一月のお題「年賀状」(反面)サンプルSS  魔女の郵便屋さん 投稿者:ひめろく 投稿日:1月1日(月)23時43分
[お題:もち](反面)サンプルSS

魔女芹香と琴音 番外編 魔女の郵便屋さん

 十三歳の満月の夜、魔女は修行の為に一人旅にでるのです。
 …ってな事はひとまず置いといて。

「郵便屋さん…ですか?」
 展開が飲み込めず、きょとんと尋ねる琴音に、芹香は、こくんとうなずいた。
 曰く、『正月は何かと、郵便局もいそがしいもの。お手伝いのひとつもして
おくのが魔女たる者のつとめ…』とかなんとか。
「…はぁ」
 黒い制服と大きなかばん。真っ赤なほうきにまたがって、ぼうしがとんがっ
ているのはご愛嬌。
 満月の夜にふわりと浮き上がり…
「…あの」
 月に透ける漆黒の髪が、微かに傾いだ。
「私はどうやって飛んだらいいんですか?」
 ……。
「……(超能力で飛んでください)」
 …んな無茶な。
 黒い制服と大きなかばん。おそろいのほうきにまたがって、とんがりぼうし
からは柔らかい髪がさらりと流れ…
「…えーい!」

――ぱりーん!

 千々に砕けた硝子の粉が月夜の晩に踊ります。
 その様をしばらくうっとりとながめてから、ふと視線を戻した芹香の見たも
のは…
「ぐー…」

おそまつ