for universe 投稿者:助造 投稿日:11月1日(水)20時58分


いしや〜きいも〜、おいも〜

どこからか石焼き芋屋さんの声が聞こえます。

「ついにこの季節が来てしまったのですね・・・」
私はこの声を聞くと憂鬱になります。
私、焼き芋は大好きなんですけどね・・・

「あっ!琴音ちゃ〜ん!!」

誰かが後ろから私を呼んでいます。
きっと松原さんでしょう。
ですが、今日はちょっと無視させていただきます。
私の中の何かが、「松原さんに会ってはならない」と、告げているのです。

「無視、無視・・・」

私は気付かない振りをして急ぎ足で帰ります。

「お〜い!!、ねえ!琴音ちゃんってば〜!!」

「無視、無視、無視・・・・」

「お〜い!!琴音ちゃ〜ん!!!」

「無視、無視、無視、無視・・・・」

「ひ・め・か・わ・こ・と・ね・ちゃ〜〜〜〜〜〜んんん!!!!!!」

「うるさいわぁああ!!!このイカレブルマがぁああ!!!!・・・はっ!?」
「な〜んだ、気付いてるなら返事してよ〜!」

ついつい松原さんを怒鳴ってしまいました。琴音ったらいけない娘(はあと)
でも、こうなったら松原さんを無視するわけにはいけませんね・・・

「なんでしょう?松原さん」
「うん、えっとね・・・」

松原さんはごそごそと鞄の中を何か探しています。
一体何を出すつもりなのでしょう?

「・・・あ、あったあった!」
「・・・・!!?」

松原さんが鞄の中から出した物は、何と

「一緒に食べよ?さっき買ってきたんだ!」
あつあつの焼き芋でした。

「や、焼き芋・・・!?」
「うん、琴音ちゃんも食べて!」
「わ、私・・・焼き芋はちょっと・・・」
「何で?・・・もしかしてダイエットとか?」
「え?あ、はい、そうなんです。私、今ダイエット中で・・・」
「あんまり無理しすぎるダイエットはいけないんだよ?ただでさえ
 琴音ちゃんは細いんだし・・・」

細い?そりゃ、あなたみたいにガツガツと馬みたいに食ってませんから。
と、心の中で呟きながらも、私は抵抗します。

「いえ・・・遠慮します。」
「遠慮はダ〜メ!ほら、早く食べないと冷めちゃうよ!」
「きゃああ!や、やめへ、はぐはぐ・・・」

私は無理矢理、松原さんに焼き芋を食べさせられてしまいました。

「げ・・・げぷ・・・」
「う〜ん・・・いい食べっぷりだったよ!実は好きなんでしょ、焼き芋?」

私は松原さんの言う事なんか聞いてられませんでした。
だって、だって・・・・

遂にメインエンジンが始動してしまったんですから・・・

「はうっ!!?」

私の中で何かが動き始めます。
それは初めは些細なものでしたが、次第に動きは活発、巨大化していきます!

「どったの?琴音ちゃん?」
「はぁあああ・・・ううぐ!?」

ビー!ビー!

緊急事態発生!緊急事態発生!

大腸内テロ組織「ガース」が、国会議事堂を乗っ取り、クーデターを起こしました!
彼らは、鎖国を破り、外界への進出を図ろうとしている模様です。

「いかぬ!それだけはいかぬぞぉ!!」

「た、隊長〜!」

「今度は何だぁーー!!?」

「防衛部隊の半数が「ガース」に寝返り、東京湾防衛線が突破されてしまいました!!」

「何だとぉー―!!?それでは東京湾は・・・!!」

「はい!!まったくの無防備です!!」

「くそぉっ!!第二防衛部隊を東京湾に集めろ!大至急にだ!!」

「だめです!!第二防衛部隊、応答ありません!!」

「何だとぉぉー―!!!???」

「あーーっ!!遂に出航します!!」



「あの・・・・琴音ちゃん?」

私の身体がブルブルと振動を始めます。

『メインエネルギーABC、充填完了、動力系回路、接続準備OK!
 ・・・発射準備・・・・完了!!』

どこかでそんなアナウンスが聞こえた気がしました。

ふぃぃぃぃぃぃぃんんんん!!!!

「・・・・グッバイ・アースッ!!!」


バシュウウウウウウウウウ!!!!!!!

私は飛びました・・・・

宇宙まで――――

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11月のお題「焼き芋」です。

どうも、助造です。
えー、このネタはチャットで思いついたんですが、
うーむ・・・誰かに刺されそうです(爆)