KOBE ルミナリエ2000 投稿者:UMA 投稿日:12月25日(月)23時17分
「うわぁ…」
マルチとあかりが感嘆の声を挙げる。

「どうだ、マルチ。夏に見た花火と、どっちが綺麗だ?」
「ええっと、ええっと…」
「そっか、どっちも綺麗か」
「はい」
マルチは元気よく答えた。

今、俺とあかり、マルチの3人は、神戸でやってる『ルミナリエ』ってやつを
見に来ている。これは、震災犠牲者へのの鎮魂と復興・再生への夢と希望をこ
めたもので、今年で5回目を迎える港町神戸の冬の風物詩だ。
ちなみに”ルミナリエ”とはイタリア語の「イルミナチオーネ ペル フェス
テ(祝祭のためのイルミネーション)」から生まれた言葉だ。

「ねえ浩之ちゃん、何か食べる?」
ルミナリエの光の回廊を抜けたところにある、東遊園地で休んでいるとあかり
がそう言った。

「ああ、そうだな。んーっと、梅ケ枝餅」
「…浩之ちゃん。ここ神戸よね?」
「冗談だ。たこ焼き買ってきてくれ」
「うん。あ、浩之ちゃん、あそこ見て」
あかりがある人物を指さす。

「あれは…。コーイチさん?」
彼の名は柏木耕一。地上最強の鬼にして最強のロリコンという男だ。おっと、
向こうもこっちに気が付いたようだ。

「お久しぶりっす、コーイチさん」
「やあ、浩之。あかりちゃんにマルチちゃんも一緒かい」
あかりとマルチが会釈をする。

「コーイチさんは、誰と一緒に?」
「ああ俺か?俺は初音ちゃんと一緒さ」
コーイチさんの後ろから、ちっちゃい女の子が現れる。見た目はどう贔屓目に
見ても小学生なのだがこれでも彼女は俺達と同じ年だ。

「こんばんわ、ひろゆきくん、あかりちゃん」
「ああ、こんばんわ」

・
・
・

「それでね、お兄ちゃんったらね…」
「へー…」
あかり達が話し込んでいるうちに話が弾んで、いつのまにか俺とコーイチさん
は話の輪からはずれていた。女の子はよく喋るなぁ。
しかたないので俺達は、缶コーヒーでも飲みながらぼーっと二人で人の流れで
も眺めている。

…お、祐介と沙織ちゃんだ。
…そっちには月島兄妹もいる。
…こっちは健太郎とちっちゃいスフィーか。どっかでどっかで見た人が多いけ
ど、ここって神戸だよな?
…今度はじじいと雅史か…ってちょっとまて!

「おい!雅史!!」
「あ、浩之」、雅史。
「お久しぶりです、藤田様」と、じじい。が、俺はじじいを無視して雅史に言
い寄る。
「『あ、浩之』じゃねえよ。なんでじじいといるんだ?しかも手ぇ繋いで!」
「どうしたの浩之ちゃん?大声だして」
俺の声に気が付いたあかりが声を掛ける。

「…浩之。僕たちの関係、もう終わったんだよね…」
雅史は恐ろしい事を口走った。

「はあ?雅ま、史、おまえ何言ってるん…」
「えぇぇぇぇっ!浩之ちゃん、ホモだったのぉぉぉ!!!!」
俺の台詞をかき消すようにあかりが思いっっっっっっ切り大きな声で驚く。

「俺は違うって!!」
「…もう愛してくれないんだね。だから…」
じじいの腕に寄り添うようにして雅史が言う。

「いやあぁぁぁっ浩之ちゃん、男同士だなんてぇぇぇ!!!」
「お、俺は断じてホモじゃねえって!」
「本当に?」
あかりが訝しげに聞く。

「ああ」
「…じゃあ、ロリコン?」
「ああ」
あ。あかりの誘導尋問(そうか?)にまんまと引っかかる俺。

「…コホン。あの〜、あかりさん?今のは…がはっ」
あかりは無言のまま右ボディブローをかました。くの字になる俺。
そして、間髪入れず左アッパーと左膝が俺の顎と鳩尾を直撃した。真上に吹き
飛ばされる俺。
さらに、俺が落ちてくるのを見計らったように、強の波動拳が追い打ちする。

どさっ…。地面に激突する俺。

あかり…。ホモだと大騒ぎするくせに、ロリコンだと無言で撲殺かい…。あか
りのそんな一面が見られるとは、思わなかったぜ…。
そんなことを考えながらクリスマスの夜は更けていった。



<おしまい>
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どうも『ルミナリエはあかりが真昇竜拳を初めて披露した記念すべきイベント
です(をい)』のUMAです。


今回は2000年12月のイベントSSのお題である
『クリスマス』
で書いてみました。
って言っても1997年12月26日(金)にアップしたSSのリメイクですが。細部は
書き直してますが、大筋は変えてません。

#オリジナルでは耕一は四姉妹全員をと一緒でした

ぢゃ、そういうこって。
でわでわ〜(^_^)/~