秋田県上小阿仁村・小阿仁川、萩形ダム上流


 2001年6月2日、上小阿仁村萩形ダム上流をルアーで探釣、荒瀬から出たイワナ。下流から釣り上ったのだが、遠投した荒瀬でガツンときた。引きを味わうようにゆっくりリーリングしながら、釣りの醍醐味を味わう。頭部の虫食い状の斑紋、白い斑点が鮮やかなイワナだった。
 これまで、林道や堰堤など人工構造物があり、釣り人が行き交う本流、日帰り釣りの釣り場では、竿を出す気になれなかった。ルアーなら、何とか釣れるのでは・・・と思い挑戦してみた。人跡稀な源流と違って、本流のイワナは、思ったとおりスレていたが、ルアー1年生にも何とか釣れました。

ガンガンの荒瀬から、今度はヤマメが・・・。イワナより食いついた瞬間のアタリ、手ごたえは凄かった。それにしてもヤマメまで、こんなオモチャみたいなスプーンに食らいつくとは・・・やっぱりヤマメも凄い渓魚だ。大きなパーマークと黒い斑点、久々に見る本流ヤマメに見惚れてしまった。

上小阿仁村・萩形ダムへ向かう途中の最後の集落・八木沢集落の美田。右の写真は、寂しく佇む分校跡。集落の橋を渡り、小阿仁川の右岸に出ると、棚田状の田んぼは、ほとんどが耕作放棄状態だった。自然とともに生きてきた山村の美田が荒廃していく姿は、現代の負の象徴のようにも見えた。
素掘りのトンネル。こういうトンネルを抜けると、別世界に入っていくようなワクワクした気持ちにさせてくれる。 萩形ダムに沈んだ村、萩形分校跡の木標。
離村記念碑。 萩形集落跡に、かつての住人が別荘のように利用している山小屋。こんな別荘があったら、人生最高だろう。
佐藤勇供養之塔。植野稔さんの「山釣りシリーズ3」にも紹介されている、ダムに沈んだ萩形集落最後の区長。小阿仁川源流部のクマ、ゼンマイ、イワナ、きのこ・・・全てを知り尽くした山人であり、在来イワナの滝上放流を実践した人でもある。 萩形ダム。昭和41年に県営多目的ダム第1号としてつくられた。
3.5gの銀色スプーンに食い付いたワナ。稚拙なルアーにも食い付いてくれたイワナに感謝・感激。一人で生きたイワナを撮影するには、あちこち動き回るイワナを制御できず苦労する。左の写真は、水面で泳ぐイワナが射し込んできた光に水面がギラギラと反射し、これは失敗と思ったが、なかなか味のある写真になった。右の写真は、スプーンに食い付いたイワナの動きを表現しようと思って撮影した一枚。
素晴らしい大淵が続く本流。だが、釣り人の足跡が至る所にあった。苦戦することは予想していたが・・・。本流に入ると、いきなり、足元の茂みから、コイのようなでかいイワナが走った。流れの緩い場所を覗くと、2匹、3匹・・・余りの多さに、度肝を抜いたが、よく見ると本物のコイだった。柴田君にコイがいると聞いていたが、渓流に泳ぐコイにはまいりました。 大淵で尺クラスのイワナが群れていた。写真が小さく判別しにくいが、数匹のイワナが写っている。スプーンに何回も追い掛けてくるが、全く食い付かなかった。釣りが下手なのか、イワナがスレているのか・・・。スレたイワナを釣るには、どんな釣り方でも難しい。
これは光を加えた加工写真ではありません。たまたま、葉陰から射し込んだ光が、濡れた岩盤に反射した偶然の賜物。 電光石火のごとくスプーンに食らいついたヤマメ。ルアーの面白さは、食い付くとは思えないルアーに、衝撃的ともいえる速さで食らいつく渓魚たちの摩訶不思議な生態にあるように思う。
日本の川を見た欧米人は「これは川ではなく滝だ」と言わしめるほど、日本の川は特殊である。特に源流域は、狭く障害物や小滝が連続している場所が多い。そんな日本独特の渓流に伝わる餌釣りやテンカラに比べれば、どんな名人ルアーマンといえども、自在にポイントを流し、自在に釣ることはできない。しかし、餌釣りが最も苦手とする堰堤やダム湖、大きな淵、滝壷を釣るには、素晴らしい威力を発揮する。しかも、そうした大場所には大物が潜んでいる。ルアーをやってみて、最も実感するのは、餌釣りでは手の届かないポイントを攻めることができるということだ。まだまだ、正確なキャストにはほど遠い初心者だが・・・
渓を艶やかに彩るムラサキヤシオツツジ めったにお目にかかれないオオサクラソウ。まさかこんな俗っぽい本流に咲いているとは、驚きだった。
林道沿いでよくみかけるタニウツギ。清冽な渓に咲いていると、その美しさは倍加する。 ルアーに食い付いた本流イワナ。虫食い状の斑紋と白く鮮やかな斑点が印象的だ。
釣り終えて一服。伐採された跡は、ワラビ畑になっている。午前中に多くの人がワラビ採りをしていたが、まだまだたくさんあった。 ご覧のとおり、太いワラビがあっというまに買物袋一杯になった。釣りもさることながら、これも楽しいものだ。
小阿仁川本流左岸に懸かるナメ滝シャワー。