学校の帰り道。 いつものように、あかりが俺の横を歩いている。 「浩之ちゃん、今日も授業中は寝てばっかりだったね」 「その分、弁当の時間と休憩時間は頑張っているだろ?」 はあー。 あかりがわざとらしく溜め息をついた。 「浩之ちゃん、やれば凄いんだから、頑張ってみたら?」 「やれば凄い、ということは、やらなくてもできるってことだな」 俺が全く取り合わなかったせいか、あかりはあきらめて別の話題を振ることにしたようだ。 「ねえ、浩之ちゃん。もしも、の話だよ?」 んっ? ・・・また、始まったぜ。 [昔話]になるが、この「もしもシリーズ」は幼稚園の頃から続いてきた、あかり先生の長期連載 無駄話だ。「もしも、私がが病気だったら」とか、「もしも、私が大金持ちの令嬢だったら」とか 適当な設定をして、その時に俺がどうするか? って聞いてくるんだ。 子供の頃は延々と続く無駄話につき合ってやったけど、さすがにこの年まで続くとは思わなかった。 「あかりー。別の話にしようぜ。もうネタがないだろ?」 あかりは俺の文句を無視して、話を続ける。 こういう時は強引なんだよなあ、こいつ。 「もしも、私が薄幸超能力少女だったら、勉強がんばってくれる?」 ブッ!! だっ、誰のことだ、そのえらく具体的な設定は!? 「もしも、私が超小声魔法少女だったら、勉強がんばってくれる?」 えー・・・あかりさん? 「もしも、私が格闘体操着少女だったら?」 「もしも、私が電脳役不立少女だったら?」 「もしも、私が関西委員長少女だったら?」 「もしも、私が金髪脳天気少女だったら?」 「もしも、私が超貧乏触覚少女だったら?」 ・ ・ ・ あー、もういい!! 「誰に言われたって、俺はテスト前以外で勉強したりしねえよ。勉強嫌いなんだからな」 全然いばれないことを、ふんぞり返って言う俺。 その言葉を聞いて、あかりはちょっとためらってから、その言葉を口にした。 「・・・もしも、私がワンコだったら、勉強してくれる?」 ・・・ワンコ!? [犬]ですか!? あまりの衝撃に息を呑む俺。 その後は家に帰るまで、あかりと俺は一言も言葉を交わさなかった。 ガチャ。 今で夕食のカップラーメンを食べていた俺の耳に響いたのは、玄関の扉が開く音。 ズズズズズ・・・。 俺は無視して、カップラーメンをすすり続ける。 トン、トン、トン・・・。 誰かが階段を登っていく音がして、 ガチャリ。 今度は二階の扉が開く音がした。 ズズズズズ・・・。 カップラーメンを食べ終わると、俺も二階に登った。 ピョコン。 ベッドにかけられたシーツの端に見えるのは、犬の耳。 シーツをそっと剥ぐと、あかりがベッドの上にいた。 もちろん、首輪を付けている。 「やったるでー!!」 「きゃいーん! 浩之ちゃーん!」 結果、俺は期末テストで委員長の点数を抜いてしまった。 愛の力は偉大だ。 「納得できへーん!! これは何かの[間違い]やー!」 委員長、哀れ。 ------------------------------------------------------------------------------------------- こんなもん、サンプルにしていいのだろうか(汗)。 ・・・気を取り直して。 上記のSSは、[昔話][犬][間違い]の三つの単語が含まれておりますので、「三題話」となっています。 「いかにこじつけるか?」 これがポイントになっていると思いますので、多少の無理には目をつぶってもいいのかも。 では、皆様の御参加をお待ちしております。 ご質問がありましたら、 aiaus@urban.ne.jp まで、お気軽にどうぞ。 *これは「お題:三題話]のサンプルSSです。