「メリークリスマス」
「めりーくりすます」
「あれ、ちょっと投稿日見てよ」
「あれ、12月26日ですね」
「クリスマス過ぎてるじゃない」
「そうですね」
「時期過ぎてるじゃない」
「そうですね」
「・・・今日はいい天気ね」
「そうですね」
「・・・、じゃ、はじめようか」
「そうですね」
12月24日
リビングにて
「ジングルベール、ジングルベール。鈴が鳴るー」
「ごきげんですね」
「待ちに待ったクリスマスイブだよ。今年はねぇ・・・」
「クリスマスですか。じっくり参加できるのもお嬢様が生まれてから・・・」
「えっ、どうして?」
「本邸でのパーティの手伝いがありましたから」
「ふーん、そうなの」
「旦那様も奥様もあんまりそのような堅苦しいのは嫌いですから」
「私が生まれたのをいいことに出なくなったの?」
「はい、ですが芹香様がお気を使いまして今では23日にやることになりましたけど」
「うん、楽しいよね」
「昔はもっと堅苦しかったのですよ。お嬢様たちが成長されたので本来の意味のクリスマス会を行うようになったのです」
「そっか、そうなのか」
「もっとも、パーティの手伝いだけではないのですが・・・
あるマンションの一室
「こことこことここにベタ、こっちに背景」
「はい、かしこまりました」
「和樹、そんなしけた曲かけとらんでピーチのCDかけや」
「これ私が持ってきたやつなのに」
「瑞希、こいつらにそんな子といっても無駄だ」
「だからオタクってやなのよ」
「まあまあ」
「同志和樹よ、そろそろピーチのクリスマススペシャルが始まるぞ」
「そうや、さっさとTV点けや」
「お、そうか」
「スケジュールに遅れが生じる可能性が」
「セリオ、そんなのこれを見た後でも挽回できる」
「その通りである。同志セリオよ。われわれはこれを糧に、さらなる崇高で偉大な作品を」
「まったく、また訳の解らない理由をでっちあげて、これで体壊さないのが不思議なくらい。いや、もしかして人間以外の異生物?」
「いややなぁ、九品仏の旦那はともかくウチと和樹は一応人間や。同人作家ちゅうあこぎな仕事はしとるけど」
「和樹をそんなことに巻き込まないで」
「おっ、瑞希はん、やきもちかぁ」
「ちっ、ちがうわよ! ただ、和樹が少しでも人並みに戻れるように」
「あの、猪名川様」
「何やセリオ?」
「このくらいでよろしいでしょうか?」
「何や、この背景は?」
「場面に合った背景を描きましたが」
「だめや、『萌え』が感じん。やり直し」
「『萌え』ですか」
「そうや、『萌え』や! 魂からの『萌え』を出すんや」
「魂からですか」
「そうや! 魂を萌やすんや」
「はい、わかりました」
「由宇、もう始まるぞ」
「魂からの・・・。なかなか大変です。しかし、これが妹たちがさら人様にお役に立てるための礎となるのでしょう」
・・・。今となっては懐かしい思い出です」
「そ、そう」
ぷるるるる、ぷるるる
「あ、電話」
「はい」
「あっ、セリオか。ちょっとアシスタントして」
カチャン
「いいの?」
「なにかありましたか? 今のは単に間違え電話です」
「そう、かな?」
「今年はホント年末で、終わったらそのまま帰省とか、帰省ついでにとか多そうね」
「そうですね」
「ホント、あこぎなイベントよね」
「そうですね」
「・・・、私は美しいわよね」
「いいえ、そんなことはないと思いますよ」
「・・・」
「あっ、」
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