不可抗力(お題:スポーツ) 投稿者:助造 投稿日:11月25日(土)22時21分
綾香との河原での勝負も今日で三日目・・・
俺は今日、一つの作戦を立てた。
・・・とは言ってもある技を使おうと思っただけなのだが・・・

トゥルルルル・・・
ピッ

「あ、浩之〜?」
「おう、今日もやるぜ!」
「OK〜!じゃ、今から行くね〜!」

ピッ

そう言って俺は綾香との電話を切った。

「ふっふっふ・・・綾香、今日こそはお前にパンチを、いやKOさせてやるっ!」
その時の俺は自身に満ち溢れていた。


しばらくして
「やっほ〜!浩之!」
「こんにちは、浩之さん」
いつものように綾香とセリオが来た。

「よしっ!じゃ、さっそく始めようぜ・・・」
俺は拳を合わせてそう言った。

「何?今日は自信でもあるの〜?」
綾香が不敵な笑みを浮かべながら話し掛けてくる。
「・・・ま、ちょっとな。」
「へぇ・・・それ、見せてもらうわよ?」
グローブをはめ終わると俺たちはいつものようにセリオの合図を待った。

「それでは・・・レディ・・・」

「ファイト」

セリオの合図と同時に俺たちは動き出す。
今日は無駄な攻撃はうたない。一発で決める、俺はそう思っていた。

それは昨日読んだ愛読書「すすめの三歩」に載っていた技だった。
主人公がプロデビューしてから初めて敗北した相手が使う技だった。
一瞬だけ相手の心臓の動きが止まるほどの威力の強打を相手の左胸に
打ち込むことにより、一気に相手をダウンさせるという技だ。
その技で主人公も敗北を許してしまった。
技名は・・・ハートブレイクショット。
正に心臓を破壊する技だ。
普通、ボクシングでは胸を攻撃したりはあまりしない
それを逆に利用するのだ。
きっと綾香だって胸はガードが甘くなっているだろう。

今日の綾香はいつもより慎重に攻めてきている。
きっと俺が言った言葉が引っかかって慎重になっているのだろう。

だが・・・攻撃は最大の防御なんだぜ!綾香!!

「綾香・・・」
「何よ・・・」
突然話し掛けたことで綾香は少し驚いたようだ。

ズザッ!!

俺は一気に射程距離に持ち込む!
もちろんハートブレイクショットだ!!

「!!?」
普段とは違う攻め方に綾香の表情のも緊張が走る!

「綾香・・・俺の拳をくれてやるから、お前の魂俺にくれよっ!!」
「なっ!!?」

「ハートブレイクショット!!」

俺のパンチは真っ直ぐに綾香の左胸に吸い込まれていき、
そして

もにゅっ

「・・・・・・」
「・・・・・・」

しばしそのまま無言が続いた・・・

「浩之・・・」
「はっ!な、何でしょうか!?」
思わず敬語になってしまう。

「・・・・・・・コロスッ!!」
綾香の目はまぢだった。
「ま、待ってくれ!!これは不可抗力なんだ!!不可抗―――
「往生しろぉぉぉぉぉ!!!!!」

どかべきがすぼきぐしゃっ!!

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十一月のお題「スポーツ」

こんばんわ〜、助造ですぅ。
いやはや、つまらん物をお見せしてしまいました(爆)