日本フカシ話 シンデレラ第3話 投稿者:UMA 投稿日:8月31日(木)23時19分
<あらすじ>

劇団『りーふ』の公演がここ、隆山小学校で行われている。
お題目はシンデレラ。
継母にいじめられていた娘が、魔女の助けで王子と結婚して玉の輿にのるとい
う、『シンデレラ○○』の語源になった、『楽して富を手に入れよう』という
童話だ(ちょっと違う)。
前話で魔法使いの力で舞踏会に出たシンデレラだったが、魔法の力が切れてし
まい、逃げるように舞踏会から帰ってきたのだった。

・
・
・
(幕があがる)
・
・
・

(ナレーション:桜井あさひ)
 『お城で舞踏会から数日後、国中では舞踏会に現れた謎の美幼女シンデレラ
  のことが話題になっていました。
  そして、その話しはシンデレラの家にも聞こえてきました』

「ねえ、知ってる?」
「何ですカ?」
継母(LV3スフィー)と姉(レミィ)もシンデレラの事を耳に入れたようだ。

「この間のお城の舞踏会の時来てた、シンデレラって娘のことよ」
「Yes!知ってるヨ。何でも、王子様が花嫁にしたいって探してるのよね」
「そうそう。シンデレラって言っても、アレは…」
継母は一旦言葉を切り部屋の隅で掃除をしているシンデレラ(初音)に視線を向
ける。
今のシンデレラは、粗末な服を着て一生懸命掃除をしている。どう見ても先日
の舞踏会見た同名の女性と同一人物には見えない。

「…違うわよねー。ねえ、いっそのことあなたが『シンデレラ』になりきって
王子の玉の輿に乗ってみる?」
「ワタシがシンデレラですカ?」
「そうそう。絶対バレないから」
「そう…かな?」
と、親子でセコいたくらみをしていると、城からの二人の使者が現れる。

「御免。ここにシンデレラという娘がいると聞き及んだのだが、貴女がシンデ
レラか?」
「No…じゃなくて、Yes!ワタシ、シンデレラあるヨ」
使者(柳川)の問いに慌てて答える偽シンデレラこと、姉。

「では、シンデレラという証拠にこの靴を履いてください」
「靴?」
姉の前にガラスの靴が差し出される。
履く前から分かるが、サイズが違いすぎる。

「貴様、騙したなっ!!その命、狩ってくれる」
「えっ!?」
と、姉が思う間もなく使者の鬼の爪で袈裟懸けにされる。
ぷしゅーっと噴水のように上がる鮮血が美しい。

「くっくっくっ…。やはり、若い女の血は美味いぞ…。さてと。次の得物は貴
様かぁ…おごぉっ!?」
「『得物』ではなく『シンデレラ』を探してるのでは?」
使者が暴走しそうになったところを王子の侍女(セリオ)に止められる。
背後から踵落としを思い切りカマしたのだ。効かないハズがない。

「は、はいそうでした…」
たんこぶのできた頭をさする使者。
どうやら今の一撃で正気に戻ったようだ。

「さて改めて、お前がシンデレラか…って、聞くまでもないな」
継母は多少幼いとはいえ、子供用のガラスの靴が履けるように思えない。が、

「うりゅ〜。あたしがシンデレラだよ〜。ちょっとそこで待ってて。あたしが
シンデレラだって証明してみせるから!本当だよ!!」
と、言って継母は部屋から出ていく。そして、

『まじかるさんだーっ!』
『まじかるさんだーっ!』
『まじかるさんだーっ!』
舞台裏から雷撃魔法を連続で詠唱する声が聞こえる。
そのたびに照明が明滅して、魔法の凄さを演出する。

「お、おまたせ〜…」
暫くして、ちっちゃい女の子が部屋に入ってきた。かなり幼くなってはいるが
継母(LV0.5スフィー)だ。

「えっと…誰?」
「シンデレラよ、シンデレラ!ほら、靴貸して。履いてみせるから」
「は?はあ…」
よく分からないと思いつつ、使者は靴を幼女の前に靴を置く。
そして、継母が靴に足を入れる。

「…」
「…」
「…」
「…ぶかぶか…」
「…ぶかぶか、ですね…」
どうやら、継母は魔法を使いすぎたのか、予想以上に幼くなってしまいガラス
の靴のサイズより小さくなってしまったようだ。

「貴様も騙したなっ!シンデレラはどいつだぁぁぁ?ああ!?」
「うりゅぅぅぅっ…!」
体が幼くなったこともあるが、使者に凄まれた継母は泣きながら部屋の隅に
いるシンデレラを指さす。
もっとも、今の使者を見てビビらない方が凄いだろうが。

「そぉぉぉかぁぁぁ、きぃさぁまぁがぁシンデレラかぁぁぁ!!」
「ひぃっ!ふぇ…。ふえぇぇえぇぇぇぇん」
鬼のような形相でシンデレラに近づく使者。当然のように泣き出すシンデレ
ラ。

「おい女!泣いてないでさっさと靴を履きやがれ!!」
「ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇ…」
両手で顔を覆って泣きじゃくるシンデレラ。

「…しかたありません。ねえ、シンデレラちゃん?いい子だから、お靴を履き
まちょうねー」
「ふぇ…。う、うん…」
と、侍女が『幼稚園の保母さん的幼児のあやし方』でシンデレラをあやしなが
ら優しく抱いて靴を履かせる。すると、

「まあ、お靴のサイズがぴったりだわ。王子、見つけました」
「なにっ本当か!よし、今行くぞ」
そう叫んで王子(浩之)が部屋に入ってくる。

「そーかそーか。キミがあのときの女の子かー」
「ふぇ?」
侍女の膝の上で半泣きになってるシンデレラを抱き上げる王子。

「ちっちゃい娘っていいよなぁ。うん、決めた。シンデレラ、キミを后として
迎えよう」
「ふぇ?えぇぇぇぇっ!!」
いきなり求婚されたシンデレラは驚く。

「そうだ、そっちのお嬢さんも第二后ってことで…」
「うりゅ?うりゅぅぅぅぅ!!」
継母も驚いてる。そりゃそうだ、あまりにも突然の展開だからだ。

「あとは…」
と、王子が辺りを見渡していた、そのとき。王子の背後に一つの影が近づくの
が見える。その影が王子を掴んだ瞬間、照明が消える。

どかかかかっ…!!
合計15回の打撃音とともにフラッシュが光る!
そして再び証明がつくと、

『犬』
という文字をバックに、一人の女性が立っている。足元には完全に延びている
王子が横たわっている。瞬獄殺、という超必殺技だ。

「…王子?」
「げはっ…。は…はい…」
王子をいきなり屠ったのは王子の教育長(あかり)だ。

「小さい子が好きなの…?」
「いや…その…」
「ロリコン…だったの…?」
「まあ…なんという…かっ!?」
王子が反論しようとするが、教育長の右フックがそれを制する。

「ぐっ…」
重いパンチを喰らって前のめりになった所へ昇竜拳がキャンセルで繋ぎ、さら
に空中から天魔豪斬空でダウンした王子に追い打ちをかます。
空中で必殺技から超必殺技へ繋ぐとは、教育長の潜在能力は計り知れない。
そこへ、

「あたしの玉の輿を邪魔しないでよ、まじかるさんだー!」
継母の雷撃魔法が着地した瞬間の教育長を襲う!
が、教育長はそれを片手で軽くガードする。どうやら着地後に硬直というのは
無いようだ。

「ごめんなさい。私は王子と話してるのです。邪魔しないでね」
「は、はぃ…」
渾身の魔法があっさりと防がれた継母はそのままうなだれる。

「…さて王子?小さい娘に手を出したらダメって言ってるわよね?」
「…」
ダウンしている王子を無理矢理起こすが、返事がない。どうやら完全にダウン
しているようだ。
とそのとき、舞台の壁をブチ破って大男(耕一)が現れた。ちなみに衣装を身に
纏ってる訳でなく彼の『素』の姿である。

「!」
「あ、お父さん」
どうやらこの大男はシンデレラの父親のようだ。

「ヲレのシンデレラに手ぇ出すげな、どこの馬の骨じゃぁぁぁ!!」
叫びながらずんずんと王子に近づく大男。体の大きさから鬼の力50%ほど出
してるのが見て取れる。

「ぬぅぅぅ…。貴様かぁぁぁ…!!」
王子を確認した大男は渾身の力でパンチを放つ。が、すぐ近くにいた教育長に
いなされ、そのまま舞台袖に投げ飛ばされる。
柔能く剛を制す、というヤツだ。

「聞こえませんでしたか?私は王子と話してるのです。邪魔しないでね」
「は、はぃ…」
鬼の力50%状態だったとはいえ、渾身の攻撃があっさりと防がれた大男はそ
のままうなだれる。

「…ふう。王子も気を失っているみたいだし、お城に戻るわよ」
「も…戻るって、シンデレラは…?」
「王子の命令ですが、いかが致しましょう」
城からの使者と王子の侍女は恐る恐る教育長に聞く。
すると教育長はにっこりと笑顔を返すだけだ。
が、二人にはそれで十分だった。それほど教育長を畏怖しているということだ
ろう。

「か、かしこまりました。これより撤収いたします!」
「了解。シンデレラ捕獲計画は目標の捕捉失敗により中止、これより帰投しま
す」
二人は教育長に敬礼すると、足早に舞台袖に消えていった。

「さてと、王子様。私たちもお城に戻りますよ」
「…」
教育長は返事のない只の屍のような王子を連れて城へ戻っていった。

・
・
・

(ナレーション)
 『それから数日後。お城の王子と、彼の教育長をしている女性が結婚したと
  いうお話が聞こえました。皆がうらやむベストカップルだそうで国中の噂
  になってるそうです。
  運だけでなく、力もないとシンデレラストーリーは成り立たないというこ
  とかしら?
  一方、玉の輿に乗り損なったシンデレラ一家はというと…』

「はーい、お母さん。ご飯ですよー」
「はーい!」
シンデレラが呼ぶと、シンデレラよりも幼く見える継母がやってくる。

「今日はね、お母さんのだーい好きなホットケーキだよ」
「うわーい!」
二人とも見た目が見た目だけに、ご近所からは『おままごと』のように見える
ようで、ついこの間までのようにシンデレラが継母にいじめられることは無く
なったという。

(ナレーション)
 『…と、いつまでも親子二人で仲良く暮らしましたとさ。
  めでたし、めでたし』



<第3話終わり・おしまい>
----------------------------------------------------------------------
どうも『やっと終わったよ…』のUMAです。

今回は2000年08月のイベントSSのお題である『夜の学校+クロスオーバー』
で書いてみました。

最初はもう少し短かったんですが、シーン毎に話を分けた方が舞台っぽい感じ
がするかな?って思って、『シンデレラの家(第1話)』『お城(第2話』
『シンデレラの家(第3話)』という風にして各話を書き足してみましたが、い
かがでしょうか?
ただ、儂が舞台などに詳しくないのでそれっぽい描写ができなかったのがアレ
ですね(激汗)

また、儂がシンデレラの話し自体を半分以上忘れてることもあって、登場人物
の性格はかなり適当(笑)です。っていうか、シンデレラの父親って生きてるの
か死んでるのかすら知りませんし(激汗)
そのため、作中はシンデレラ以外は名前が出ないようにしています。第三者的
描写はともかく、台詞ではシンデレラ以外の呼称が出ないように気を付けてい
ます(漏れは…ないよね。多分)。

#『王子』とかは別。名前じゃないからね

さて、本当はもう一つのお題目『すべてが○になる』も考えていたのですが、
時間切れです(涙)

大まかなプロットは
『強力な敵が現れてそいつを倒すためにスフィーやリアン、長瀬翁に芹香先輩
 といった魔力を持った人が合体魔法を使うと…』
って感じでした。

#あくまでプロット。書き始めたら大きく変わる可能性アリですがね
#ちなみにタイトルは『すべてがロリになる(仮)』でした(長瀬翁はヤング長
#瀬になる(笑))
#いつか暇を見つけて書こうかな?

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^^)/