ある雨の日の、何処かにありそうでなさそうな光景(六月のお題『傘』) 投稿者:助造 投稿日:6月23日(土)10時03分
 あかりと二人で下校途中の事だった。
 長靴と、傘を差した小さな子ども達が、列になって歩いている。
 最近は、色々と物騒なので、集団下校とでもいうやつだろうか?
 しかし、見た所、そいつら全員小学校低学年の生徒のように、俺は値踏みした。

「どうして値踏みなんて出来るの?」

 あかりが目が笑ってない微笑で俺を見つめてくるが、気付かないことにした。

 とにかく、低学年しかいないのなら集団で下校しようと、あまり意味が無い
ような気がしないでもないんだが…。
 まあ、当のそいつらは楽しそうに歌でも歌いながら、仲良く下校している。
 
「あ〜めあ〜め、ふぅれふぅれ、かあさんが〜♪」

 そう言えば俺達も、こんな歌を歌いながら帰ってたりしてたな…

「じゃぁのめっで、お〜むかえ、嬉しいな〜」

 長靴を履いてるのが嬉しくて、わざと水溜りの上に飛び込んだりして…

「ぴっちぴっちちゃぷちゃぷらんらんらん♪」




 ……ちゃぷちゃぷ……




「どうしたの、浩之ちゃん?」
「…………」
「?」
「あかり……」
「うん?」



「…今の歌のラスト、何だか淫猥な雰囲気がしねぇか?」





 ――数秒後、喉に傘の突き刺さった、男子生徒が道端に倒れていたと言う。