青空と青春とブルマと(七月のお題「青」サンプルSS) 投稿者:AIAUS 投稿日:7月2日(月)22時46分
バシーンっ! バシーンっ!
 青空の下。
 私は神社の裏にある練習場で、サンドバックに蹴りの打ち込みを続けています。
 それを冷静な瞳で観察しているのは、社の階段に腰を下ろした藤田先輩。
「葵ちゃん。前より脚が下がっているんじゃないか?」
「はっ、はい……そんな風に見えますか?」
「ああ。俺にはそう見えるけど」
 藤田先輩の指摘どおり、サンドバックを見るとへこんでいる場所がいつもより低い位置に
移動してしまっています。どうやら、フォームがどこかおかしくなっているようです。
 藤田先輩にはずっとトレーナー役をお願いしていますが、やはりそれは正解だったみたい。
 一人で練習するよりもずっと効率がいいです。
 それに、やる気もでますし……。
「俺がミット持つからさ。その位置に蹴り込んでみなよ」
 藤田先輩は立ち上がるとミットを手にはめ、かなり高い位置にミットを構えました。
「はいっ! よろしくお願いしますっ!」
 私は礼をした後、真剣に打ち込みを始めたのです。

 バシーンッ! バシーンッ!

「まだ蹴り脚が低いっ! もっと高くっ!」
「はいっ!」
 軸足を回転させ、いつもよりも意識して高い位置に蹴りを打ち込む。
 バシーンッ!
 藤田先輩の構えるミットが私のキックの衝撃を受けてゆがみますが、それを構える藤田先輩は
微動だにせずに受け止めています。
 最初の頃はキックを受け止める度によろけていたのに、わずか数ヶ月でこの進歩。
 やっぱり、藤田先輩ってすごい!
「ほらっ! また下がっている! もっと高くっ!」
「はいっ!」

 バキッ!

 あれ?
 突然鈍い音がした後、藤田先輩は前のめりに地面に倒れました。
「葵……」
「はっ、はい。なんでしょうか、好恵さん?」
 呆れたように溜め息をついてコメカミを掻いているのは私の先輩の好恵さんでした。
 どうやら、藤田先輩は好恵さんの一撃を後頭部に受けて失神してしまったようです。
「練習するのはいいけど、せめて着替えてからにしなさい。この馬鹿、あんたのスカートの中身を
見ようと必死になっていたわよ」
「ひゃあっ!」
 私は好恵さんに言われて初めて、自分が制服のままで練習をしていたことに気付きました。
 そして聞こえるのは半死半生の藤田先輩の声。
「しっ、白だと確認したかっただけなのに……」
「だまれ、女の敵」
 ぐしゃ。
 私は背中に好恵さんが藤田先輩を踏みつける音を聞きながら、慌てて茂みへと着換えにむかったの
でした。ちなみに、本日の私のパンツの色は白ではなくて青。
 藤田先輩、残念でした、

本日の教訓:練習をする時はブルマを着用しましょう。
      いや、空手着でもいいんですけど。

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