ふ〜。冷えるな。 しかし今年は例年よりも気温が高く、ホワイト・クリスマスは期待できうに無い。大志は冬の澄んだ空を見上げた。 「そうか、もうクリスマスなのだな。」 「おー、大志!こんな所で何してんだ?」 画材店の袋を持って瑞樹と歩いている和樹が声をかけてきた。 「おお、マイブラザー、ア〜ンドマイシスター!!伝説の画材店に行って来たのか!」 「いや、伝説かどうかは知らないけど、とりあえず新しいペン軸買ったよ。」 「今あんた珍しく空なんか見上げて考え事してたでしょう?」 ニヤリとした目で大志を覗き込む瑞樹。 「ああ、今年のクリスマスをどうしようかと考えていた所だ。」 「え?大志はクリスマスイベントには行かないのか?」 「いや、それは午後5時には閉会してしまうだろう?その後のことだ。 まさか聖なる夜を無駄に過ごすこともあるまいと思ってな。」 「う〜ん。そうだな。俺はどうしようかな・・・」 クイクイ。 「ん?」 瑞樹が和樹の袖を引っ張り、怒った目で睨みつけている。 「は、はは・・」 「『はは・・』じゃ無いわよ。このニブチン男!」 「そ、それで大志はどうするんだ?」 「ウム。今年はいつものパーティーでパーティーを開こうかと考えたのだが・・・ん?何だマイシスター?」 白けた目で大志を見ている。 「さぶ〜。」 「・・・ちなみに今のはシャレでは無いぞ。」 「・・・・・」 「そ、それよりパーティーってのはいいな。どうせならやらないか?」 ガヤガヤガヤ・・・ 今日は聖なる夜、クリスマスイブ。我輩のグレイトな提案通り、 今年はみんなで集まってのパーティーになった。 料理もあらかた食べ終え、既に雑談の時間になっていた。 「せっかく上京して来たんやから、今年こそは絶対見たるで!!」 「何を???」 「サンタや、サンタ。ウチの家には毎年来てくれるんやで☆」 由宇は目を輝かせて話している。本当に信じきっている目だ。 「あんたバカぁ?そんなのいるわけ無いじゃん!未だに信じてるなんてやっぱ山奥は違うわね〜。」 「うっさいわ詠美!ウチはな、見たんやで!この目で!!」 「そうか・・由宇は信じるのだな?」 「あったり前や!ウチは信じとる。」 「意外だな。」 「信じてる人には来るんやで。せやからあんたには来ん。」 「大体そんなのこの年になってればいるかいないんだか起きてれば分かるでしょ?」 「お〜し、じゃあ今夜はみんな起きてサンタさん見ようやないか!!」 「イ〜わよ!来なかったらあんた今日のおごりよっ!!」 「え〜で!じゃあ、瑞樹っちゃん・・・って!?」 瑞樹と彩さんは既に一升瓶を抱えたまま深い眠りに着いていた。 「・・・・和樹はん?・・」 「・・俺は寝る。」 チッチッッチ・・・ 2:10・・ サンタは明るいと来ないと言う変な理由で電気が消され、 更に酒を飲んでいたのがプラスされ、既に起きているのは詠美と由宇のみになっていた。 連日執筆活動で寝ていない二人だったので、その様子はさながら『不眠対決』になっていた。 「早く寝なさいよね・・」 「寝たらあかんやろが!」 3:00 「来ないわんねぅ・・」 「来るってや・・・」 二人の会話もよく分からないレヴェルにまで達していた。 3:30 ふわり・・・ 二人に限界が迫ってきた頃、窓から冷たい風が入ってきた。 「ムウ、何だマイシスターの奴は。カーテンで隠してはいるが下着などクリスマスの夜にも関わらず干しておくなど・・・」 「さて、マイシスター由宇の為だ。・・・・それにしても邪魔だな・・」 パチンッ! サンタの視界を遮る下着を何枚か外し窓を開けてサンタは部屋に入っていった。 「おっと。」 外した下着が何枚か下に落ちてしまった。 「・・・まあよかろう。大事の前の小さな犠牲だ・・・・」 その頃・・・ 「ねえ、誰か来たわよ・・・」 息を殺して由宇に語り掛ける。 「おー、ついにサンタさんが来たんや!どや?待っとった甲斐あったろ?」 嬉しそうに、まるで小さい子供の様に笑う由宇。 「捕まえる?」 「いや、まだや!部屋に入ってきたらやで!」 「じゃあこの際だから見るだけ見とかない?」 「ヨッシャ。ターゲット確認や!」 せ〜ので二人が見た者は・・・ 髭面のサンタの格好をしたのが下着をプチプチと取っている姿だった。 「ほら、サンタさんやろっ?」 「あんたねぇ・・・まあいいわ、捕まえるわよ。」 「ええで!」 「せ〜の!」 プシュ〜・・・ 「「ふにゃ・・・」」 窓から侵入してきた髭面を捕まえようと間合いを計っていた二人だったが、 ふいに強烈な眠気に襲われ、そのまま二人は眠ってしまった。 寝りに落ちながら、由宇はサンタさんが自分に向かって微笑んでいるのが見えた。 「ほらな・・サンタさんや・・・・・」 翌朝。 「ほんまやで!なっ?詠美も見たやろ?」 「いや、あれって・・・」 「で?そのサンタさんはプレゼントと引き換えに下着を持ってたの?」 荒らされた物干しを見て瑞樹が言った。 「クリスマスに下着など干している方が悪い。」 「しょうがないでしょ。急にここでやるって決まったんだから・・・」 「最近のサンタのプレゼントはトレード制なのか・・」 瑞樹の激鉄ツッコミが入り、寝起きの和樹は再び眠りに落ちた。 「だがそのプレゼントはマイシスター由宇が欲しがっていた物に相違ないのだろう?」 「そや。この中で誰がウチにわざわざプレゼントくれるって言うんや?」 「そうだな。それは絶対に、何があろうと、 地球が崩壊の危機に陥っていようともありえんだろう・・・」 スパンッ!! 由宇の激鉄ツッコミが入り、大志も眠りの国へと誘われた。 「まあいいじゃない、サンタが来たってことにすれば。」 「そやそや!」 にっこりと微笑む由宇。 「これでバカ詠美のおごりに決定やな!」 「む〜。」 パーティーもお開きになり、大志達は帰路を共にしていた。 「大志、あれってやっぱりお前だろ?」 小声で和樹が聞く。 「そのと・・・いや、あれは我輩ではない。それでよかろう。」 小声で大志が答える。 「・・・・そうだな。」 二人が見上げた空は気持ちがいいぐらい澄んでいた。 「いい事をすると気持ちが良いな!!!」 声がでかい。 「・・・やっぱお前じゃんか。」 「ありがとな・・・」 その少し後ろを歩いていた由宇が小さな声で言った。 その後、下着泥棒は瑞樹の独断と偏見により、瑞樹宅裏で極秘裏に処分された。 「違う、違うでGOZARU!!」 「ち、違うんだな!!!」 「問答無用・・・」 「「ぎゃぁぁぁぁーー!!!」」 To be noncontinued メリークリスマス☆今年のクリスマスはバイトで過ごしますDEATH!、ハイ(涙)。 悩んだ挙句こんなのになりました。まだ二次創作とか書き始めたばかりなので、感想とか貰えるとありがたいです。 コンソメ屋もヨロシコ☆http://members.jcom.home.ne.jp/0340054601/