[お題:もち](反面)サンプルSS 魔女芹香と琴音 番外編 魔女の郵便屋さん 十三歳の満月の夜、魔女は修行の為に一人旅にでるのです。 …ってな事はひとまず置いといて。 「郵便屋さん…ですか?」 展開が飲み込めず、きょとんと尋ねる琴音に、芹香は、こくんとうなずいた。 曰く、『正月は何かと、郵便局もいそがしいもの。お手伝いのひとつもして おくのが魔女たる者のつとめ…』とかなんとか。 「…はぁ」 黒い制服と大きなかばん。真っ赤なほうきにまたがって、ぼうしがとんがっ ているのはご愛嬌。 満月の夜にふわりと浮き上がり… 「…あの」 月に透ける漆黒の髪が、微かに傾いだ。 「私はどうやって飛んだらいいんですか?」 ……。 「……(超能力で飛んでください)」 …んな無茶な。 黒い制服と大きなかばん。おそろいのほうきにまたがって、とんがりぼうし からは柔らかい髪がさらりと流れ… 「…えーい!」 ――ぱりーん! 千々に砕けた硝子の粉が月夜の晩に踊ります。 その様をしばらくうっとりとながめてから、ふと視線を戻した芹香の見たも のは… 「ぐー…」 おそまつ