水が引き始め、流れが正常に戻」れるはずがないのである。

 水位が多少低くなったのは、原告森本が、台風と秋雨前線とに伴う豪雨で川が増水しそれが田に入り込んでくるのを避けるために、前もって張っておいた用水路内の板(甲21の13取水状況図の16番(甲21の16)の取水板参照)を、あまりにも川の水位が高くなり過ぎて畑の上を水が走っている状態だったので、しかたなく、収穫前の稲が倒伏するのを覚悟で、その板を外して河川の流水の一部をこの用水路を通して南の田の方へ逃がしたからに他ならない。

 そして、その事実を、被告Iも見ていたはずなのである。

 

7 「・・蚊、ハエの発生・・」について一言

 最後に、被告は陳述書3ページ下から2段落目で、「・・流れは滞り、泥が溜り、河の壁にヘドロが付着し、蚊、ハエの発生する原因になっている」との表現をしている。

 しかし、本件係争地に沿って流れている河川には、係争地より約100m程北にある××冷菓株式会社によって業務上汲み上げられている地下水が常に入り込み、河川は一年中流れているのだから、多少土砂が溜っていようとも、過去において「流れが滞」ったということはなかったはずである。

 まして、蚊や蠅が発生する時期には、荒川から農業用水が大量に引かれてくるのであるから、「蚊、ハエの発生」する余地は全くないのである。

 被告Iによるこのような表現は、事実を述べるというより、農業者であり中小河原の「常識」に一向に従おうとはしない原告森本に対して、常日頃抱いている被告の侮蔑的感情(甲4の1参照。取水口の真上に置かれたゴミ箱に関して、当時原告はこのゴミ箱を何度も移動したが、直この位置に戻されていたこともこの感情の現れであろう)を、この公の場でも露骨に吐き出し、原告を侮辱しようとしたものに他ならないのである。

 

以上

 


(次回期日 平成16年3月18日午前10時15分)

平成14年(ワ)第××号 妨害排除・原状回復並びに損害賠償請求事件

平成15年(ワ)第××号 自治会総会決議無効確認請求事件

 

 原告 森本優

 被告 I・K1・K2

 被告 N第3自治会

 

 

準 備 書 面

 

平成16年3月12日

××地方裁判所民事部イ係 御中

原告 森本 優

 

 下記の第一において、平成16年3月4日付け被告側準備書面(以下同書面と呼ぶ)等に対して以下の通り釈明を求め、原告の反論を加える。更に、同第二において、同書面に関して以下の通り原告の主張を加える。

 

 

第一、求釈明と反論

 

1  同書面第1の8では、丙2(会長宛依頼文)を見て「Mは、上記段階(遅くも平成14年9月11日か12日頃)で、被告Iの土地問題は、被告N第3自治会の問題である旨受とめた」とされるが、一方、丙9総会資料1.(2)の(2)では、M現自治会長は平成14年9月8日の午後9時頃、原告からの電話で、当自治会会則(丙1会則第4条参照)上、「公図の修正、個人への国有地払い下げについて国への働きかけは、個人の利害関係に関係し、自治会の活動領域ではなく、対応が難しい旨を伝えた」としており、両者の内容は明らかに互に矛盾しているのである。

 その点について釈明を求める。

 因に、同書面第1の6で、「原告が訴状で主張している趣旨の電話」とあるが、その内容は丙9総会資料1.(2)にある通り、丙2と同じであり、訴状の内容とは全く異なるものである。

 

 また、もし上記の時点で、国有地払い下げ・公図の修正に関する土地問題が「自治会の問題である旨受けとめた」のなら、何故原告だけでなく(丙9総会資料1.(4)2.参照)、被告I・T2・T3、更には公図に関しては被害者であるT1の主張をも、それぞれ平等に聞き、紛争処理に努めなかったのか、その点の釈明も求める。

 

 更に、平成13年7月初め頃にM現自治会長は、原告森本が囲い込みの件で中に入ってもらいたい旨M宅にお願いに上がったところ、原告に対して「この件に関してこれ以上騒ぐな」と怒鳴り返しているが(平成15年3月5日付証拠申出書2ページ二尋問内容と立証事項の3参照)、何故そのような態度に出られたのか、釈明を求める。

 

 同書面第1の18に記載された丙10の1(原告から自治会長に宛てた書状)の立証趣旨の釈明を求める。

 因にこの書状は、4月5日の総会で、丙9総会資料2ページ目4の(1)〜(3)通りの決議がなされ、元々被告K2個人に対する訴訟が、当自治会に対するものに実質上すり替えられてしまった為に、M現自治会長に送付したものである(平成15年6月13日付け求和解勧試の申立の本文6段落目、「(今回の総会で自治会の問題としてしまったため)」の部分参照)。

 その時点では、原告森本にもまだ、当自治会役員内にも良識ある人や話の筋が読める人がいるだろうとの甘い期待があったからこそ、敢えて訴訟資料(丙10の2〜10)を添えてM現自治会長宛に送付した次第である。

 

5  同書面第2の2〜3について、「多大な利害関係を有している」から「自治会として積極的に支援していくのは当然であって、その旨の決議をしたとしても何ら違法ではない」と主張されるが、では、何故、論理必然的に「支援」が「当然」であり、「違法ではない」という結論に至るのか、その点の釈明を求める。

 因に、被告K2元自治会長が当自治会の目的の範囲内とは到底考えられない行為によって、第三者だけでなく、有形的・無形的に当自治会にも損害を与えたような場合には、自治会が有することになるその「多大な利害関係」は、もっぱら被告K2に対する責任追及という形で現れるのが普通であり、当自治会顧問という現役職の解任事由にもなり得るのは自明のことであろう。

そして、そのような行為が犯罪行為や違法行為であったとするなら、それを一方的に支援する総会決議は、公序良俗違反(民法90条)として当然無効と言わねばならないはずである。

 しかるに、そのような自明の理を意図的に無視し、同書面第2で展開されているような理屈が当自治会で当然のものとして通用しているのは、平成14年(ワ)第××号事件で指摘された国有地囲い込みが、当自治会主要役員等を中心とした自治会ぐるみ(一蓮托生関係)のものであり、その者等の強い支配力(平成16年1月30日付け証拠説明書甲26参照)によって、村内の良心的な声が圧殺されてきたからに他ならないのである。

 

6  同書面第3の1〜2について、何故「法律上の根拠に基づいて設立された団体ではない」と、「自治会の決議の無効確認を求める法律上の根拠は全く存在しない」ことになるのか、その点の釈明を求める。

 ところで、当自治会は、会則(丙1)及び実際の運営(甲26)を検討するなら、地方自治法第260条の2の認可を得ていなかったとしても、その実質を備えるものとして、法260条の2の適用は認められるべきである。(権利能力なき社団の成立要件につき、最高裁昭和39年10月15日判決参照。)

 

 乙2の1被告K2陳述書2ページ第1段落3行目で被告K2は「常識論で説得」したとされるが、その具体的内容を示されたい。

 

8  また、同第2段落2行目で「常識の範囲で話し合ったらどうか」と言ったとされるが、では何故、母春代からの翌日の立ち会い依頼を被告K1と同様拒否したのか(訴状請求の原因の5参照)、その点の釈明も求める。

 

9  被告K1は、平成15年4月17日付被告準備書面「訴状補充書」に対する答弁5の二つ目の黒点部分で、「原告の苦情申立を拒否したのは、原告の申立内容が不当」であったからと主張されているが、ではどのような理由で不当と判断されたのか、その点の釈明を求める。

 

10  また、上記準備書面答弁5の三つ目の黒点部分で、「被告K1は、××市役所担当職員に対しては事実を述べたものである。」と主張されるが、では、「事実」とは一体何か、釈明を求める。

 

11  ところで、被告K1陳述書(乙3)では、「××市役所職員と会った事実は無」いと主張し、上記内容と矛盾したものとなっているが、その点の釈明も求める。

 

 

第二、原告の主張

 

 T2による公共用地としての畦畔(泥揚げ部分)の囲い込みを正当化し、また被告Iによる国有地でありかつ原告の承役地でもある本件係争地の囲い込みを勧める被告K2元自治会長の発言(平成15年4月17日付け被告準備書面「訴状補充書」に対する答弁3の二つ目の黒点部分参照)は、自治会の目的の範囲内のものとは到底言えず、また犯罪行為(刑法235条の2不動産侵奪罪の幇助)に他ならないのである(被告K2のこの発言の後に被告Iが駐車場及び自動販売機を設置した事実は、平成15年1月29日付け答弁書第2請求の原因に対する答弁3の終わり部分「さらに」以降から、明らかである。また、平成15年4月17日付被告準備書面「訴状補充書」に対する答弁3の二つ目の黒点部分「・・設置してもよい旨の発言」も、その事実を認めたものと言える)。

 従って、原告に与えた損害は、自治会ではなく、被告K2個人が償うべき性質のものなのである。(民法709条・同710条)

 

2  また、原告が主張している通り、本件係争地は昔から公共用地(国有地)としての畦畔であったことは、今の役員等の年代であれば誰でも知っているはずであり、とすれば、そのような被告K2の行為は、職務行為とも言えないのである。

 そしてその行為は、自治会員に対する不当な差別的取扱いを禁じている地方自治法260条の2第8項にも違反し、よって原告森本に損害を与えたのであるから、その損害は、自治会ではなく、被告K2個人が償うべき性質のものなのである。(民法709条・同710条)

 

 更に、被告K2と原告森本とは、自治会長と自治会員との関係に当時あったのであり、その関係は委任関係であったと解されるのである。

 すなわち被告K2には、委任契約の本旨に従い、善良な管理者の注意を以て「良好な地域社会の維持及び形成」(N第3自治会会則第4条)を促すよう配慮する法的義務(民法644条)が課されていたと解することができるのである。

 しかるに被告K2は、そのような法的義務を全く無視し、一方的かつ不当な差別的事務処理によって原告森本に損害を与えたのであるから、そのような損害は、自治会だけでなく、被告K2個人も、当然償うべき性質のものなのである。(地方自治法260条の2第15項・民法44条第1項)

 そして平成14年(ワ)第××号事件では、被告は、原告の訴状から明らかな通り、自治会ではなく、被告K2個人なのである。

 

以上


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