てるてるひめ物語和歌集

 

森本 優(2006/04/01)


 

 

F40

2006年 森本 優 作

 

 

 

天地蒼茫の歌

 

 

 

(聖なる星の詠める歌)

きあはせあめつちをうみひとをうみ

 くにたてなほすみわざかしこし

水火合せ天地を生み人を生み

 邦立て直す神業かしこし

 

 

(てるてる村の土木作業の叙景。詠み人知らず)

うろうとうたひいづるはよいとまけ

 あおきみそらにをのこゑすがし

朗朗と歌い出づるはヨイトマケ

 青き美空に夫※の声すがし

※一人前のおとこ。

 

 

(お母様の詠める歌)

りのたまくもりくもりてまがかみの

 いきほひつよくやみよとはなる

玻璃の珠※曇り曇りて曲神の

 勢ひ強く闇夜とはなる

※水晶の珠。ここでは地球を指す。

 

 

(しらゆりひめの詠める歌)

しのちにちよにやちよにうもれつつ

 たみがたどりしどろがはをみつ

西の地に千代に八千代に※埋もれつつ

 民※が辿りし濁流※を見つ

※幾千年の間。

※つきよ族の民。

※苦難の歴史。

 

 

(てるてるひめの白蜘蛛の背に乗り救出に向かう際に詠める歌)

しかげのたふときみたまにみちびかれ

 ははのみわざにわれはつかへむ

星光の尊き御霊※に導かれ

 母※の神業に吾は仕へむ

※宇宙の精霊。

※てるてるかかあ様。

 

 

(無用な人と蔑まれていた人が、天から授けられたお役目に目覚め詠える歌)

ちまかわよにそしられししこくさも

 かみのこころのふかきをしりぬ

糸瓜皮※世に謗られし醜草も

 神の心の深きを知りぬ※

※値打ちの無いもののたとえ。

※世の中に無用なものはない。「無用」か「有用」かの判断は、世の人の狭い心

から生まれる幻でしか過ぎない。宇宙のこころに素直に耳を傾けるべきである。

 

 

(白蛇の詠める歌)

こしへにうぶすなかみにいだかれて

 いのちむすばしたまちはひませ

永久に産土神※に抱かれて

 いのち結ばし※霊幸ひませ※

※その人の生まれた土地の守り神。

※結び給え。

※栄え給え。

(個々のいのちは、その土地に必要な宝として、周到に準備された上で投げ込ま

れ生まれてくる。だから、その土地の神様に守られて、回りの他の様々ないのち

(昆虫魚・山川草木に至るまで)と調和した関係を持って生きて行くことこそ、神

の御心に添うた道である。)

 

 

(白狐の詠める歌)

のうへであをひとくさのつきたまふ

 なりはひたすけてくにさかえゆく

地の上で青人草※の就き給ふ

 生業※助けて国栄え行く

※国民たち。

※人が生活していくための仕事。ここでは実業を意味する。

 

 

(しらゆりひめの詠める歌)

んとしてみたまけだかきてるてひめ

 おんみとともにみわざつかへむ

凛として御魂気高きてるてひめ

 御身と共に神業仕へむ

 

 

(白蛇の詠める歌)

くもりをあたへられしみむすひの

 いのちのしずくうぶすなのたま

温を与へられし御産霊※の

 いのちの雫産土の玉※

※むすぶ(むすび)の神、即ち産霊の神。

(「ムス」は産・生の意、「ヒ」は霊力の意で、御産霊とは天地万物を産(ム)し

成す霊妙な神霊のことである。)

※尊い宝。

 

 

(お母様の詠める歌)

るてんのいのちのかはでむすびあふ

 はてなきよくぞあぶくのごとき

流流転の命の河で結び合ふ

 果て無き慾ぞ泡の如き

 

 

(てるてる村の一風景。詠み人知らず)

さなごのやはらかきてにつめらるる

 たいのげんげのあかきはなたば

幼児の柔かき掌に集めらるる

 田居※の紫雲英の赤き花束

※たんぼ、田。

 

 

(お母様の詠める歌)

れがみのきはまりしらずひろごりて

 なれがゆくてをさしみちびかむ

吾が身の極まり知らず広ごりて

 汝が行く手を指し導かむ

 

 

(てるてるひめの全世界にいる兄弟姉妹を救出している際に詠める歌)

むながらまことのみちをおしたてて

 われはこのちをかけめぐりをり

惟神真言の道を押し立てて

 吾は此の地を駆け巡り居り

 

 

(しらゆりひめの詠める歌)

しあしのむねのりこえてかむながら

 くになほしばにたつぞうれしき

善し悪しの胸※乗り越えて惟神

 邦直し場に立つ※ぞうれしき

※自分に都合が良いか悪いかという判断。

※地球立て直しの神劇の舞台に立つこと。

 

 

(てるてるかか様の詠める歌)

いうちゅうはてなきそらにかぎりなく

またたくあこよすめらびのほし

大宇宙果てなき空に限りなく

 瞬く※吾子よすめらびの星

※輝き続けている。

 

 

(てるてる村の人々の様子。詠み人知らず)

ひせつをまもりてむさるるひとのわを

むすびむすびてみづのよとなる

礼節を守りて蒸さるる※人の和を

 結び結びて瑞※の代となる

※蒸すとは、産す・生すと同じ意味で、生まれること。

※うるわしいこと。

 

 

(天使マヤ様の詠める歌)

そりたついきとほしのきときじくの

 かぐのこのみとなりいでにけり

そそり立つ生き通しの木時じくの※

 香具の木の実※と成り出でにけり

※いつでもかぐわしくあること。

※たちばな(みかん類)の実。

 

 

(てるバァがつきジィに詠み返しし歌)

やもなくはなのかもなきわれなれど

 きみがこころのありがたきかな

艶も無く花の香も無き吾なれど

 君が心の有難きかな

 

 

(てるてるひめの母上様のひめ御出産の時に詠める歌)

ぎらひのことのはうけてみそめしは

 うぶごゑたけきしらたまのみこ

慰労ひの言の葉受けて見初めしは

 うぶ声猛き白玉の御子

 

 

(てるてる村の住人の詠める歌)

でしこのあかきゑがほにつつまるる

 さちおほきひよこころたのしも

撫子※の紅き笑顔に包まるる

 幸多き日よ心楽しも※

※かわいがっている子供。

※ああ楽しい! (「も」は感動・詠嘆の意を表す終助詞。)

 

 

(てるてる村の住人の詠める歌)

んるおびみちにあそびてよむうたは

 いのちのたいがうちゅうのこころ

襤褸帯び※道※に遊びて詠む詩は

 いのちの大河宇宙のこころ

※ぼろを身にまとい。

※人生の過程。

 

 

(つきジィのてるバァに詠み贈りし歌)

すぼるるみいとをとかむすべもなし

 なれのこひしくなりまされれば

結ぼるる御糸を解かむ術もなし

 汝の恋しく成り増されれば

 

 

(てるバァがつきジィに詠み返しし歌)

るはしききみのなさけのつゆうけて

 みずはのはるのにほふここちす

麗しき君の情けの露受けて

 瑞葉の春の匂ふ心地す

 

 

(てるてる村の住人の詠める歌)

のほとりしろきかがちのもるにはで

 まふみこのかげかみとのまじはり

井※の辺白きかがち※の守る庭で

 舞ふ巫女の姿神との交はり※

※清水を汲み取る所。

※蛇。

※交感。

 

 

(てるてるひめの荒野にて詠める歌)

ざらしのまぼろしみつつゆくあらの

 さぎりのさきにきみはおはすや

野晒※の幻見つつ征く荒野

 狭霧の先に君※は在すや

※野垂れ死に、しゃれこうべになること。

※自身の仕える神。

 

 

(月左衛門の夢から覚めて詠める歌)

ほいなるまことのみちをしらなみの

 ただよふあこそゆめのまたゆめ

大いなる真言の道を白浪の※

 漂ふ吾こそ夢の又夢

※「知らないで」に掛けている。

 

 

(てるてる村の住人の詠める歌)

るくるとむらのけいざいささえます

 くくりのわざにくるるたのもし

くるくると村の経済支えます

 括り※の技にくるる※頼もし

※人と人とを繋ぎ一つに結びつけること。

※てるてる村の通貨単位。

 

 

(天使マヤ様の詠まれた歌)

まかはもくさきもむしもとりうをも

 けものもさきはふあいのちからに

山川も草木も虫も鳥魚も

 獣も幸ふ水火の力※に

※言霊の波動。

(愛の力は、陰陽(水火)の引きつけ合う力に由来するが、その水火は、また全宇

宙を生み出しつつある統一的一者の大愛でもある。)

 

 

(寺子屋で女の子の詠める歌)

がことのおほくよにづることわりは

 とらはれびとのよくにありけり

曲事の多く世に出る理※は

 囚はれ人の慾※にありけり

※理由。

※慾に囚われている人間のその慾。

 

 

(天使マヤ様の返された歌)

いあいのまことなければひとのよは

 すべてのものをやみにすつべし

恵愛の誠なければ人の世は

 森羅万象を闇に棄つべし※

※周りのいのちを有用なものと見做し、己の囚われた慾と言う牢獄に閉じ込めて

いたのでは、人は、周りのいのちが本来持つ輝きを発現させないまま、その己が

作った闇の牢獄の中で、そのいのちを無駄死にさせてしまうだろう。

 

 

(寺子屋でてるてるひめが話されるのを見て、てるジィの詠める歌)

じやまのねのねのそこににほふうめ

 いちりんごとにはるくくるかも

不二山の根の根の底※に匂ふ梅

 一輪ごとに春くくるかも※

※奥深い所。

※てるほ族は昔この白雪山の麓の深い森の中に封じ込められ、不遇な扱いを現代

に至るまで受け続けてきたが、今てるてるひめさまが話されたことが本当であれ

ば、暖かい日差しを受けて蕾をふくらませ一輪ごとに花を開いて春を呼ぶ梅の木

のように、この地にも、てるてるひめさまのお働きによって春が訪れることにな

るかもしれないなあ。

 

 

(てるてる村の住人の詠める歌)

がねぐもたれるいなほのあさつゆに

 ひのかげさしておほそらうつす

黄金雲垂れる稲穂の朝露に

 日の光差して大空映す

 

 

(しらゆりひめの詠める歌)

にしあるみたまひきよすてるてひめ

 なれのみわざぞたふときやくよ

縁ある御魂引き寄すてるてひめ

 汝れの御業ぞ尊き役よ

 

 

(寺子屋で、てるジィの詠める歌)

るてるのおほかかさまのみいきより

 すべてのものはあれましつつあり

てるてるの大母様の御水火より

 森羅万象は生れましつつあり

 

 

(てるてる村の人々の様子。詠み人知らず)

めつちのめぐみをうけてそだちます

 てるてるびとのいのちすこやか

天地の恵みを受けて育ちます

 てるてる人のいのち健やか

 

 

(てるてる村の初夏の風景。詠み人知らず)

とやまにいにしえからのかぜふきて

 あおたのいなばうたいおどるよ

里山に古からの風吹きて

 青田の稲葉歌い踊るよ※

※田植が済み苗が盛んに分ケツし出す頃、てるてる神社の神楽殿では、古から伝

わって来た神楽が舞われる。その古の風とも言える神楽に誘われて、田の稲草も

初夏の風に吹かれ歌い踊っているようである。

 

 

(つきジィのてるバァに詠み贈りし歌)

えかへるこころのいとははまちどり

 ちぢにみだれてなれをぞおもふ

消え返る※心の糸は浜千鳥

 千千に乱れて汝をぞ思ふ

※死んでしまいそうに思い詰めている。

 

 

(寺子屋で、てるてるひめの詠める歌)

めまくらひめがみたちてのたまふは

 あによせられしたふときやくめ

夢枕比売神立ちて宣ふは

 吾に寄せられし※尊き役目

※任せられた。

 

 

(みみずのミミちゃんが命の樹を見上げて詠める歌)

じせばくこのみばかりぞみえらるるは

とらはれよくのみせさするなり

目路※狭く木の実※ばかりぞ見えらるるは

 囚はれ慾の見せさするなり

※視界。

※たちばな(みかん類)の実。此の身(我)に掛けている。

 

 

(夢に立たれた女神様の詠める歌)

すまるのきよくたふときてるてひめ

 まことのしぐみになれはつかへよ

御統の※清く尊きてるてひめ

 真言の※経綸に汝は仕へよ

※聖なる星達を一つに束ねるお役目を授けられた、という意味。

※てるてるかかあさまの水火(大愛)による。

 

 

(白蜘蛛の詠める歌)

らいとのかなぎすがそにくくりおく

 ひのかがみもてまがをはらはす

白糸の金木菅麻※に括り置く

 霊※の鏡※もて曲※を払はす

※ある拠点が他の拠点全部(全体)と繋がり合う仕方として二種類の方向性があ

る。一つは金木型で、現代のインターネット網のように、網の目状に周りの拠点

と繋がり合っていくことで全体に繋がるものである。もう一つは菅麻型で、まず

中心となる拠点と繋がり、その中心拠点を通して他の拠点全部に繋がるものであ

る。

※霊力のある。

※蜘蛛の糸でできた鏡。神的バリアーを意味する。

※わざわい。悪いこと。

 

 

(てるてる村の人々の様子。詠み人知らず)

みあふてめをかはすときてるてるの

 ひとひとのまにじあいのきみつ

笑み合ふて目を交はす時てるてるの

 人人の間に慈愛の気満つ

 

 

(白カラスの九尾を封印した後に詠める歌)

さかたのみそらつつみししこぐもも

 うすらぎきえてひのひかりさす

久方の御空包みし醜雲も

 薄ぎ消えて日の光差す

 

 

(寺子屋で、てるジィの詠める歌)

ろもろのなりなりなりてなりやまず

 てるてるかかあのいさをかしこし

諸諸の成り成り成りて成り止まず

 てるてるかかあの功かしこし

 

 

(てるてる人の詠める歌)

おりつのしらいとだきにいだかれて

 うきよのけがれながしきよめむ

瀬織津の※白糸滝に抱かれて

 浮世の穢れ流し清めむ

※瀬織津比売(ひめ)さまの立たれる

 

 

(しらゆりひめの詠める歌)

えのよにひととあれますうつくしの 

なれはかぐのみくにのみはしら

末の世に人と生れます美しの

 汝れは香具の実邦の御柱

 


天地蒼茫の歌

おわり


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