や・き・い・も 投稿者:ジーク・リーフ 投稿日:11月17日(金)09時42分
 部屋を明るくしてディスプレイから離れてみてネ。良い子とお姉さんとの約束ヨ
 
 い〜し〜や〜〜きいも〜〜やきいも
 「セリオ、ちょっと待っててね」
 「はい」

 「大分待たせちゃってごめんね。結構人込んでたから」
 「綾香様、買い食いはよろしくないかと」
 「いいじゃない。いまどき小学生でもやってるわよ」
 「ですが・・・」
 「いいのよ。それにしてもおいしいわねぇ」
 「焼き芋ですか。少し焦げてますね。焦げはガンの原因になります」
 「・・・。やっぱこの季節は焼き芋よねぇ」
 「いえ、秋刀魚や栗、柿などいろいろありますが」
 「甘いわね。他のにこのホクホク感や甘さを感じられる? いえ、絶対感じられないわ」
 「そうでしょうか・・・」
 「そうなの! それにうら若き乙女と焼き芋って結構さまになってるでしょ?」
 「乙女というよりはアマゾネス」
 「なにをいうかな? このお口は?」
 「痛いです。綾香様」
 「ともかく、焼き芋はほんとおいしいわよね」
 

 「と言う訳で、綾香様のために焼き芋を調理してみようと思います」
 「すごいですねぇ。私も浩之さんのために作りますぅ」
 私はマルチさんと一緒に焼き芋を作るために研究所の調理室にいます。
 「・・・ですが残念ながら焼き芋の調理方法はサテライトサービスでもデータがありませんでした」
 「残念ですねぇ。私も見たことはあるんですが作ったことはないですねぇ」
 チッ、役に立ちませんね。
 「焼き芋と言う名前から考えると、まず焼いてみたらどうでしょう?」
 「マルチさんにしてはナイスアイデアですね」
 ほんと、珍しいですね。
 
 「まずはレーザーで焼いてみましょう」
 ビー、チュドン。
 「こんなもんでしょうか」
 「けどほとんど炭化してますよ」
 「失敗ですか。馬の餌にでもしましょう」

 「次にフライパンで焼いてみましょう」
 「大きいフライパンじゃないとできませんねぇ」
 ころころ
 「なかなか火が通らないですぅー」
 「これではないようですね」

 「バーナーで直にあぶってみましょう」
 「わっ、危ないですよセリオさん」

 「とりあえず、焼き芋と思われる物はできましたね」
 「そうですかぁ?」
 「とりあえず、馬小屋に餌として持っていってもらえませんか?」
 「わかりました」

 「馬に餌をやってきましたか?」
 「はいです。それで聞いたところによると落ち葉で焼くそうですが」
 「そうだったんですか。試してみましょう」

 「集め終わりました。いっぱい集まりましたねぇ」
 「ご苦労様です。早速やってみましょう」
 「セリオさん、マッチ持ってますか?」
 「いえ、これを使います」
 「ライターですか。私いまだに付けられないですぅ」
 カチ、ボワァ
 「今度こそ成功しそうですね」


 来栖川邸
 「綾香様、焼き芋作ってみましたのでよろしければ食べてみてください」
 「セリオぉ、大丈夫?火傷してるじゃない」
 「大丈夫です。さぁ、遠慮なされずに」
 「ありがとうね、セリオ」
 
 「セリオ、おいしかったわ。ご馳走様」
 「本当の事言って下さい」
 「セリオがこんなに頑張ってるんだもの、おいしいに決まってるじゃない」
 「綾香様に喜んでもらえてうれしいです」
 
 
 一方(元)藤田家(跡)
 「マルチちゃん。焼き芋は一回蒸してから焼くほうがいいのよ」
 「そうなんですか」
 「蒸して、トースターで焼くのもいい方法だよ」
 「次回はそうしてみます」
 「話はいいからおまえらも食えよ。俺一人じゃ食えんぞ」
 「お茶持ってくるからちょっと待っててね。浩之ちゃん」
 「作りすぎましたか?」
 「一人でこんなにも作れるなんてえらいぞ。けど今度からは気を付けてやれよ」
 「わかりました。次回はもっと家から離れてやります」
 「火の元には注意しようね」


後日
 「お嬢様!」
 「なーに、セバス」
 「あれほど買い食いははしたないからおやめ下さいと口をすっぱくしていってますのに」
 「そんな事してないわよ」
 「いえ、証拠は上がってます。セリオが綾香様の焼き芋のために焼き芋業者に修行に行くと書き置きが置いてあります」
 「・・・。そこまで本格的じゃなくてもねぇ」

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 わけのわからないまま終わる。