セリオファイル10 投稿者:ジーク・リーフ 投稿日:8月6日(月)13時54分
 「さて、ここで不連続ドラマの時間でーす」
 「今月は早いわね」
 「先月遅かった分、今月は急いでるようです」
 「予定としてはもう一本8月前半に出す予定らしいわね」
 「大変ですね」
 「そのくらいの苦労も必要だわ」
 「は、ははは。で、ではどうぞ」

 
 
前回のあらすじ
 前回を読め! ・・・と言うわけにもいかないようだね。
 格闘馬鹿一代女(綾香)は、夏休みになった(した)ことをいいことに娘と美人でかわいいメイドを無理矢理山篭りに連れて来たんだよ。

 「キャンプと思えばいいじゃない。この壮大な自然に囲まれてキャンプできるなんて素敵じゃない」
 「・・・キャンプの準備も無しに?」
 「・・・一応、テントや寝袋、鍋とかも持ってきてるわ」
 「食料は?」
 「そ、それは・・・」
 「抜かりはありません。ちゃんと持ってきてあります」
 「さすがセリオお姉ちゃん。それに比べお母さんは」
 「山でも川でも取れるでしょ」
 「自給自足っていうこと? お母さんならともかく、私じゃできないよ」
 「それこそ山篭りの醍醐味。自分で取れるようになることが修行じゃない」
 「そうかなー」
 「いくら腕を上げられても、天候や諸々の理由により採れない事もあります」
 「そうだよねー」
 「昔あったわね」

 
 まだ高校生のころ、葵と山篭りに行ったとき・・・
 「葵、そろそろ採りに行くわよ。セリオ、たっぷり採ってくるから期待して待ってなさいよ」
 「セリオさん、期待しててください。たっぷり魚を採ってきます」
 「綾香様、葵様、お気をつけて」
 「大丈夫、大丈夫」 

 二時間後

 「まったく見つからないわね」
 「綾香さんもですか」
 「葵も?」
 「小魚や、沢蟹や貝さえもいませんでした」
 「私もよ。木の実も無いし、キノコも無い。うさぎや熊、猪、虫さえも」
 「お帰りなさいませ」
 「セリオ、ごめん。全く採れなかったわ」
 「私もです」
 「おかしいですね。私も先程から全く感知できません」
 「困ったわね」
 「私たち、飢え死にですか?」
 「うーん」

 二日後

 「葵、綾香。陣中見舞いに来たわ」
 「よ、よしえー」
 「よしえさーん」
 「どうしたの? かなりやつれて」
 「ここ数日、全く食事をとっていませんから」
 「セリオ。あなたは元気あるようね」
 「太陽電池使用のオプションを付けてもらいましたから」
 「で、どうして?」
 「かくかくじかじかです」
 「なるほど」
 「わかるの?」
 「メールで状況は教えてもらってたから」
 「・・・」
 「セリオ、これ彼女たちに」
 「ありがとう、好恵」
 「けど情けないわね。二人そろって全く食料が確保できないのだから」
 「・・・」
 「今日からは私が取ってきてあげるから。期待してなさい」

 その二日後

 「おーい、綾香、葵ちゃん、セリオ、おまけに、坂下」
 「お嬢様、どこでございますか」
 「・・・」
 「おい、爺さん、本当にここら辺なのか?」
 「爺さんではない、セバスチャンじゃ」
 「・・・」
 「長瀬主任から貰ったセリオのサテライトアクセスデータか」
 「・・・」
 「おう、先輩が言うなら」
 「芹香様、執事長、浩之さん」
 「・・・」
 「セリオ!」
 「綾香お嬢様は?」
 「ここです」
 「ね、ねえさん、ひろゆき」
 「ふ、ふじたせんぱい」
 「・・・うっ」
 「おい、三人とも大丈夫か。爺さん救急車」
 「救急車よりヘリのほうが良かろう」
 「・・・」
 「綾香様、もう少しお待ちを」
 「セリオ、ごはん・・・」


 「そ。そんなこともあったわね」
 「本当にあの時は大変でした」
 「山篭りに行って、体壊してたら意味無いと思うけど」
 「は、ははは」
 「というわけで、食料は必ず隠し持ってきています」
 「さすがセリオお姉ちゃん。それに比べて・・・」
 「何よ、あのときだけだったじゃない」
 「いつあるかわかりませんよ」
 「はいはい、わかりました。それにしてもあの時は何で何も採れなかったんだろう?」

 少し離れたキャンプ場
 「雪ちゃん。ここにキャンプに来るのも久しぶりだね」
 「みさき、こんどは私の分まで食べないでよ」
 「大丈夫、この前来たとき食べ物採れる場所見つけたから」
 「ふーん、そう。それでも私の分食べないでよ」
 「雪ちゃんひどいよ」
 「信じてもらいたかったら日ごろの行動を改めなさい」
 「ううぅ」



 「この前の『セリオファイル9』の続きみたいね」
 「今月のお題がキャンプで良かった。話が続けられるよ。だそうです」
 「それにしてもひどい話よね。いくらなんでもそこまで食べないと思うけど」
 「けどあの人だから」
 「・・・」
 「・・・」
 「まあ、そういうこともあるかもね」
 「そんなこんなでドラマコーナーでした」
 「あるかどうかわからないけど、また来月も楽しみに待ってなさいよ」
 「は、ははは」


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