エルクゥの科学力は世界一ぃ!(教えて耕一クン)
「千鶴さんって、鬼の力を操れますよね」
耕一は、千鶴にそう話をふった。
「はい、そうですよ。姉妹の中では、一番私が鬼の力を制御できますから」
「俺みたいに、変身とかしないんですか?」
「鬼の女性は、鬼の男性のように本当の鬼に変身はできません。当然、戦闘能力は男性には及びませんが、私なら並程度の完全に覚醒した鬼となら、対等以上に戦えますよ。さすがに耕一さんほどの鬼と戦っても勝てないとは思いますが」
「はは、千鶴さんとケンカしようなんて、俺は考えませんよ」
というか、絶対殺されるのは自分だ、と耕一は心の中でつぶやいた。
「ところで、変身はしませんけど、地面がへこんだりしてましたよね?」
「はい、当然人間の限界は超えるわけで、普通では無理な所を、密度をあげて無理やり引き出しますから。どこからあの重さが来るのか、説明しろと言われても、私も詳しくはしらないんですけど」
「まあ、鬼を常識に当てはめても仕方ありませんから」
「自分達のことながら、そうですよねえ」
千鶴と耕一はお互いに笑い合う。
「ところで、千鶴さん」
「はい、何ですか?」
「あれって、やっぱりダイエット失敗したんですか?」
ズバッ!
千鶴の鬼は、どの鬼よりも強いことが証明された。
「俺の鬼には勝てないって言ったのに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「もう、知りません」
ハラショー、千鶴! ウラー、エルクゥ!
「よお、梓。今暇か?」
「ん? 耕一、何さ、別にこれと言って用事があるわけじゃないけど…何か厄介事でも頼むつもり?」
梓がじと目で睨む。
「おいおい、厄介事を頼むのはいつもお前の方だろ」
「あたしがいつ厄介事頼んだのよ」
「ほら、この前のかおりちゃんとかその前のかおりちゃんとかついこの間のかおりちゃんとかだいぶ前のかおりちゃんとか…」
「…」
「…」
「…」
「…すまん、俺がわるかった。だからそんな泣きそうな顔するな」
「泣きたくもなるよ」
はあっ、と大きく梓はため息をついた。
「…で、いっつも迷惑をかけているあたしは、一体何をして耕一様に恩返しをすればよろしいのですか?」
「お、おい、そうカリカリするなよ。人がせっかくデートに誘おうと思ってんだからよ」
「え…」
梓の顔が急に期待にあふれた顔になる。
「で、俺が梓をデートに誘うとして、梓に一つ質問したい」
「な、何よ」
「もし俺とデートするとしたら、下着の色は白か、黒か、教えてくれ!」
「…」
「…」
「…」
「…」
「は〜、何でこいつはこんなにバカなんだろう」
梓は、もう本当に泣きたくなって大きくため息をついた。
「教えてくれたら、デートしてやる」
「あのねえ…」
「もちろん、俺のおごりだ」
「…」
「…」
「…というか、何でそんなこと聞くんだよ」
「いいから、ほれ」
「…えっと…」
「うんうん」
「…し、白かな」
「イカスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
「あ、あのねえ…ちなみに、黒って答えたらどうなってたんだ?」
「それはそれでヨシッ!!!!!!」
「…はあ、何でこいつはこんなに大バカなんだろう」
イカスぜエルクゥ! 飛ばすぜエルクゥ!
人気ないけど俺は好きだぞ梓!
「やっと一緒になれましたね、耕一さん」
「そうだね、楓ちゃん」
「長い間、待ちました」
「ごめん、俺、楓ちゃんのこと、ずっと思い出さなくて」
「いいんです、今こうやって、思い出してくれてますから」
楓は、小さく微笑む。幸せを手に入れた、ずっと待って、ようやく手に入れた幸せに、心の底から満足している顔だ。
「楓ちゃん…」
「耕一さん…」
「…俺、エディフェルが死んで、リズエルと結婚したんだけど…」
「はい、聞きました。でも、もう過去の話です。それに…あのとき、私が次郎衛門の横にいれなかったのが原因です。次郎衛門を責めたりはしません」
「そうか、それを聞いて安心したよ…ちなみに、今浮気すると?」
耕一のお約束の言葉に、楓は首をかしげて笑った。
「殺します」
「ひいっ!」
怖え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
「冗談です、姉さんを真似ただけですよ」
「そ、そう、よかった、」
「ほんとは、死にます。目の前で」
「ひぃぃぃぃぃっ!」
怖いですねえ、恐ろしいですねえ。
それではみなさん、さよなら、さよなら、さよなら。
「ねえ、初音ちゃん」
「何、お兄ちゃん」
「この前は、俺達洞窟に閉じ込められちゃったけど」
「う、うん」
ちょっと初音は顔を赤らめた。
「どうせ二人っきりになるなら、無人島の方が雰囲気があっていいような気もするな」
「うん、洞窟は、確かに嫌だね」
「…ねえ、初音ちゃん」
「何、お兄ちゃん」
「もし、船が難破して、俺と初音ちゃんだけが無人島に打ち上げられたら、どうする?」
「えーと…」
初音はやはりちょっとてれながら答える。
「とりあえず、一日休んで…」
「うん」
「泳いで帰るよ」
幻滅〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
「な、何でわたしのが一番長いの!?」
「そりゃ鬼の力があれば泳いで帰れるけど、初音ちゃんがそれを言っちゃあ…」
こうして女の子は大人になっていくのだ、悲しいことに。
おまけの質問、その1。
問:柳川さんってホモってほんとですか?
答:違うっ! 狩るぞてめえっ!
おまけの質問、その2。
問:かおりちゃんてレズってほんとですか?
答:はい(きっぱり)
おまけの質問、その3。
問:では、梓のどこか好きですか?
答:そのやさしくて、全てを包み込んでしまうような、でかい胸。
かおりちゃんとは仲良くやっていけそうな気持ちになった人、手をあげて。
終わり