日本フカシ話 シンデレラ第2話 投稿者:UMA 投稿日:8月31日(木)23時17分
<あらすじ>

劇団『りーふ』の公演がここ、隆山小学校で行われている。
お題目はシンデレラ。
継母にいじめられていた娘が、魔女の助けで王子と結婚して玉の輿にのるとい
う、『シンデレラ○○』の語源になった、『楽して富を手に入れよう』という
童話だ(ちょっと違う)。
前話で魔法使いの力で舞踏会に出られるようになったシンデレラは一路、舞踏
会の行われているお城へと向かうのだった。

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(幕があがる)
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(ナレーション:桜井あさひ)
 『シンデレラがお城へと向かっている、丁度そのころ。
  お城では舞踏会が始まっており、王子の玉の輿を狙う婦女子達によって血
  で血を洗う殺戮劇が行われていました』

『しんくぅぅぅ、がどうけんっ!!』
『おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらっ!おらぁっ!!』
『あなたを…殺します…』
『刻むぜっ!波紋のビートッ!!』
『タイガァァァッレイドッ!!』
『まじかるさんだぁぁぁっ!』
『あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたっ!』
『めっさつです…』
と、舞台のあっちこっちでスーパーコンボ発動のカットインが入って、そのた
びに一人、また一人と技を喰らった相手が舞台に倒れていく。

「王子様。もしかして今日の舞踏会は『舞踏』と『武闘』をかけた、高度なギ
ャグをかましてるのですか?」
上座で見ていた、王子の侍女(HMX13セリオ)は王子(浩之)に聞く。

「うん。こういうのも面白いだろ?」
「面白いかどうかはともかく…。しかし、こういう決め方だと王子様の花嫁は
最強の武闘家ってことになりますが?」
「!」
王子の表情が凍り付く。
今夜の舞踏会は、王子の花嫁を決めるというもう一つの目的があったのだ。
だが、王子はそれをすっかり忘れていたのか、こういう催しを考えてしまった
らしい。

「さ、さいきょうって…」
「もちろん王子様が浮気をなさろうものなら、烈火のごとく激怒されて瞬殺さ
れるのは確実でしょう。しかし、それだけじゃないと思います。例えば、朝起
こしても素直に起きなければ弱足払い竜巻旋風脚の出際で無理矢理起こされた
所に真昇竜拳で永遠の眠りにつかせて貰えるだろうし、夜帰りが遅くなれば2
階の窓から天魔豪斬空で迎撃されて家に入れて貰えないようになると思われま
す。さらに…」
「も、もういい…!!」
王子の想像を遙かに上回る惨事を侍女は次々と提示する。

「え、もうよろしいんですか」
「ああ。花嫁をこんな決め方したら、ロクなことにならないからな。やっぱ、
普通の舞踏会に戻そう」
「かしこまりました。ではそのように伝えます」
侍女は軽く王子に会釈すると、舞台で戦っている全員にそう伝えた。
すると、舞台袖から紳士風の男がぞろぞろと現れて舞台でダウンしている婦女
子を起こして、まるで何事もなかったかのように踊り始めた。

「ふう…。ようやく普通の舞踏会っぽくなったわね」
ため息を付きながら、男A(健太郎)と踊っているのは、継母(LV3スフィー)
だ。電撃魔法の連発でレベルが下がったようだ。

「そうネ。でも、こう人が多いと王子のところまでたどり着けない…」
そう答えるのはハーフな分、この手の衣装が思い切りハマってる姉(レミィ)で
ある。ちなみに相手は男B(雅史)だ。

と、そうこうしているところへ、ようやくシンデレラ(初音)が辿着いた。

「ふう、ここがお城の舞踏会かぁ…。うわー綺麗な人ばっかりー」
シンデレラはあまりに煌びやかな光景に、思わずうっとりと見とれてしまう。
するとその姿を王子が見つけたようだ。

「ん?セリオ、あの娘は何者だ?あの若々しい女性は…」
「相変わらず若い女性に目がないですね」
「ほっとけ」
「この検索します。暫くお待ちください」
言ってセリオは王子の座る椅子に設置してあるHUBに接続する。城のサーバ
にアクセスするためだ。

「申し訳ありません。あの幼女は本日の招待客ではないようで、ログに残って
いません。排除しましょうか?」
「や、やめろ!せっかくの幼女を殺す気かっ!!」
「そうですか?ちっ」
渋々、両手に構えていた持ちきれないほどの重火器を舞台袖に投げ捨てるセリ
オ。

「ったく…。まあいい。俺はあの娘と踊りたいんだ。呼んでこい」
「かしこまりました」
侍女が手配すると、ほどなくしてシンデレラは王子の前に連れてこられる。

「娘、名を何という?」
「えっと…シンデレラと言います…」
「シンデレラか…。俺と踊ってくれ」
「はい!」
シンデレラは王子の差し出した手をとり、踊り出そうとしたとき、

『ぴこーん、ぴこーん、ぴこーん…』
突然、警報音が鳴り響く。

「何事だっ!敵襲かっ!?」
「ち、違うんです、あの…」
「あん?」
王子がシンデレラを見ると、彼女の胸に付けている大きな宝石が点滅している
のが見える。警報音はここから発しているようだ。
この宝石は魔法使いからかけて貰った魔法が切れそうになると点滅して教えて
くれるカラータイマーなのだ。

「ご免なさい、王子さま。もう帰らないと…」
「ああっ!待ってくれ、シンデレラァァァ!!」
王子が手を伸ばすが届かず、シンデレラは舞台袖へ走る。

「えい、足払い」
「きゃあっ!?」
シンデレラが舞台袖に消える直前、侍女が出した足につまずいて転ぶ。しかし
シンデレラはダウン回避をしてダウンを免れ、そのまま走り去った。

「ちっ、逃がしたか…」
シンデレラを捕獲し損なった侍女は忌々しそうにシンデレラが走り去った方を
見つめる。

「侍女ッ!シンデレラはどうした!?」
「申し訳ありません。取り逃がしてしまいました」
「なにぃっ!!」
「しかし、彼女が落としていったガラスの靴を確保してますので、これを手懸
かりに必ずや見つけてご覧に入れます」
「うむ。期待しておるぞ」
「ははっ」
子供用とおぼしき小さなガラスの靴を手にし、そう王子に告げる侍女だった。



<第2話終わり・つづく>
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どうも『まだ続くよん』のUMAです。

今回は2000年08月のイベントSSのお題である『夜の学校+クロスオーバー』
で書いてみました。

なお今回は少し長くなったので2話でも終わりませんでした(激汗)