そのころフランスの天文研究は、数理天文学や理論に偏重していたために、1874(明治7)年に発生した金星の太陽面経過の観測が十分にできなかったとの反省があった。 |
これまでに天文学者は、観測の結果から地球・太陽間距離を と の間にあると決定している。この数値には の差があるが、この差は不確定さを表すものである。 |
観測結果を伝える新聞報道がある。それは明治8年3月19日付け長崎新聞の雑報である。 雑報 昨年十二月九日、太陽の前を通る金星を見とて、當港へも米國と佛國との学者連ら参られ大層金?入?て、此事も澄み帰国致され、夫れより太陽と地球と乃距離乃算用に取り掛られ?今迄?何乃沙汰もなかりしハ、定て一通りや二通り乃十露盤て???ぬと思ひますに、朝野新聞に、米國や英國に先たち、?佛國ノ連中分算用致しあけ?太陽と地球とノ間?九千二百十万里??と、明白に發言したといふ事を書いてありました。 「長崎新聞」、明治八年三月十九日(金曜日)、第十六号、(四)、(五)、編集 西海人・田中神山、版行人 生田東十郎、新街 新聞局 この報道は、フランスで観測結果をまとめ、太陽と地球との距離を算出したとしている。この報道がなされた3月19日というのは、各国に派遣されていた観測隊の結果を集約して結論を出すには時間が短すぎる。 斎藤・篠沢(1973)によれば、パリで金星経過委員会でドラクロアが帰国報告をしたのが4月9日である。 どのような経緯でこのような情報がもたらされたのか不明であるが、朝野新聞からの報道として伝えられたものであるという。しかし、1天文単位の距離を報じている最初の新聞記事であろう。 |
「水路部沿革史 自明治二年至明治十八年、海上保安庁水路部所蔵、P.105〜P.105」を基礎資料とした。 |
Chr. 1 Lecocq = chr. 789 Dumas - 12m42s. 55 a 12h, 0 de 789 Dumas |
Chr. 1 Lecocq = chr. 789 Dumas - 12m43s. 10 a 20h, 9 de 789 Dumas |
2h26m11s chron. Dumas ou 22h52m30s t.m. de l'Observatoire |
6h16m6s chron. Dumas ou 2h42m25s t.m. de l'Observatoire |
Premier contact interieur Apparition de la lumiere. 22h52m34s, 5 |
Deuxieme contact interieur, Disparition de la lumiere. 2h42m36s, 5 |
800 Breguet ....... 6h55m28s |
I Lecocq .......... 13h46m 6s |
800 Breguet ....... 7h22m28s |
I Lecocq .......... 14h13m16s |
800 Breguet ....... 11h13m04s |
I Lecocq .......... 18h03m04s |
800 Breguet ....... 11h40m30s |
I Lecocq .......... 18h30m26s |
現象 | 諏訪山金星台 | 摩耶山 | 時間差(s) | 備考 |
---|---|---|---|---|
第1接触 | 10h46m06.8s | 10h46m15.5s | -8.7 | |
第2接触 | 11h13m16.0s | 11h13m25.5s | -9.5 | |
第3接触 | 15h03m04.4s | 15h03m13.5s | -9.1 | 原口pp14の諏訪山金星台 15h08m04.4s は明らかに誤り |
第4接触 | 15h30m28.8s | 15h30m29.5s | -0.7 |
第4接触の頃もモヤがあったため、その時刻の測定は不確かであること |
第2接触と見えた時に写真を撮らせたが、原板上では接触は起こっていなかったこと |
海軍水路寮神戸隊「摩那山」 | 北緯34°43′50.7″ | 東経135°12′18.3″ |
「ウォッちず」麻耶山(ほしのえき) | 北緯34°44′00″ | 東経135°12′21″ |
フランス隊の「諏訪山金星台」 | 北緯34°41′00″ | 東経132°53′30″ |
明治初期、外人は居留地に商館を持ち、住居は日本人との雑居が許されたが、それも生田川と宇治川にはさまれた区域と制限されていた。 |
京都 | 北緯:35 度 0.8 分 | 東経:135 度 43.9 分 | 標高: 41 m |
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福岡 | 北緯:33 度 34.9 分 | 東経:130 度 22.5 分 | 標高: 3 m |
地点 | 第1接触 | 第2接触 | 第3接触 | 第4接触 |
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京都 | 7:10:57 | 7:28:34 | 13:30:14 | 13:47:39 |
福岡 | 7:11:03 | 7:28:41 | 13:30:34 | 13:47:58 |
差 | 6s | 7s | 20s | 19s |