「キャンプと言えばっ! 好恵姐(あね)さんとしては何スか?」 「好恵姐さん、という呼び方はやめろ馬鹿」 「馬鹿だなんて…俺には橋本というちゃんとした名前があるんスよ!?」 「…説明的な台詞回しね」 「会話文だけで書こうなんて考えて、相当無理してるようっスから」 「……そもそも、私とコイツの組み合わせなんて何を考えているんだ…」 「あー? 好恵姐さん、誰に言ってるんスか?」 「そういうあんたも誰のこと言ってるのよ」 「俺は独り言っス!」 「私も独り言よ」 「そうなんスか! いやぁ、二人で独り言なんて俺たち気が合うッスね好恵姐さん!」 「合わない。それに姐さんと呼ぶな。あんたの方が年上でしょうが」 「俺、留年したんス! ちなみに二年も!」 「…留年は年齢には関係ないでしょう」 「アハハッ! そうっスね! アハハハ…」 「…泣きながら威勢良く話さなくてもいいわよ。ほら、ハンカチ」 「あ…ありがとうっス」 「お約束で鼻かんだら殺すからね」 「(ちっ!)」 「話が逸れまくってましたけど、キャンプと言えばなんスか!?」 「キャンプねぇ…もう何年も行ってないわね」 「そんな好恵姐さんの、キャンプと言えば!」 「う〜ん…キャンプファイヤー、かな?」 「ええ!? 恐ろしく普通っスね!」 「…あんた、私は普通じゃないって遠まわしに言ってるの?」 「全っ然そんなことないっス! ええ、髪の毛の先ほども」 「……まあ、いいわ。ちなみにあんたは何だと思ってたのよ」 「んー…好恵姐さんのキャンプといったら熊殺しとかかな、って思ってたっスけど」 「……菩薩の拳で殴っていいかしら?」 「駄目っス! 俺、死ぬっス!」 「……まあいいわ…続けなさい」 「はいっス! んでま、俺はそんな感じのイメージを持ってたから、ちょっと意外だったっス」 「(私が普通にキャンプファイヤーをするのってそんなに似合わないのかしら…)」 「ええ、全然似合わないっス!!」 「人の心の中を読むな! あと、やっぱあんたは菩薩の拳ね…」 「話が進まないっスよ、これじゃ!」 「……くっ…まあいいわ…。ところで、あんたはどうなのよ?」 「俺っスか? 俺もキャンプと言えばキャンプファイヤーっスよ!」 「ふぅん…」 「こう…みんなで木の枝や木の葉集めて、それを焼くんスよね…」 「石や大きな木片とかで枠みたいなのをつくったりするわよね」 「そうそう! んで、みんなで歌を歌ったりとか」 「うんうん。するわね…」 「あと、ファイヤ〜! とか叫ぶ奴もいたり…」 「ああ、いるいるそういう奴。…というより、私の周りはそんな奴ばっかだったけど」 「大仁田と一緒にキャンプ行ってたんスか!?」 「んなワケあるか馬鹿。勿論、綾香や葵たちよ…」 「リングの上でも叫んだり?」 「しないわ」 「そうスか…。そう言えばキャンプファイヤーの炎って結構強いっスよね」 「やる人の加減によるとも思うけど…私たちは結構燃やしてたわね」 「そんでたまに山火事になるんスよね!」 「なるか馬鹿! っていうかするな!」 「そんな…バケツリレーでみんなの連帯感を高めるのがキャンプじゃないスか!?」 「そんなことしない」 「偶に運悪く炎に巻き込まれて何人か行方不明になったりしまスけど…」 「キャンプで死にたくないわよ!」 「サバイバル気分も味わえるなんて…キャンプって本当にいいもんっスね!」 「だから、命賭けてキャンプなんかしたくないってば」 「んで、火が消えた後はやっぱアレっスよね!?」 「アレ? アレってなによ…」 「ほら、その燃えカスの上を走って渡るんスよ!」 「そんなことしないわよ!」 「しかも裸足っス!」 「それ、キャンプファイヤー違う」 「細かいこと気にしてたら生きていけないっスよ姐さん!」 「だから、姐さんと呼ぶなと何度も言ってるし、細かいことでもない」 「そうスかぁ?」 「そうよ」 「ところで、好恵姐さん」 「まだ言うかあんたは」 「ああああ! 姐さんは俺にとって姐さんなんスよ!」 「…………」 「ゴホン!(わざとらしい咳払い) んで、キャンプと言えばで思いだしたんスけど…」 「何を?」 「いや、キャンプと言えばバーベQっていうのもあるなと思ったんス!」 「バーベQねぇ…」 「最初は新聞紙みたいなのを燃やして、その火で木炭を焼くんスよね」 「うんうん…それでなかなか燃えないのよ、アレが」 「そうなんス! で、まどろっこしいから大量の新聞紙を燃やすんスよ!」 「ああ…そういうこと葵がしてた気がするわ…」 「んで、その上に金網を置いて肉を焼くんスけど…」 「大量の新聞紙の燃えカスが僅かな風にも飛ばされて…」 「それっス! 肉が燃えカスまみれになるんス! 食えたもんじゃないっス!」」 「葵は責任とって全部食べてたわね…」 「熱血考えなしキャラの運命っスね…」 「まあ…ね…」 「…あ、今ふと思ったんスけど」 「なに?」 「バーベQのQって何スかね?」 「………さあ?」 「個人的に某マラソンランナーがQちゃんと呼ばれてる並みに謎っス」 「そう言えばもう一つあったっスよ」 「今度はなによ?」 「キャンプと言えば飯盒で炊いたご飯とカレーっス!」 「ああ…それも定番と言えば定番ね…」 「みんなで飯盒で炊いたご飯は美味いっス!」 「賛否両論あるでしょうけど…」 「んで…カレーもみんなで作るんスけど…」 「うんうん、料理が下手な奴と上手い奴ってのがいるわよね」 「ちなみに姐さんはどっちスか?」 「私? 私は……カ、カレーくらいは作れるわよ…」 「そうすか? 俺はてっきりカレーのルーの量を間違えたりしてるとばかり…」 「…あんた、やっぱ私をバカにしてんの?」 「そんなことないっス!」 「(まあ…本当はカレー作るのにも四苦八苦するんだけど…)」 「アハハ! やっぱりそうなんすか!」 「だから人の心の中を読むな!」 「カレーくらい今時小学生でも作れるっスよぉ?」 「あ…あんたやっぱ馬鹿にしてるわ…!」 「いや、全然そういうつもりはないっスけど」 「……くっ…」 「んで、カレーライスなんスけど」 「何よ?」 「俺が一度キャンプのカレーで酷い目にあったっス!」 「どういう?」 「いや、カレーみんなで作ってたらルーの量が絶対的に足りなかったんス…」 「キャンプ場は近くに店とかないしね……それで薄いカレーを食べたとか?」 「いや、それだけならまだマシだったんスけど」 「?」 「全然味がしなかったから、焼肉用のタレ(辛口)をカレーに入れたんス」 「……ま、まあ、カレーに醤油を入れたりする人もいるから…」 「いや、ルーとタレの比率が2:8くらいだったんス」 「…………」 「異常に塩辛かったんで、水を入れて薄めたら更に悲惨な状態になったっス」 「…そりゃ塩辛いでしょうけど…水で薄めるってのはバカよね」 「ええ、アホっス」 「あ、ちなみに上のほとんどが書いてる奴の実体験らしいっス」 「そういうネタか!」 「このように、キャンプって色々と怖いことが多いんで皆さんご注意っス!」