二人がすごした七夕 (痕SSこんぺ委員会 短編部門参加作品) 投稿者:無月麗亜麻 投稿日:1月17日(金)01時08分
ああ、これは夢なんだ
私は今夢を見ている、これは・・・・・
エディフェルが次郎衛門と暮らしていたころの夢
とても幸せに暮らしていたころの二人の夢だ















--------------------------------------------------------------------------------


「二人がすごした七夕」

--------------------------------------------------------------------------------










次郎衛門が葉竹を取ってきた。
それを見てびっくりした顔で次郎衛門を迎えたエディフェルを見て次郎衛門が笑いながら言う。
ああそうか、言っていなかったな、と
今日は七夕なのだ、と言い次郎衛門はエディフェルに七夕の説明を始めた。
この天にかかる天の川の両岸に居る織女と牽牛が一年に一度だけ会える日、それが七夕なのだと
この二人は一年に一度しか会えずとも永遠の愛を貫いたという
そう次郎衛門は言った。
エディフェルが泣きながら聞く。
どうして二人は一年に一度しか会えないの?
次郎衛門は困った顔をして言った。
俺も良く知らんが織女の父親が言いつけた瓜か何かをとる仕事中に、瓜を割って中の水を飲んではいけない
と言われたのにあまりに暑くのどが渇いたので耐え切れずに割って中の水を飲もうとしたらその水が流れに
流れ天の川になってしまったそうだ。そして織女があまりに必死で頼んだので父親は一年に一度だけ織女を
牽牛に会わせてやることにしたそうだ。それがいつからか七夕と呼ばれ短冊に願い事を書いたら願い事が叶
うといわれ五色の短冊を笹に飾るようになったのだ。ああ、それと願い事は一つだけだぞ。そういって次郎
衛門は笑った。それから二人で楽しそうに笹に飾りの短冊をつけ庭に供物置き天に捧げた。
二人で星を見ながら次郎衛門が言う。来年も二人で七夕を迎えような、できれば家族が増えてると嬉しいが。                        
エディフェルが次郎衛門に聞く。どんな願い事をしたの?
次郎衛門が答える。『来年は三人で七夕を迎えられますように』だ
次郎衛門が照れながら答える。
エディフェルは?
照れを隠すかのように次郎衛門が聞き返す。
エディフェルが答える。私・・・・・・は・・・・・・・・・次・・・衛・・・門
声が遠のいていく。                        
                      ・
                      ・
                      ・
                      ・
                      ・  
                      ・
                      ・
             あれ、エディフェルはなんと願い事をしたっけ
           


                   ああ、そうだ


  

        『今年も来年もずっとずっと次郎衛門と一緒にいられますように』
 


                    だったな


                   でも、確か


                  エディフェルは
 

                このあと・・・・・・・もうすぐ











目を覚ましたら千鶴姉さんが居た。
千鶴「よく寝てたわね楓、今叔父様が笹をとりに行っている所よ、楓も早く短冊書いちゃいなさい。書いて
ないのは楓と初音だけよ。」
楓「梓姉さんは?」
はっきりしない頭で聞く。
千鶴「紅白のそうめんを作っているわ。私も手伝おうとしたら楓を見ててくれって」
ようやく頭がはっきりする。そうだ、今日は七夕だったんだ。帰ってすぐに縁側で寝てしまったんだっけ。
いつの間にかタオルケットがかけてある。
楓「わかった、短冊はどこ?」
千鶴「楓の隣よ」
隣を見ると短冊が置いてある。筆付で
千鶴「それじゃあ私は梓を手伝ってくるから」
そう言って千鶴姉さんは行った。
私のお願い。耕一さんに会いたい。あってこの思いを伝えたい。耕一さんにも思い出して欲しい。
そして結ばれたい。でも、耕一さんの鬼を目覚めさせてはいけない。
                      ・
                      ・
                      ・
                      ・
悩んだ末に筆を取る。




私が叔父さんの取ってきた笹に短冊を付けに行ったときには、初音ももう付け終わっていた。
初音「楓お姉ちゃんはなんて書いたの?」
楓「初音は?」
初音「ないしょ」
楓「私も秘密」
その後みんなで梓姉さんの作った紅白のそうめんを食べた。
作っている最中に千鶴姉さんが来て大変だったらしい。
そうめんを食べながら私は飾りを付けた笹を見る。お供え物にはなぜかお団子がおいてある。
そして私は祈る。
いつか短冊に書いた願い事が叶いますように、と




         




                      そう





          天の川の下で風にたなびく笹に付けられた私の短冊に書かれた
                 




     
 








         『いつか耕一さんとずっと一緒に居られますように』と言う願いが