永遠の過ごし方 投稿者: YOSHI
永遠の過ごし方〜There is such a thing as forever〜

<Fifth day>

《〜金曜日〜》


〜朝、南明義〜


「ねぇ、明義」
「なに?」
オレがいつものように制服で玄関で靴を履いているときだった。
「また学校?」
「うん……」
嘘だ。
いままでも何度も聞かれて何度も同じ答えを返した質問。
その答えはいつも嘘だった。
オレは、多少良心が痛むのを感じながらいつものように立ち上がったときだった。
「明義……もう、学校に行くのやめない?」
「…………」
無言で母親の顔を見返した。
母親のその表情には強い焦りが浮かんでいた。
必死に訴えてくる。
「ほら、残り二日ぐらいは家族で、ね」
そう、残り二日しかないのだ
今日を入れたところで残り三日しかない。
わかってはいた。痛いほどに。
「…………考えとく……」
オレは、これだけ言うのが精一杯だった。
なるべく母親の顔を見ないように、いってきますとも言えなかった。
逃げるように傘も持たずに玄関をでる。
玄関の扉にもたれかかり灰色の空を見上げる。
いや、実際逃げていたんだ。
家族からも、残り時間がないという現実からも逃げていた。

でも、オレは……。



〜空き地、里村茜〜


雨。

暗い空からしとしとと落ちてくる。
今日は雨が降っていた。
殴りつけるような雨ではなくて撫でるように優しく降る雨。
私はずっとこんな日が一番嫌いだった。
司が消えた日と同じように降る雨。
この雨がわたしの痛みを思い出させるから。
でも、待つことはそれだけでもっと苦痛だった。
私は誰かに「助けて」と叫びたかった。
誰か私の気持ちをわかってくれる人が欲しかった。
ここからどこかに連れていって欲しかった。

ここではない、どこかへ。

そう思っていても、私は自分から動くことは出来なかった。
だって、私は……。



〜学校、みさき〜


私は演劇部室に向かって走っていた。
「雪ちゃーん!」
何度聞いても同じだった。誰に聞いても誰も雪ちゃんのことを思い出さなかった。
澪ちゃんに聞いても、他の演劇部員の子に聞いても、先生に聞いても、誰も、誰も、思い出さない。
「雪ちゃーん!」
もう一度大きな声で雪ちゃんの名前を呼ぶ。
私も忘れていたんだ。
ずっと一緒だったかけがえのない親友のことを。
知らず知らずのうちに自分の目から涙がこぼれだしていた。
「雪ちゃん!」
大声で叫んで演劇部部室のドアを開く。
でも、人の気配すらしなかった。
「雪ちゃん?」
もう一度呼んでみる。
でも、返事は返ってこなかった。
私はとぼとぼと部室に入る。

パキッ。

足下で何か音がする。
「チョーク?」
私が拾ったのはすり減って小さくなったチョークだった。
おかしいと直感的に思った。
ここのチョークはいつも雪ちゃんが新しいのに変えている。
こうなってもかわらずやっていたことだった。
だからこんな小さくなったチョークが落ちていることは……。
私はある考えをもとに歩みでる。
「……もしかしたら……」
私は震える手を黒板に延ばす。



〜数分前、演劇部部室、深山雪見〜



雪見はパイプ椅子にどっかりと腰を下ろしため息をついた。
全身を強い疲労が包んでいた。
目を閉じたら眠りに吸い込まれそうなほど強い疲労。
それに従ったら、そのままこの世界から消えてしまうこともわかっていた。
「……おなか空いたわね」
まるでみさきみたいだ、と思い雪見の顔に笑いが漏れる。
雪見は澪が自分のことを忘れたあと、家に帰ってみた。
だが、うちに入ることは出来なかった。
両親にさえも忘れられていたのだ。
みさきに会うこともできなかった。
もし、忘れられていたらと思うと……。
だから、もう行ける場所は一つしかなかった。
二日間何も食べずに学校で寝泊まりした。
誰もいない教室でぼんやりと夜が明けるのを見たりした。
綺麗な夜明け。
「………………」
雪見は立ち上がるとチョークをつかんだ。
そしてともすれば拡散しそうになる意識を必死につなぎ止めながら、
黒板に強く、強くチョークをこすりつける。
「……みさき、ごめん……ね……」
遠くから足音が聞こえチョークがリノリウムの床に当たってはねた。



〜演劇部部室、みさき〜


みさきは黒板につけられたチョークをなぞる。
渾身の力でつけられたであろう、それをゆっくりなぞっていく。
「バ・イ・バ・イ……ゆ・き・み………ご・め・ん……」
ぺたり、とみさきは座り込む。
そして、何度もいやいやをするように首を振る。
「……うぅ……ぅ……うあぁぁーっ……」
嗚咽がやがて大きな泣き声へとかわる。
雨が静かに地面を叩いていた。


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お久しぶりです。
YOSHIです。
あんまり久しぶりで忘れられてるかもしれません(汗)
ところで、人生には時としてどうしようもないことがある。
トイレにで紙がない、電話の料金がン万円を超えた。
そう言うことが人生においていい経験に……。

雪見「素直に謝った方がいいと思うけど?」

…………何故に雪見さん?。

雪見「これでこれには出番がないからアシスタントよ」

ま、いいか。さて今回の謝罪は……。

雪見「ロードオブアルジーね……」

ちょっと色々な事情が重なって……投稿が遅れてます。
メールくれた方々ごめんなさい。

雪見「参加希望にメール出したのに音沙汰がないぞオラッ!」

という方がいらっしゃればお手数ですがメールをいただけると幸いです。
今週中には投稿します……。

雪見「というわけで、今日はこの辺で」

それではーーっ_(^^)/