警告! 中国製不良電解コンデンサは時限爆弾

発行者:相馬 孝志
Dec.10,2012:初 版


忘れてはいけない! 中国製不良電解コンデンサはまだ生き残っている

 皆さんは5年ほど前にパソコン(以下、PCと略記)のマザーボードに搭載していた中国製電解コンデンサがパンクして動かなくなる事件が続発したことを覚えておられますか。かく言う私も仕事で使用していたPCのマザーボードがこの被害に遭い、製造会社が修理をしないとのことで自分でコンデンサを交換して復活させた経験があります。
 故障状況は、中国で作ったコンデンサの電解液がまともなものではなくて、耐圧ぎりぎりでの大電流で充放電の繰り返しで発熱するとか、発熱する場所に装着するとかで電解液に熱ストレスを与えると、俗に言うコンデンサのパンクでのショートかオープン、または、著しい容量の低下でコンデンサが無いのと同じになり、装置の誤動作、または、不動となり、挙げ句の果ては、他の部品を巻き込んで壊したり、ひどいときは燃えたりします。
 この症状は、使用環境にもよりますが、時限爆弾のようなもので、前述のマザーボードの場合、常時通電で約1.5年から2年で発生しました。そして、時限爆弾が爆発した時にはサポートが無くなっている事が多く、買い換えの時期なのでやむなく廃棄する場合が殆どで、泣き寝入りするか自力で修理する事となってしまいます。
 さらに、たちが悪いのは、この手のコンデンサは安価に出回ったらしく、PCのマザーボードに限らず、色々な電気製品に組み込まれていることです。このコンデンサを使用した器機は、しばらく使っていると挙動がおかしくなり最後は不動となります。そして、通電時間の積算でパンクするため通電時間の少ない器機が不調になるのはかなりの年月が経ってからとなりますので困った物です。コンデンサのパンクで火事になることも考えられますので恐ろしいことです。そして時限爆弾が爆発する時は、概ね、保証がとうの昔に切れていて、しかも、そろそろ替え時と思っている場合が多いため修理されることもなく、問題が提起されることもなく葬り去られる事が多いようです。しかしながら、たまに物理的にコンデンサがパンクして煙が出たり液が漏れたりする被害で粗悪コンデンサを確認した人も多くいるようで、それがネット雀の話題になっていたこともありました。
 ところで、私の場合、マザーボードの3Vや5Vのバイパス用とメモリスロット周りのバイパス用コンデンサの容量抜けが三件、PCI社の5ポートHUBの電源周りでパンクしてショート状態になり電源のレギュレータICが焼け焦げたのが二件、三洋電機のブラウン管32型ハイビジョンテレビの信号処理系ボードのLSIの電源供給ラインのコンデンサ異常でチップが焼けたことなどの経験があります。大型テレビは超重たいのと修理代が高いので液晶テレビに買い換えました。振り返れば他にも思い当たる節がありますが安物DVDドライブとかCDラジカセの制御回路不調などは買い換えて廃棄してしまいした。
 今回このページを作製したのは、中国製粗悪コンデンサを搭載した器機がまだまだ存在し、またまたその被害者となり苦い思いをしたので皆さんにも知っておいてもらいたとの思いからです。粗悪コンデンサの多くはアルミケースのトップに防爆のために入れた切り込みが十字形です。ちなみに良品は十字形は少ないのでケースを開けてケミコンの形状確認とふくらんでいるものが無いかどうかを確認されてはいかがでしょうか?


APPLE さん BUFFALO さん、御社もお使いになってたのですね・・・

アップル MacPro のグラフィックボードにも搭載されていた

 仕事で使っていた4年物の二台の アップル MacPro が不調を訴え始めたのでなんとかせねばと思い点検したところ、なんと、NVIDIAのグラフィックボードのコンデンサがパンク寸前となっていました。初期型の MacPro にNVIDIAのグラフィックボードが組み込まれているマシンを所有している方はグラフィックボードのコンデンサをチェックすることをおすすめします。
 このマシンは仕事で使用中であったため修理に出すか自力でコンデンサを交換するか迷ったのですが、アップルによると保証が切れたMacProの修理は一律5万円とのことでした。同グラフィックボードは新品で5万円ほどで売られていて中古は2万円程度でしたが時限爆弾を抱えている可能性があります。ボードのコンデンサを自力で交換すると数百円で済みます。自力で交換する場合、グラフィックエンジンがダメージを受けているかもしれないので完全復活が可能な保証はありません。
 と言うことでアップルに修理を依頼したら問題の無いコンデンサを搭載したグラフィックボードに交換され、一件落着となりましたが二台で10万円の出費は痛かったです。もし、これが私のマシンなら迷わず自分でコンデンサを交換していたと思います。また、アップルがいつの時点で問題のコンデンサの採用を止めたかを追求したかった事件でもありました。



MacProのグラフィックボード


放熱器の横の2本のコンデンサがふくらんでいる


BUFFALO リンクシアター LT-H90DTV

 私のオーディオ・ビデオシステムは、BUFFALOのDLNA対応ミラーリングNASをサーバにして、パソコンからアクセスしたり、BAFFALOのリンクシアター(LinkTheater)をTVのHDMIに接続した端末で視聴できるようにネットワークを構成しています。2.5年ほど前にパソコン用にHDMI付きの液晶モニタを購入した際、地デジとBSを同モニタで見ようとBUFFALOのテレビチューナ付きのリンクシアター LT-H90DTV を購入して使い始めました。
 同製品は、アマゾンの購入者評価で動作が不安定との評価があり心配していましたが、しばらくの間だ何とか動いていましたが1.5年ぐらい経過したあたりから電源を抜いてリセットする事が多くなってきました。また筐体がスタンバイ時でもかなり熱くなっていました。そして、2012年の夏、ついにリモコンで電源が入らなくなってしまいました。
 動作が不安定になり出したときから何となく中国製粗悪コンデンサが搭載されている様な予感がしていて、しかも電源は常時通電状態となる設計で、使い始めてから1.5年以上経過しているためこれは時限爆弾コンデンサに違いないと確信したので、ケースを開けてみたらお約束通り電源ユニットの電解コンデンサが2本ふくらんでいました。
 この製品は購入から2.5年以上経過していて保証はとうに切れています。買い換えるのも腹立たしく、粗悪コンデンサーが原因なのでクレーム処理に持ち込みたかったのですが面倒そうで、しかも、手元にもっとましなコンデンサがあるため自力で修理することとしました。
 修理するときは、同じ容量で耐圧が一回り高い物を選ぶと良いでしょう。駄目になったコンデンサの容量は2000uF/10Vと1000uF/16Vでしたがこれを国産の1000uF/16Vを2個と1000uF/25V1個で置き換えました。コンデンサ以外は壊れていなかったようで無事復活し、以後、電源を抜いてリセットする事もあまりなくなりました。
 皆様の中で私と同じ製品をお使いで動作が不安定になっているか不動になっているようでしたなら捨てる前に一度ケースを開けて電源のコンデンサがふくらんでいないかチェックされる事をおすすめします。ちなみに、もう少し古いもう一台のリンクシアター LT-H90LAN(チューナ無し)は今のところ元気に動いてます。



LinkTheater LT-H90DTVの外形


電源基板の上でふくらんでいるコンデンサが2本


粗悪コンデンサのお姿


コンデンサ交換後の電源


まとめ

 「中国製不良電解コンデンサは時限爆弾」と称してページを記述してますが、コンデンサを作ったメーカーの責任だけ追求するのは如何なものかとも思います。もっと悪いのは下請けにコストダウンを迫り、納品された物の検証を怠った製品の製造会社であると思います。特に、数年前から粗悪コンデンサーの存在は知られていたわけですから自社製品の品質に誇りを持っている会社であればパーツの納品時に粗悪品が混じっていないことの確認を怠ってはいけません。なにしろ、ユーザは購入した器機がトラブルを起こすまでそのようなパーツが使われていたことを知るすべがないのですから。
 ここで取り上げた時限爆弾コンデンサはメーカ保証の期間内に爆発することは少ないので、「保証期間過ぎの故障である」と取り合わないのは身勝手なな言い分ですがそれがまかり通っているのが現実です。火災でも起きればリコールができるのですが、保証期間が過ぎた後の挙動不審では喧嘩にもなりません。
 粗悪コンデンサ問題は多くのメーカの製品で発生しているようで、アップルではiBookなどの誤動作、富士通やHPのPCの誤動作、PCI社他のネットワーク器機の挙動不審、家電のコントローラの挙動不審などいろいろな事がネット上で話し合われています。多くの方は泣き寝入りし、腕に覚えのある方は自力で部品交換をしたようですが、中にはメーカーと粘り強く掛け合って対応させたという方もいます。
 一番いけないのは、粗悪コンデンサを組み込んだ器機は時間が経つと淘汰されて事件が忘れ去られてしまうことです。コスト削減によって生ずる、化学反応や熱、電力などの余裕不足などの不安定な要素を抱えた部分にストレスが積算して壊れるような不良部品や不良設計は今後も無くならないと思いますので発見したなら記録を残し、どんどんクレームを付け、できればリコールに持ち込みたいものです。
 最後ですが、使用中の器機が挙動不審になったり、突然動かなくなったりしたときは廃棄する前にケースを開けてコンデンサなどの部品をチェックしてみましょう。皆様の愛機がある日突然異臭を放ったり、煙を噴くことが無いことをお祈りします。


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