夏至は "The first day of summer" ?

WEATHER
Temperatures in the Southwestern U.S.hit record highs at the peak of a heat wave around the first day of summer(June 20).
It was over 120°F in California cities Palm Springs and Thermal, and 118°F in Phoenix on June 19. At least four deaths were blamed on the extreme weather.
"TIME" July 4, 2016

 120°Fは だから、たしかにこれはとんでもない熱波である。
 しかし、もうひとつ気になったのはthe first day of summer(June 20)という記述である。日本人には理解し難いのではなかろうか?
 まず、June 20 は実は夏至なのである。日本では21日だったが、時差のため米国では20日だったのである。
 しかしまた、夏至を the first day of summer とするのにもうひとつ引っ掛かる。
 シェークスピア『真夏の夜の夢 Midsummer night dream』は夏至の夜の物語である。つまり夏至は midsummer だったのである。またG・S・ホーキンズ著 竹内均訳『ストーンヘンジの謎は解かれた』(原題:STONEHENGE DECODED)には「真夏/真冬の日の出/入り」などの表現が随所に見られるが、文脈から見て明らかに夏至/冬至のことである。
 東アジアでは を季節の始まりとするが、そうすると夏至はまさに夏の中央 midsummer となる。シェークスピアやホーキンズの季節観念もこれと同じなのである。ヨーロッパではケルト人がこの季節観念を持っていた。ケルトにはまさに四立に相当する概念がある。それはおそらくストーンヘンジの時代から伝わるものであろう。
 そして、くだんの夏至を the first day of summer とする TIME の記述は、この伝統と明らかに食い違う。現在の米国ではこちらが一般的なのであろうか? それはたとえば「立秋なんてちっとも涼しくない」などと下らない言いがかりをつける近年の日本人とよく似ているように見える。洋の東西を問わず、伝統的季節観念は喪失されようとしているのだろうか・・・

Jul. 2016
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