※ この話はフィクションであり、実際のキャラとは関係がありません。 あなたとポチ連れて〜 瑞希と和樹は、羨ましいことにあの山を目指していた。 でも、車はなし。了解。 「珍しく晴れたよね」 「どういうことだよ。まるで俺と出かけると雨が降るみたいじゃねーか」 「みたい、というよりもそのものでしょ、毎回」 と、和樹はむっと眉を寄せて瑞希を睨み付ける。 「待てよ、この間のこみパは?お前が売り子した時は?少なくともお前と参加したこみパは」 「そりゃ、晴れたけどさ、そんなこと言ってもアレは和樹以外に人が多くいるじゃない」 そんな問題か?そんな物なのか? 和樹の問いに答える者はいない。 「んっもう、ほら、降ってきたじゃないのっ」 って俺か?俺のせいなのか? 雨の中戸惑う和樹を引きずりながら大きな木の下に逃げ込む瑞希。 「ほら、何とか言ったらどう?」 「何をかりかりしているのだまいしすたぁ」 その時急に後ろから声がかかるから大変。 仰け反ったり飛び退いたりするから木が揺れて益々びしゃびしゃになる。 「はっはっは、何をそんなにうごぅっ」 思いっきりボディブローが大志の鳩尾にヒット。 頭をかがめたところへ瑞希に肘を落とされてそのまま崩れ落ちる。 「いきなり後ろから現れるんじゃない!」 「痛いだろうまいぶらざー和樹。なんだ、せっかく和ませてやろうと思って」 「和まん!」 閑話休題。 「…確かに、まいしすたぁがこみパに参加してからは、まだ一度も降っていないはずだが」 「ほらみろ、昔はこれでも何回か降ってるし…ん、まてよ、じゃぁ瑞希が雨女ってことはないか」 「ほらぁ。やっぱり和樹じゃないの」 勝ち誇ったように言って胸を張る。 そう言えばこいつ、胸がでかいよな。 …どうでも良いが、濡れた服で胸を張られると目立つんですけど。 「何を言うまいはにー。この世には天に恨まれて常に嵐と共にある男もいるのだ」 「誰のことだ」 「ともかく雨男など迷信にすぎん」 そう言っている内に雨も小降りになり、気がつくと晴れ間が見えてきた。 「…?」 少し遠くからきゃいきゃい言う声が聞こえてくる。 「おお、あれは」 猪名川と詠美だ。 「ほんまあんたと来るといつも晴れよるわ」 「きぃっ、詠美ちゃんさまにかんしゃしなさいっ」 「んなこと言うたかて、あんたみたいにお天気パーなのーみそ持ってる奴に感謝しとうない」 いつもの様子で声が近づいてくる。 やっぱ、仲がいいのだろうか… 「あ」 「ぽち?…と…」 「いい加減名前覚えとき。おひさ〜和樹。それに、他のお二人さんも」 お前も覚えとけよ。 ともかく、偶然大所帯になってしまった。 話によれば、あるオンリーイベント参加で集まったらしい。 「雨男ねぇ」 各人弁当持参でのピクニックは続く。 日差しが先程の通り雨の欠片に反射してきらきらしている。 「たしかに、詠美の馬鹿が未参加の時に降るかも」 「きぃっ」 「いや、でも、この間の打ち上げの時は降ったよな、それも大雨が」 メンバーは大志と和樹と由宇。 「うむ。あの時は酷かったな」 「瑞希が早く帰った時も降りそうになったしな。あの時は確か」 「ああ、このメンバーやわ。結局降りそうな天気やったけど、傘いらんかったやろ」 ? 和樹は首を捻って顎に手を当てる。 「待てよ?俺と瑞希で出かける時って、大抵大志がいなかったか?」 「うむ、なかなか晴れた覚えはないな」 うーん、と記憶を探るように唸る由宇。 「うちらと大志で組んで地方こみパでた事あるんやけど、その時は曇った」 「この詠美ちゃんさまの華麗なる同人誌が傷むところだったのよ」 その日の天気は今にも降りそうな天気だったという。 「結局降らへんかったからよかったけどな」 しばらく熟考。 「…ど、どうした、まいふれんどたち、何故我が輩を睨む」 「あんたと一緒だと良く降るんとちゃう?しらばっくれても遅いで」 「確か、俺と瑞希だけだったら晴れてたんだよな」 「詠美ちゃんさまはまだこみパで降ったことなかったのに」 「待て、だから我が輩は雨男などいないと…」 問答無用。 合掌。 さてここで問題です。 この中で一人だけ、雨でも晴れでもない人物がいます。 それは誰でしょう? 良く状況と会話を読んで考えてください。http://www.interq.or.jp/mercury/wizard/index.htm