6SN7プッシュプル・1Wモノラル小型アンプ

初版 Dec.20,2007
更 新:Feb.16,2008(アンプの回路図を追加しました)


 このアンプは、2A3PPのドライバを考えながら6SN7の特性を眺めている時に、直線性がとても良さそうで、プレート損失も片側5Wもあることから、PPで2Wぐらいの枕元アンプに最適だろうと思い立って作った物です。
 回路構成は、6SL7の半分をヘッドアンプとしてゲインを稼ぎ、残り半分を直結P-K分割の位相反転として自己バイアスA級動作の6SN7PPをドライブしています。出力トランスは「市川」のITPP-3Wです。電源はトランスにSELの並四用を使い、直結の6SL7にやさしい傍熱型整流管12FKを使った半波整流回路としました。
 アンプの出力は、A級2Wを目標に固定バイアスの実験回路で動作点を探っているときにはAB1で3W近く出せましたが、実験結果を参考にA級自己バイアスで最も直線性が良いところに定数を合わせたらノンクリップ1W程度となりました。試作の時、おなじみの12BH7AやE182CC(=7119)、6CG7も試したのですが、いずれも6SN7並みの直線性を得る事が出来ませんでした。
 正弦波、三角波、方形波をソースとして入出力特性をオシロスコープで見たところ、帯域は出力トランスそのもので直線性も十分でした。残留ノイズは、整流回路が真空管式で負荷に比べて平滑定数を大きめにしたのでとても少なく仕上がりました。
 音の方は、ドライバ回路は定番のもので、出力トランスは小型でもそれなりですので、無骨な外観の割に心地よい三極管サウンドを奏でます。そして、PAX20Fとの相性も良く、ノラジョーンズや小野リサが就寝前の定番となってます。
 シャーシは、測定器のジャンク品で2.0tのジュラ板を凹型に曲げた1枚ものです。この上にトランスやケミコンなどの部品と真空管部分の回路を組んだサブシャーシを配置しました。
 外観は、ジャンクのパネルの不要な穴の部分を窓状に切り取り真空管が見えるようにし、カバーと窓は、メッシュの細かなアルミネットを紙のように切ったり折ったりして加工し、つや消しブラック塗装しました。カバーがネットなので中の部品が良く見え、さらに、アンプのスイッチを入れると真空管の優しい光がパネルの窓越しに見えるので雰囲気も良く気に入ってます。





6SN7プッシュプル・1Wモノラル小型アンプの回路図

 回路構成は、6SL7の半分をヘッドアンプとし、残りを直結P-K分割の位相反転として自己バイアスA級の6SN7PPをドライブしています。出力トランスは
「市川」のITPP-3Wです。電源はトランスにSELの並四用を使い、直結の6SL7にやさしい傍熱型整流管12FKを使った半波整流回路としました。
 設計当初、A級2Wを目標に固定バイアスの6SN7PP実験回路で動作点を探り、実験結果を参考にA級自己バイアスの定数を合わせましたが、出力が1Wに
満たなかったのでAB級に近い現在の定数になっています。ドライバの能力と終段のプレート損失はまだ余裕があるのでもう少し出力を取り出すように検討
してみる予定です。シングルに比べPPの場合は、直線性が保てる範囲でA級からB級までバイアスを動かせるのでいじり屋には向いていると思います。

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