VUメータとアッテネータボックス

発行者:相馬 孝志
Nov.20,2009:初 版


はじめに

 団塊世代の自称電子回路マニアにとって、アナログ全盛期の放送局や構内放送の操作卓のVUメータはとてもカッコ良くあこがれの的でした。またアマチュア無線時代にお世話になった受信機のSメータ(シグナル強度計)や送信機のプレート電流計、オープンリールやカセットのテープレコーダーの録再レベルなどのアナログメータもカッコ良いものでしたが、これらが液晶やLEDのバーグラフ型になった時を境にオーディオ回路いじりの世界から遠ざかって単なるユーザとなってしまったように思います。
 ホームページの冒頭に記したように、最近、球のアンプ作りを再開したのと同時にアナログのVUメータと出力計が欲しくなり、とりあえずジャンクのケースに自照式のVUメータを取り付け、これにアッテネータを付け加え、さらにUSBオーディオを組み込んだボックスを作製しましたので紹介します。

VUメータ

 VUメータを作ろうと物色を始めたところ、交流の自照式アナログVUメータは大変高価でしたので安価なものを探したところTEACのオープンリールテープレコーダのVUメータを見つけることが出来ました。このメータは0VUが875mV RMSの交流式で、300mV RMS/10KΩを0VUとする私のシステムの標準に合わせるため簡単なアンプが必要となりました。また自照式のランプのために電源も必要となりました。
 メータアンプはトランジスタ1石の交流増幅器で300mVと600mVのレンジ切り替えを付けています。本当はOPアンプで作りたかったのですが電源をDC12VのジャンクACアダプタを流用したため、単電源OPアンプの手持ちがなかったことからディスクリートとなりましました。メータの照明電源もこれでまかないます。

アッテネータ

 私の小屋では思いつきで作ったモノラルを含むアンプたちを取っ替え引っ替えして音を出しますのでゲインが異なるアンプの付属ボリュームで音量を変えるのは億劫なのでマスタボリュームが必要でした。本アッテネータはSONYのスイッチ式のAVセレクタ(テレビの上)の後ろに入れることとしました。回路構成はアルプスの2連10KΩAのミニディテントボリュームと、24Φ2連10KΩB VRを使ったバランサーで構成した簡易な回路で、インピーダンス変化などの細かなことは一切考慮していません。

USBオーディオ

 古くからのMacユーザーなので色々なMacを経験しています。オーディオ用途としては静音マシンの先駆けで1997年頃製造のファンを持たないPowerMac G4 Cubeと言うMacをiTunes再生マシンとして使っています。G4 Cubeの設計は先鋭的で、ファンレスの他にDVDドライブ装備でオーディオはUSBで接続する目玉親父と呼ばれるスピーカーとディジタルアンプのシステムで本体内蔵のオーディオ入出力は備わっていません。このため外部オーディオにはディジタルアンプのヘッドフォーン端子を経由して接続します。また、専用のApple液晶ディスプレイとディジタルで接続する当時としては画期的なシステムです。本体には1.5GBのメモリと60GBのHDDを搭載してMac OS X 10.4で動かし最新のiTunesを入れています。
 当初はディジタルアンプのフォーン出力を使って外部オーディオと接続していましたが、外部オーディのゲインを上げると聞こえてくるディジタル系の信号漏れなどの雑音が気になり、若松通商のUSBオーディオキットWUAIF01を試してみることとしました。このキットの心臓である"PCM2706"は比較的高級なUSBオーディオにも使われているものです。また電源はPCのUSBから供給され外部電源不要でお手軽です。
 キットを購入して組み立てて音を確かめましたが価格の割には良い線をいっていると思います。これに出力用のBNCコネクタを用意してVUメータとアッテネータの箱に同居させました。蛇足ですが最近秋月電子で販売しているUSBオーディオはAppleの目玉親父のアンプ基板のようです。

まとめ

 VUメータボックスの外観と回路図を右に示します。回路は簡単ですがノイズを拾わないように部品を配置して配線することが重要で、入力の接地位置などに気を遣う必要があります。USBオーディオはキットなので回路図は省略します。モジュールを収容したケースは大昔のアンプの残骸で、トリオの「HiFiトライアンプ」と刻印されたプレートが付いています。
 VUメータが有るのと無いのでは大違いで、VUメータの機能は「このアンプは0VUの時フルゲインで12W出ます」などと具体的な評価が可能となるのでとても重要です。が、それにも増して、先ず部屋の雰囲気が変わること、特に電球照明の目盛板の上で針が振れている様子はとても良いに尽きます。
 また、針の振れを見ていると昔のレコードの音とそれをリマスタリングしたCDの音の違いや、やたらとレベルが高い最近のアホなCDの音などが針の振れ方の違いで何となく解るのもおもしろく、導入して良かったアイテムの筆頭にあげることが出来ます。
 アッテネータは、当初ソフトンの100KAタイプのものを予定していましたが、AVセレクタを通したり複数のアンプに分配するため信号を引き回す距離が長いので10KΩAとしました。ステレオバランスコントロールは-6dbの範囲で可変させることとしました。このアッテネータも大変便利でアンプたちのゲインがなるべくフルになるようにアンプ毎に合わせ、再生音量の調整は本アッテネータで行えるようになります。
 USBオーディオはなかなか良い音が出ています。久しぶりにキットを組み立ててみましたが、部品が小さいので年老いた目では部品の極性などを間違わないようにするのが難しくシニアグラス+拡大鏡のお世話になりました(最近はMT管のソケットの配線も大変になってきてます)。この部分はPCから電源が供給されるので他とは独立して単独で動作します。
 VUメータボックスは入力系をまとめていますが、VUメータの他に出力計も欲しいので近々改造しようかと思っています。ただし、出力計(電力=W)はVUメータと目盛りが異なるので問題があり、また入力と出力が同居することとなるので回り込みやアイソレーションなどに悪影響を及ぼしそうなので配置等を気合いを入れて考える必要があります。現在は写真のような8Ω/20Wのダミーロード入り自作電力計をアンプの出力測定用に使っています。


VUメータのある風景


VUMボックスの外観


iTunesマシンG4 Cube


VUMボックスの回路図



出力測定中の弁当箱アンプ


自作ダミーロード内蔵出力計

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