ケプラーの法則と定気法
 現在の24節気は定気法によっている。これはケプラーの法則を基にするものである。このことは特に文科系の人などにはなかなか理解し難いようだが、以下ではこれについて簡単に説明しよう。なお、以下の計算はパソコンや電卓で簡単に追認できるので、是非お試しいただきたい。

 2007年〜2008年の冬至、小寒、夏至、小暑は
 これから、
が得られる。

 つまり、夏至〜小暑(T2)は冬至〜小寒(T1)より約1日長い。
 1年の長さは、平年が365日、4年に1度の閏年が366日なので、平均では365.25日とすると、24節気の平均間隔は
 これとT1、T2の比をR12、R22とする。
 これらの平方根を採ると、
 実は、これらは各々の時期の地球〜太陽間の距離をAUという単位で表したものである。1AU は、地球〜太陽間の平均距離で、
である。したがって、
であるが、そんな煩雑な数字を覚えても何のトクにもならないので、AU単位で考えるのが良い。

 さて、ケプラーという人(1571-1630)は、「地球(惑星)の公転軌道は真円ではなく楕円である」ということを発見したのである。これをケプラーの第1法則という。
 楕円であるから、地球〜太陽の距離は一定ではない。その距離を表すのに離心率eという値が用いられる。地球の離心率は、
である。そして、地球が最も太陽に近付く点(近日点)では、太陽までの距離Rminは、
で、これは小寒に近い頃(1月3日)に起こる。一方、地球が最も太陽から遠ざかる点(遠日点)では、太陽までの距離Rmaxは、
で、これは小暑に近い頃(7月4日)に起こる。
 先ほどのR1、R2はこれらとほんの少し食い違っているが、それはこれらが15日間ほどの平均の太陽距離だからで、些細な違いは無視して良い。

 さて、以上のことを踏まえて、先ほどの計算を逆に辿ってみよう。これは次のように言い表すことができる。
 太陽距離をRとし(単位はAU)、これを2乗する。その結果に、節気間の平均間隔T0 日を掛けたものが、節気と次の節気の間隔である。
 実はこれはケプラーのもう一つの法則すなわちケプラーの第2法則に拠っているのである。
 その法則は、通常次のように表現される。
  R2ω=一定
 ここでωは(地球の)公転角速度というものである。地球が公転軌道上を角度にしてφだけ移動するのに要する時間がTであるとき、
である。
 さてここで、24節気の定義を思い出してみよう。たとえば、
  冬至:太陽黄経が270°となる時。
  小寒:太陽黄経が285°となる時。
  ・・・・・・
  夏至:太陽黄経が90°となる時。
  小暑:太陽黄経が105°となる時。
  ・・・・・・
 このように、(定気法では)節気は太陽黄経15°毎に定められている。このことは、節気と次の節気の間に地球は公転軌道上を15°移動することを示している。つまり、
  φ=15°
 したがってTを節気から節気までの間隔とするとき、ケプラーの第2法則は、
 しかし15°は常に共通なので、一定値に含ませれば良い。こうしてこの法則は
  T=定数×R2
と表される。そしてRがAU単位の時、定数はT0 日、すなわち節気間の平均間隔なのである。


May 7, 2008

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