東鳩SS外伝『闇』 投稿者:まさた

 ――闇は恐怖



 少女は部屋の片隅で蹲っていた。
 閉ざされた空間で、少女はひとり脅えていた。

 どうして自分がそこにいるのか――
 ここで自分がいったい何をしているのか――

 少女にはもはや何もわからなかった。



 ただ、部屋の対側の隅に放られた、かつては「ひと」であった肉塊のように、
自分のそうなってしまうのだろう。

 それだけが、少女の知ることのできる事実。

 アレの欲求を満たす玩具として遊ばれ――
 そして、遊びに飽きたら捨てられるのだ――


 ――捨てられるのだ


 少女はビクと身を強ばらせた。
 それと同時に、少女の四肢に繋がれた鉄鎖がカチャリと揺れる。
 その音に再び少女は身を引き締める。
 揺れるようにカチャカチャと鎖が音を立てた。

 捨てられること――それは、つまり、「死」を意味しているからだ。

 そして、「死」はつまり、部屋の隅に放置された人形のようなソレを意味して
いるのだ。

 カチカチと鎖の震える音が――静かに響く



 ――闇は恐怖



 少女は目覚めぬ悪夢にうなされる。

 永遠に――呪われた者として