部屋を明るくしてディスプレイから離れてみてネ。良い子とお姉さんとの約束ヨ 学校帰りの道路にて 幼稚園帰りであろう親子二人が歩いている。 「お母さん、早く早く」 「そんなに慌てたら危ないわよ」 男の子が急に駆け出す。 どんっ 歩いていた男子生徒にぶつかる。 「大丈夫か?」 「大丈夫?」 「大丈夫ですか?」 「右膝に擦り傷ができています。大丈夫ですか? 治療の必要がありますか?」 どうやら最近の高校生とは違い、まともな若者だったようだ。 「僕男の子だから大丈夫だもん」 「すいません。家の子が迷惑かけて。こら、祐一」 「お兄ちゃんごめんなさい」 「いいよ別に。それより危ないから道路で急に走っちゃダメだぞ」 「うん、じゃあ、お兄ちゃんバイバイ」 といってまた駆け出していく。 「こら、言われたばかりでしょ。それでは失礼します」 と言ってお母さんが追いかけていく。 「・・・」 「・・・浩之ちゃん」 (俺も昔はあんな感じだったんだろうな。 それにしても最近会ってないな。前なんか 『あんたには奥さんが何人もいるけど、お父さんには私しかいないから』 とか惚気やがって、 だいたい奥さんってどう言う意味だ。こいつはただの世話焼きなだけだし) と思いながら浩之はあかりを見る。 (やっぱり浩之ちゃん、おばさんいなくて寂しいんだ。 うん、私がおばさんの変わりにがんばらないと) と思いながらあかりが浩之を見る。 (あの男の子はこの後いいことでもあるのでしょうか) (これはいいものを見ました) 今日は四人で商店街で買い物をしていた帰りだった。 「マルチ、セリオ、土曜日で早く帰れるのにつき合わせて悪かったな」 「いいえ、そんなことありません。十分堪能させてもらいました」 「本当に楽しかったです」 「それはよかったな」 「はい」 「一週間分の食料も確保したし、明日は一日中家でごろごろするかな」 「浩之ちゃん、課題やらないと」 「そうか、そんなもんも有ったな」 なんだかんだ話をしながらいつものバス停に迫ってくる。 『浩之さん、あかりさん、そろそろバスが来ますので。 今日は誘ってくれてありがとうございました」 「また月曜日にね」 「気つけて帰れよ」 2、3時間後 悪の巣窟、もとい、来栖川電工HM研マルチ・セリオの部屋 「マルチさん、気がつきました?」 冷徹な女教師のように哀れな彼女の生徒に質問する。 『えっ、何か有りましたか?』 「浩之さんがあの親子を見たとき」 「あの子のおもちゃが欲しかったんでしょうか?」 屈託の無い笑顔でそう答える。 「・・・違います」 「浩之さんもあんなころあったんですよね」 「それはもちろんあったでしょう」 二人ともうっとりとした顔で想像する。 「・・・では無くて」 「?」 顔中に疑問符を浮かべる。 「浩之さん、一瞬何か考えた表情していましたが」 「そうでしたか?」 彼女の生徒は彼女が求めるほど優秀ではなかった。 「・・・はぁ。浩之さんがお母さんのことを思い出していた。と推測されますが」 「さすがセリオさん。それで?」 「・・・。つまりですね、われわれが浩之さんのお母さん代わりになれば」 「浩之さん、喜びますね」 「それに、その経験が妹たちに受け継がれれば」 「一層皆様の役にたちます」 「そうなったら膳は急げ、そのことについて調べてきますので、マルチさんは準備していてください」 「わかりました。哺乳ビンとオムツとガラガラと」 た○ごクラブ、ひ○こクラブを取り出して言う。 「明らかに違うと思いますが」 明朝(と言っても11時ごろ) 藤田家 誰かが階段を上がってくる。 部屋に入り、その家の暫定的主人の寝ているベットに近づく。 「浩之ちゃん、起きないと課題できなくなるよ」 「おう、あかりか。わるいなぁ、わざわざ起こしてもらって」 「・・・」 ふと、布団の中に有る何かに気がつく。 「うん? どうしたあかり?」 「・・・、ひろゆきちゃん、それはなに?」 浩之、寝ぼけ眼で状況を確認。 「うん? って、何でおまえらこんなとこいるんだ?」 「おはようございます、浩之さん、あかりさん」 「おはよぅーございまふ」 布団の中からマルチ、セリオ出現。(一応パジャマ。期待していた人出て来い。ちゃんとあやまるから) 「二人とも何やってるの?」 「添い寝です」 「?」 二人とも顔いっぱいに疑問を浮かべる。 「昨夜は眠られなかった様子で」 「確かに昨日は急に暑くなって寝れなかったが」 「それで寝られるように添い寝してあげたわけね」 「そう言えば急に暑苦しくなくなったな」 どういう風に暑苦しく無くしたかは、HM108の秘密の一つです。 「母親として息子が安心して寝られるようにするのは当然です」 「そういうことなんです」 「そうか」 「そうなんだ。それじゃあ私も。 『お母さんの手料理が冷めちゃうから早く降りてきなさい』 と言えばいいのかな?」 あかりうれしそうに言う。 「まあ、そういうことになりますね」 「そうか、って、どういうことだ?」 「冒頭の部分を読み直してください」 「よし、ってどうやって読み直すんだ?」 「それは努力と根性で」 さも、できて当たり前のような顔で答える。 「できるか!」 「浩之さん、おしめかえますからこっちにきまちょうね」 まだ勘違いしてるようで、オムツの用意してマルチが呼ぶ。 「いや、このような場合は問答無用でやるべきではないでしょうか」 「ひろゆきちゃん、パジャマひとりで着替えれるかなぁ?」 あかりまで子供扱いする。 「いいかげんにしろよ」 「ひろゆきちゃん、どうしたの?」 「まさか反抗期ですか」 「たいへんですぅ。家庭崩壊の前兆ですぅ」 騒がしい部屋の中に女性が現れる。開口一番、 「母の日だから、プレゼントの一つくらいあるかなと思ってきたんだけど」 「母さん!」 「藤田のおば様」 どうやら浩之の母親のようだ(こんな性格じゃないかもしれないが)。 「あかりちゃん、元気だった? うちの馬鹿息子が迷惑かけてない?』 「浩之さんのお母様ですか? 始めまして私、HMX-12 マルチと申します」 「HMX-13 セリオです。以後お見知りおきを」 「マルチちゃんとセリオちゃんね。うちの馬鹿息子相手は大変でしょうけどがんばってね」 互いに挨拶を交わす、その話題の中心人物を無視して。 「どう言う意味だよ」 取り残されないよう会話の中に無理やり入る。 「確かに母の日のプレゼントとしてはうれしいわ。けどまだおばあちゃんにはなりたくないわね」 「だからどう言う意味だよ!」 「さて、嫁たちと一緒に昼飯でもとりましょうか」 「「「ハイ」」」 女性陣、話題の中心人物であるたった一人の男を置いて階段を降りる。 「まて、何か勘違いしてるだろ。おい、待ってくれぇぇぇ」 さて、浩之はどうなるか・・・。単なる冗談で済むのか。 「頼むから泥沼と言うか底無し沼状態にさせないでくれぇぇ」 ----------------------------------------------------------------------- 多分ほのぼのだろうな、最初、自転車こきながら考えてたのと違うけど。 最初はセリオに 「『この母の胸に飛び込んでらっしゃい』 と言われましてもあかりさんとマルチさんではクッション無いですから」 と言わせるつもりだったのに・・・。まぁ、いいか。 「いいたいことはそれだけ?」 えっ、あの、その、今のは冗談でして 「もんどうむようです」 その後作者の姿を見たものはいない・・・。 それじゃ、誰が書いてるんだろう。 「あっ、いました」 やばっ、それではまたの機会に・・・。 追記 今の高校生は怖いねぇ。全部が全部じゃないだろうけど。 冒頭のようなことがあれば多分突き飛ばされるかな? 大体自分たちが道いっぱいに広がってるのが悪いのに。