「さて、ここで不連続ドラマの時間でーす」
「そう。で、今回は」
「先月までのお話とは違うみたいですね」
「なんでもいいわ。さっさとやっちゃって」
「それではスタート」
「癖ですか?」
「そう、癖」
「癖というよりも条件反射ではないかと」
「そうかもしれないね」
二人して遠くのほうを見つめる。
「癖は直らないものかな?」
「努力すれば」
「条件反射は?」
「環境が変われば」
二人してため息を放つ。
「でもどういう生活をしていれば口より手が先に出るようになるのかな」
「すさんだ少女時代だったのでしょう」
さも納得したように。
「そうだよね。芹香おば・・、お姉ちゃんと違ってお母さんアメリカで生まれ育ってるからね」
「綾香様のことですから、面白がって毎日のようにスラムに行ってたのでしょう」
「それで口より手が先に出るようになったと」
「多分、がさつなのも、拳で語り合いたがるのも」
「・・・」
「どうしたのですか? お嬢様」
「う、うしろ」
「後ろですか・・・。 お帰りなさいませ、綾香様」
「覚悟はいい?」
「よくないです」
「癖?」
「うん、自分の癖は自分からじゃわからないけど、他人の癖は良く目に付くから、友達や家族と自分の癖について考えてみなさいって」
「そう。で、自分の癖はわかったの?」
「うん、わかったよ」
「直してみる?」
「直せるようなら直してみたいな。(この環境では無理かも)」
「うん、何?」
「なんでも」
ブーン
「システムチェック・・・OK 各センサ異常チェック・・・OK 主駆動系チェック・・・OK]
「やっと起きてきたね」
「・・・ひどいです。またC整備になるところでした」
「これでも手加減してるんだから感謝しなさい」
「セリオお姉ちゃんの癖はこんなとこかな」
といって、ノートをつづり終える。
「どれどれ・・・、なるほどね」
「ひどいです。お嬢様」
二人して覗きこむ。
「けどこれは癖じゃなくてバグじゃないの」
「そうか、バグなんだ」
親娘、納得したように頷き合う。
「甘いです綾香様」
まるで主題歌が津軽三味線の特撮ヒーローのように指を振る。
「な、なによ」
「私にバグがあると思いますか? あるわけないです。すべては学習の成果です」
「なお悪いわ!」
「だめだこりゃ」
ちゃんちゃん
おまけ
「私たちの癖ですか?」
馬面の初老の白衣のおっさんがいる。
「そうですねぇ」
長いあごをひねりながら考える。
「マスターの意見を聞かず勝手に改造するところですかね」
「所長、それは違いますよ。すべてはメイドロボの明日のため、いや、地球の明日のためのです」
「そうか。そうだよな。あっはっはっは」
「癖ねぇ」
「はい、そうです」
「私には悪い癖なんかないわね」
「そうでしょうか。故意に高飛車な態度に出るのは癖だと思いますけど」
「何か言った?」
「いいえ、何も言ってませんよ」
「ふーん。それじゃぁ、またの機会に」
「再見」
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