「…はぁ…」



 ベッドに横になって一息

 まだ殆ど何もされてないけど
 色々とされるのはこれからなんだけど――…


 既に疲れがピークに達している

 あぁ…きっとこれは精神的疲労だ
 後で本物の医者に胃薬を処方してもらおう




「ジュン君、腕を出して」


 ゴールドの手には真っ白な包帯が握られている

 あー…まだ続くのか、このプレイ
 さっさとやる事やって終わらせたかったんだけど

 まあ…仕方が無い
 ここまで来たら最後まで付き合うか



「ほら」

「はい、動かないで…」


 腕に怪我をしたという設定なのだろう

 包帯で腕がぐるぐる巻きにされて行く
 あっという間に両腕が手首まで真っ白だ


 伸縮性はあるものの、ここまでギチギチに巻かれたら包帯というよりギプスだ





「…って…どんな大怪我だよ、これ…」

「はい、次は足です
 大きく開いて下さいね――…」


 足も!?
 両手足の骨でも砕けてるのか俺は!?

 …いや、一々突っ込んだら終わりだ
 あくまでもこれはプレイなんだから広い心で受け止めないと――…



「仕上げにこの包帯をベッドに固定して…はい、これで拘束完了です
 真っ白な包帯というのも縄や鎖とはまた一味違った趣があってイイですね」

「縄の代わりかよ!!
 怪我の治療じゃないのかよ!!」


 気付いた時には遅い
 手足の関節がギシギシと軋む

 大の字に固定されている身体は石膏で固められたかのように動かなかった




「…縛られてるって気付いていたら…殴ってでも抵抗したのに…」

「そんな露骨に悲しそうな顔をしないで下さい
 別にこれからメスを取り出して解剖ごっこをするわけでもないのですから」


「されてたまるかぁ――…っ!!
 いいから保険医らしく絆創膏でも貼ってろよ!!」

 鞭で容赦なく打ち据えてくるような奴だ
 解剖までは行かなくても、皮膚一枚くらいは切り裂かれる可能性がある


「ああ…勿論、ちゃんと治療はしますよ
 その為に包帯を巻いて動きを封じたのですから」

 その包帯の使い方は間違ってる
 胃カメラの際の抑え込み要員じゃないんだから…っ…!!






「さぁて…先生が優しく手当てしてあげましょうね…」


 ゴールドが例の怪しげな箱から何かの瓶を取り出した
 瓶のラベルには『消毒液』の三文字が書かれている

 ピンセットで挟んだ脱脂綿に消毒液を浸すと、ゴールドはにこやかに微笑んだ


「さあ…包帯も巻き終えたことですし、消毒しましょうね」

「それ、順序が逆だから!!
 普通は包帯巻く前に消毒だからっ!!」


「些細な事は気にしなくていいですよ
 要は楽しむ事が出来ればいいのですから」

 たっぷりと消毒液を含んだ脱脂綿が首筋に押し当てられる
 アルコールの冷たさに鳥肌が立った




「お前は凄く楽しそうだな…」

「楽しくないですか?」

「消毒液塗りたくられる事に楽しみを見出せないな」


 しかも縛られてるし

 …大体、消毒液付け過ぎなんだよ
 本来はすぐに蒸発する筈なのに、全身びしょびしょじゃないか

 なんだかスースーし過ぎて悪寒がしてきたし
 消毒液が原因で風邪をひいたらシャレにならない





「そろそろ感じる所を可愛がってあげましょうか
 まずはこの小さな胸の突起から―――…」

「―――…っう…!!」


 脱脂綿が押し当てられた
 小刻みに刺激を与えられて、反射的に身体が跳ね上がる

 冷えていた身体が熱を帯び始めてきた


「…乳首、立ってきましたね
 そんなに気持ち良いですか?」

「ば、馬鹿っ!!
 さっさと包帯解けよ、この変態…!!」

「…口の悪い子ですね
 少しお仕置きが必要でしょうか」



 脱脂綿を取り外すと、
 今度はピンセットで直に触れてくる

「…っ…こ、こら…冷たいっ…」


 冷やりと冷たい金属
 乳首を摘み上げられる痛みに身体が震える

 薄い皮膚を引き伸ばされ、
 充血したそこを挟んで捏ね回される


 じんじんと痺れる様な痛みと冷たさに身体が萎縮した




「…うぅ…っ……痛っ…!!」

「ふふ…真っ赤に膨らんで、
 まるで熟した果実のようですね…」


「や、止めろよ…痛いって…!!

「これ、力加減が自由に出来て良いですね
 こうやって引っ張ることも出来ますし…気に入りました」


「お、俺は嫌いだっ!!
 悪趣味なんだよ、馬鹿っ!!」

「おやおや、不満なのですか?
 じゃあ今度は金属ではないもので可愛がってあげます」



 最後に強く乳首を押し潰すと、名残惜しそうにピンセットが離れてゆく
 ズキズキと痛みを訴えるそこは赤く色付いていた

「くっ…」

 じわり、と涙が滲む
 痛い事はしない約束だったのに


 それともこの程度の刺激はまだ痛みの基準ではないのだろうか






「…お、おい…
 頼むから酷い事はするなよ…?」

「ふふふ…大丈夫ですよ
 金属じゃないですから怪我もしません」


 そういってゴールドが取り出したのは綿棒だった
 先端は柔らかい綿で覆われているし、確かにこれで傷付く事は無いだろう



「…俺、耳掃除は今朝やったばかりなんだけど…」

「耳には使用しません
 もっと気持ち良い事に使いますから」

 軟膏の容器を開けると、その中に綿棒を差し込む
 たっぷりと薬がついた所でゴールドは含みを持った笑顔を浮かべた




「…おい、何やってんだ…?」

「濡らさないと痛いですし、うまく入りませんから
 さあ挿れますよ、力を抜いて…恐がらないで下さいね」

「恐くないよ、そんなもの…」


 普段、どれだけ太いものを挿れられてると思ってるんだ

 細い綿棒なんか痛くも何とも無い
 それに、こんなに軟膏を塗ってくれてるし…きっと、大した抵抗も無く入る


「挿れるなら、早くしろよ…」

「ふふふ…そうですね
 それでは失礼して…」



 ゴールドの手が下腹部に這わされる
 その指はジュン自身を刺激するだけで、後ろには伸びてこない


 …何だか嫌な予感がした

 そして綿棒が尿道に押し当てられるのを見て、
 嫌な予感が的中した事を知る


「ち、ちょっと待っ…
 そっちは止めてくれよっ!!」

「大丈夫ですよ
 恐くないですからね…」


「だっ…だって、そんな所…入らないっ…!!」

「ふふふ…心配しなくても大丈夫ですよ
 鉛筆くらいの太さまでなら問題ないそうですから」





 ぐっ、と指先に力を込められて、
 綿棒の先がゆっくりと押し込まれる

 軟膏は塗ってあるけれど――…


「…うぅ…痛い…っ…!!」

 狭い内壁を強引に押し広げられる
 焼け付くような痛みに無意識に奥歯を噛み締めた

「すぐに慣れますよ
 ほら、こうやって―――…」


 指先でくるくると綿棒を回転させたり、
 浅く抜き差しを繰り返して軟膏を塗り込む

 それでも足りないと判断したのか、
 一度それを抜くと再び容器の中を掻き回して薬を塗りつける


 べたべたとした不快感に昂っていた身体は瞬時に萎えて行く





「…そんなに痛いですか?」


 気遣うような言葉を掛けながらも、
 その手は動きを止めることは無かった

 角度を変えながら震える肉壁をぐりぐりと刺激し続ける
 容赦の無さに、このまま尿道を突き破られそうな気さえしてくる



「…く…ぅ……痛いってば…!!」

「こんなに小さく萎えてしまって…
 可哀想に、慰めてあげましょうか」

 空いた方の手で中心を握ってくる
 手にも軟膏を塗っているのか、妙にベタベタした


「うぅ…くっ…ああぁ…よ、止せ…っ…!!」

 全身が竦み上がる
 普段は気持ちい筈なのに、今日は違った

 綿棒を押し込まれている尿道が圧迫されて激痛が走る




「あぁ…ぁ…抜いて…
 早く抜いてくれよ…っ…!!」

「もう少しだけ、楽しみましょう」


 綿棒を扱う手は一向に動きを止めない
 抜く気も全く無いらしい

 楽しんでいるのは明らかにゴールドだけだった



「…ゴールド、頼むから…
 なぁ、頼むよ…痛いの嫌だ…」

「そんなに痛いですか?
 赤くなっていますけど、傷はありませんよ?」


 ゴールドの痛みの基準は傷があるかどうか、という事らしい
 しかし傷付いていなくても痛いものは痛い

 戦士である彼は傷みに耐性があるのかも知れないが、
 平凡な学生だったジュンは、そういうわけにもいかない



「…っ…い、痛いんだ…っ…!!
 痛いってば…ゴールド、早く…っ…!!」

「我侭な子ですね…そこも可愛らしいのですが」


「…っく…ご、ゴールドぉ…
 う、嘘つき…っ…い、痛いことしないって…言ったのに…っ!!」

「はいはい、わかりました
 じゃあ次に使うものと綿棒を交換しましょうね?」


 つぷ、と綿棒が引き抜かれた
 無理に押し開かれた尿道は閉じる事無く震えている





「…痛かった…馬鹿…」

「…ゴメンなさいね、ジュン…
 貴方が可愛い子ですから…つい虐めたくなってしまって」


 涙を拭ってくれる
 でも、優しいようで優しくない

 彼が取り出したものを見た瞬間、ジュンはゴールドに対する怒りを募らせた



「さあ、力を抜いて下さい」

「…ふ、ふざけるなよ…っ!!」

「ふざけてなんか、いませんよ?
 医療で使われているものですし」


「だ、だからって…こんなの…っ!!
 もっと他に無いのかよっ!?」

「そうですねぇ…大抵のものは使いましたよ
 これは嫌がると思って使わないつもりだったのですが…
 でもお約束として、やっぱり使ってみたい気持ちは否めません」

「じゃあ使うなよっ!!
 お前は俺を殺す気か!?」


 ゴールドの手に握られているもの
 それは巨大な注射器だった

 新たな恐怖に血の気が引いて行く



「これ…シャレにならないだろ!?
 遊びで済ませられる範疇じゃないぞ!!」

「恐くないですよ」

「見るからに恐いだろうっ!!
 俺、昔から注射は大嫌いなんだよ!!」


 どんなに熱が出ても薬で治した
 予防注射するくらいなら寝込む方を選んだ


 子供の頃、注射は嫌だと泣いて親や医者を何度困らせた事か





「…ああ、安心して下さい
 見た目は注射器ですが、違うものですよ」

「だって…中に液体入ってるし…」

「でも、針はついていないでしょう?
 ほら…押し当てても痛くないですし」


 ゴールドは自らの腕にそれを押し当てる
 確かに注射器には針のようなものはついていなかった

 注射をされるわけではないと、一先ず安心する


「…でも…じゃあ、これって…何…?」

 使用用途がまるで予測つかない
 中の薬と思われる液体は一体どうするのだろう

 まさか飲めとは言われないだろうが…



「中身はグリセリンですよ」

「…グリセ…リン…?」

 どこかで聞いたことがあるような気がする
 一体、何だっただろうか――…


「簡単に言えば浣腸ですよ
 まぁ、ボクたちSM愛好家にとっては定番のものです
 注射器形をしていると、このまま注入できて楽ですね」


 にっこりと微笑むゴールドを前に、
 何かを言ってやりたくても言葉が出てこない

 思考回路がフリーズしている
 頭が考える事を拒否しているらしい


「…えっ……え?」

「大丈夫ですよ
 初心者向けに量は少なくしてありますから
 慣れてきたら溶液の量も少しずつ増やしていきましょうね」

「じっ…冗談じゃないっ!!
 そんな事されてたまるか…っ!!」


 ようやく現状を飲み込めてきた
 …が、理解出来たからといって何の解決にもならない

 これならまだ綿棒で虐められていた方が精神的にも楽だ





「嫌だっ…!!
 俺は絶対に嫌だぞ!?」

「心配しなくても大丈夫です
 ほら、ここに携帯用トイレもありますし
 シーツを汚す事もありません、安心して下さい」


「そういう問題じゃない…っ!!」

「ふふふ…じゃあ、いいじゃないですか」


 注射器の先、本来は針が着いている場所にゴールドは軟膏を塗り始める
 続いて、ジュンの身体にも彼の指は伸びてきた



「しっかり濡らして、慣らしてあげますからね」

「いっ…要らないっ!!
 嫌だって言ってるだろうっ!!」

「そうですか?
 じゃあ…このままで」


 冷たい器具の感触
 ずるりと押し入ってくるのがわかった

 青ざめた顔に冷や汗が流れる




「嫌だってば!!
 俺の言ってる事、聞こえてないのかよ!?」

「…聞こえていますよ?
 そんなに嫌なら、逃げても構いません
 両手足を拘束された状態で逃げ出せるのなら…ね」

「お、お前なぁ…っ!!」


「さあ…諦めなさい
 どうせ逃げも隠れも出来ないのですから
 大人しい良い子にしていれば、それほど酷い事はしません
 ただし、いつまでも素直にならない悪い子には…痛いお仕置きが待っていますよ」

「―――……っ…」



 ここまで来たら脅迫だ
 目の前の悪魔は人を脅す事に躊躇いも無いのだろう

 悔しい
 でも、悔しさより焦りが先走る


 じんわりと体内に広がる冷たいもの
 ゆっくりと注ぎ込まれて行く液体に背筋が凍る



「まっ…待て!!
 止めろよ、止めてくれよっ!!」

「あ、力まないで下さい
 まだ出されては困りますから
 もっと効いて来るまで我慢してもらわないと…」

「嫌だぁ―――…っ!!」


 次第に下腹部が重くなってくる
 じわじわと鈍い痛みが広がってきた



「…うぅ…う…」

「一先ず、この辺で勘弁してあげましょうか
 一度で使い切ってしまうのも勿体無いですからね
 残りはまた後で使ってあげましょう―――…聞こえてますか?」


 聞こえてはいる
 でも、返事をする余裕が無い


「…う…っく……うぅ…」

 内臓が暴れている
 腹の中が泡立っている錯覚さえしてきた





「…顔色、悪いですよ
 可哀想に…辛いのですか?」

 注射器を箱に戻すと、
 ゴールドは慣れた手付きで額の汗を拭う


 涙の浮いた瞳に唇を寄せて、頬に張り付いた髪を払ってくれた

 …今更優しくされたって、嬉しくない
 それどころか怒りや怨みの感情が怒涛のように押し寄せる

 自分をこんな状態にしたのは他ならぬゴールド自身だ



「…く…っ…もう…ほ、解けっ…!!」

「まだ解きませんよ
 先程は痛い思いをさせてしまいましたからね
 お詫びも兼ねて、これから気持ちの良い事をしてあげようと思います」

「ふっ…ふざけんな!!
 いいから解けって…早く…っ!!」

「もう限界なのですか?
 今入れたばかりじゃないですか
 ジュンは堪え性の無い子ですねぇ…」


 他人事のようにのんびりとした口調

 涼しい顔のゴールドを前に、どんどん頭に血が上って行く
 そのうち血管が切れそうだ



「じ、じゃあ…お前もしてみろよっ…!!」

「それは嫌です
 虐められるより虐める方が好きなんで」

「おっ…お前っ…!!
 ふ、ふざけんなっ!!」


「そんな怖い顔で睨まないで下さい
 ほら、いい物をあげますから…ね?」

「何を―――…んうっ!?」




 突然口の中に何かが押し込まれる

 不意打ちを食らった
 歯を食い縛って拒む隙さえない

 力任せに押し込められて思わず咳き込む


「あ、大丈夫ですか?
 舐めて濡らして欲しいだけなのです
 だから歯を立てないようにして下さいね?」

「う…うぐ…うぅ―――…」


 口の中が圧迫される
 押し込まれているものはそれほど長くはない

 けれど中央の辺りが極端に太い
 それなのに先端は妙に括れている

 その形状のせいで思うように吐き出すことが出来なかった




「…う…ぐっ…」

「そろそろ良いですかね
 はい、口を開いて下さい」


「ん―――…」

 唾液が一本糸を引く
 たぶんこれもゴールドが買った玩具のひとつだろう



「これ、何…?」

「このプラグですか?
 ちょっとした小道具です
 まぁ…ストッパー的な役割をするものですよ
 はい、挿れますから力を抜いて下さいね…?」


 ぐっ、と玩具が押し当てられる
 圧迫感が腹痛に拍車をかけた



「…ま、待てよ!!
 それじゃあ約束が違う――…!!」

「心配しなくても大丈夫ですよ
 この大きさなら、それほど痛くないですから」

「い、嫌だ…嫌だって―――…!!」


 ゴールドが更に力を込める

 ゆっくりと身体が玩具を飲み込んでいく
 じわじわと広げられる感触が屈辱だった


 しかし次第にその屈辱を感じる余裕さえも無くなって行く




「うぐ…っ…う、うぅ…!!」

「…そういえば途中で極端に太くなっている部分があるのですよ
 まぁ、そうでなければアナルプラグとしての役目は果たさないのですが
 …ここさえ乗り切れば、あとはすんなりと入りますから頑張って下さいね」


「い…痛い…っ!!
 止めろっ…これ以上は無理だって…!!」

「ボクのより細いですよ
 力まないで楽にしていれば入りますから」


 優しく微笑みながらも、その手は容赦無い
 片手で入り口を抉じ開けながらもう片方の手で強引に玩具を捻り込む



「――――…っ!!」

 身体が引き裂かれるような痛みに身体が竦み上がった
 涙が浮かんだ眦をゴールドが舐め取りながら優しく耳元で囁く


「さあ、全部入りましたよ
 よく頑張りましたね…御褒美をあげましょうか」

 彼の手がジュンの下肢に伸びる
 痛みに萎縮しきっていたジュン自身を手に取ると、それに愛おしそうに口付けた


「…っ…お、おい…っ!!」

「ふふ…そろそろ気持ち良い思いをしたいでしょう?
 痛みに震える悲鳴も好きですが、
 快楽に身悶える貴方の声も堪らなく魅力的ですよ…」


 ねっとりと舌が絡みつく

 唾液を絡ませながら、ゆっくり舐め上げる
 何度も何度も、時間をかけながら

 少しずつ焦らしながら快楽へと追い立てると、
 もどかしい刺激にジュンが悶える



「あぁぁ…ゴールド…!!」

「物足りないですか?
 もう少し強い刺激の方が好きなようですね?」


「…うぅ…っく…」

「それでは、こういう刺激は如何ですか?」


 舌を這わせていたジュン自身を、今度は口に含む

 唇と舌で刺激を与えると、
 ゴールドの口の中でジュン自身が見る間に質量を増して行く



「ああぁ…っ…ぁ…」

 更なる刺激を求めてジュンの腰が淫らに動く
 その腰をくねらせる度に浮かんだ汗がシーツに滲み込んで行く

 ゴールドは唇を上下に動かして更にジュンを追い詰めた


「……あぁ…あ…!!」

「…いけない子ですね…もうこんなにさせて…
 ふふふ…今にも達してしまいそうじゃないですか…?」

「ゴールド…もう…っ…!!
 もう、限界…っ…!!」



 自由にならない手でシーツを掴む
 白い布に爪を立てて迫り来る快楽の波に耐える

「…本当に、堪え性の無い…
 感じ易いのは結構ですが、もう少し楽しむ事を覚えなくては…ねぇ?」


 ゴールドはジュンのものから唇を離すと、
 唾液で濡れそぼるそれを指先で弄び始める

 遠ざかる絶頂にジュンが堪らず悲鳴を上げた


「…や…ゴールド…っ!!
 いかせて…も、もう少しなんだ…っ…」

「簡単に達してしまっては面白くないでしょう?
 もっとじっくりと…いたぶって差し上げますよ」

 そう言うとゴールドは刺激を求めて震えるジュンのものに突然爪を立てた



「ぐ…ぁ――…っ…!!」


 快楽から一転、激痛に襲われてジュンが悲鳴を上げる

 信じられない、という眼差しでゴールドを見上げると、
 目の前の男は相変わらずの笑顔を浮かべていた


「そう簡単に楽にはさせませんよ
 気が狂うほど苦しんで乱れて貰わなければ面白くないでしょう?」

 楽しくて仕方が無い、というゴールドの笑み
 対称的に血の気を失って行くジュンの表情



「…愛していますよ、ジュン…」


 眼鏡のレンズが冷たく光を反射させる
 そして白衣の悪魔は震えるジュンの頬に唇を落とした


 まだまだ夜は長く続く―――…