唐突な出来事 (12月のお題 『クリスマス』) 投稿者:Phantom 投稿日:12月29日(金)23時00分

12/25 AM00:30

『今週の〜 ビックリドッキリメカ〜!!』

…夜中に電話でたたき起こされて、、いきなりコノ台詞…

アタマイテェ…

「なんだよ、おっさん」

声から、恐らく長瀬のおっさんだろう…

まったくあの馬は…

『まぁ、それは後のお楽しみ。

 それじゃ、メリークリスマス ガチャ』

そっか、クリスマスか…

って、クリスマスに最初に聞いたのが馬の嘶き(長瀬の声)かぃ!

ぜんっぜんうれしくね〜!



	〜〜唐突な出来事〜〜



コンコン

電話のすぐ後、ドアがノックされる。

「へーへー、起きてんだし、出ますよ」

ガチャ

「やっほー浩之。メリークリスマース」

…綾香だった。

なぜかサンタの格好(但し、露出過剰気味)で…

同じ格好のセリオも連れて…

「――メリークリスマス、浩之様」


12/25 AM01:00

「…でだ、なんでこんな夜中に?」

「決まってるじゃない。早く浩之の顔がみたかったからよ」

「……」

「…その格好は…?」

「――サービス、だそうです」

「…いいから寝かせてくれ…」

「いきなりベッドなの? 浩之ってダイタン♪」

「なんでそーなる!

 って、もういい。 ま、本音は来栖川のパーティーで拘束されるのが

 嫌で、夜中のうちに逃げてきたってとこだろ」

「あ、やっぱわかる?」

「わからいでか。でもオレんちじゃ、セバスのジジイは真っ先に探しに

 来るんじゃねーのか?」

「だから、今から出かけるのよ」

「はぁ?」

「いいからさっさと着替える。 セリオ、手伝ってあげて」

「――かしこまりました」

「ち、ちょっとまて、服を脱がすな! あ、そこは…」

	10分後

「もうお婿に行けない…」

セリオに無理やりひん剥かれて着替えさせられたオレは、呆然と…

綾香もすでに着替えてるし。

「バカ言ってないで、さっさと行くわよ」

「へーへー、もうどうにでもなれってんだ」


12/25 AM02:00

駅前には出てきたものの…

「どっっっっっこも開いてないわねぇ」

そりゃそーだ。

この辺は住宅街だから、クリスマスイブだっつっても、開いてる店

なんぞそうそうない。

せいぜいゲーセンとコンビニとファミレスくらいだ。

もう電車も動いてないしな。

「どうしよう? ってセリオ、なにしてんの?」

路駐のロールスの扉を開けようとしているセリオ。

「――予想できたことなので、ここに車を用意しておきました。

 執事長には無断なので、朝には返しておきますが。

 私が運転しますので、乗ってください」


12/25 AM03:30

「ほら、こっちこっち」

綾香に引きずられて繁華街をうろうろうろうろ…

ちなみにセリオは車でお留守番。

ミョーに楽しそうな綾香と対照的に、ダルい顔してたら…

「よー兄ちゃん、カワイイ彼女連れてるじゃねーか。

 オレ達にもおすそ分けしてくれよ」

はー… オヤクソクってーかステロタイプってーか…

いまどきまだこんなのいるんだなぁ…

全身で「オレはゴロツキだ」って表現してるようなのが三人。

でも、よりによって綾香に目をつけるとはかわいそうに…

って綾香、なに楽しそうな目でオレを見てやがる!

「にーちゃん、シカトかよ」

ヒュッ

おぃおぃ、いきなり殴りかかってくるとは気の短いやつだな。

こんな大振りのがあたるわけねーけど。

…げ、綾香の方に二人…

「おいお前ら、命が惜しかったら今のうちに回れ右して駆け足で退

 場しろ!」

「は? ナニ言ってんだお前?」

状況をわかってないゴロツキA。

BとCが綾香の肩を掴もうとしたら…

ヒュッ ゴキッ

「い、いってぇ〜 って、手首がぁ!!」

言わんこっちゃない… 手首ハズされてやんの…

「おぼえてやがれ〜」

はいはい、オヤクソクはもういいから…

「で、浩之〜 命が惜しかったらって、ナニ?」

満面の笑み。 怖えぇ…

「え、映画でも行くか…? オ、オールナイトでなんかやってるだ

 ろうし…」

「オ・ゴ・リ、よね、モ・チ・ロ・ン?」

「当然でございますお嬢様(棒読み」


12/25 AM06:30

「――それでは、私は車を返しにいってまいります」

セリオ退場。

「それじゃ、朝になったし本格的にまわろっか?」

「本格的って… さっきまでととう違うんだよ。」

「いいから黙ってついてくる♪」


12/25 PM07:00

「あー、楽しかった♪」

「オレは疲れた…」

あかりに見つかって泣きながら逃げられるわ、委員長に見つかって

静かな殺気を投げかけられるわ、琴音ちゃんに見つかって超能力が

暴走しかかるわ…

「でね、コレがホントの用事なんだけど…

 ちょっと耳貸してくれない?」

「ん〜」

何の気無しに頭を寄せると…

ガシッ チュッ

…顔面を掴まれて唇に…

「綾香、お前…」

「クリスマスプレゼントよ。 不服?」

「……これ…」

ジャケットのポケットから、小さな包みを出して渡す。

「先越されて、ちとカッコワリーけどな」

がさがさ

「指輪…」

銀のペアリング。 昨日の昼間に買っておいたのだ。

「ま、そーゆーことだ」

………

綾香と視線が絡む。 離せない…

その距離が徐々に近づいて…

「びろゆぎざん、あやがざば、やっどみづげまじだぁぁ〜〜〜!」

「マ、マルチっ!?」

慌てて飛びのくと、そこには…

30cmくらいの小さなマルチ(サンタVer)を無数に引き連れたマルチ

(だぶだぶサンタ)が…

マルチはグシグシと袖で顔を拭いて、

「主任がセバスさんから言われて、わたしを「綾香お嬢様捜索隊長

 ににんめーしたんですぅ。

 で、見つけたので…」

ピィィィ〜〜〜〜!

マルチがホイッスルを吹くと…

「サンタ、マルチ、サンタ、マルチ、サンタ、マルチ………」

ちびマルチが押し寄せて…

綾香かっさらってどっかに…

「ち、ちょっと、浩之、たすけ… むぐ」

行っちまった…

気がつきゃマルチもいねぇし…


まさかあの夜中の電話…

『今週の〜 ビックリドッキリメカ〜!!』

………このことか…

はぁ、帰ろ…

あ、雪…