はぐれ3匹【恋愛編】
乙女チックごーいんぐまいうぇい!
なんで俺のことを好きになったの?
あなたの優しさ、かな。
そっか。……なあ、幸せってなにかな?
うーん。たぶん、なにも知らないことよ。
それ……聖書の話だろ?
知恵の実を食べなければアダムとイブはいつまでも幸せだったんだって。
幸せ……。じゃあ……俺は幸せだったんだな、きっと。
どうして?
俺……彼女以外の女性のことは考えたこともなかったんだ。
そう、幸せだったんだ。
でも、こうして2人でいても……それも幸せなんじゃないか、って思えるんだ。
そうよ。これは2人の幸せ。だから…………どうしたの?
わからないよ……。
どうして、泣いてるの?
何で……泣いてるんだろうな、俺……。
………………好きだったんだね。
うん……。でも、これでよかったんだ。
これがよかったのよ、ね。
そう、幸せになるんだよ。2人で……幸せに……。
・
・
・
そろそろ陽も落ちていることだろう。俺と七瀬さんは無言のままで時を過ごしていた。
なかなか気まずい、しかし……だ。
「七瀬さん」
「なに? 南森くん」
やはり………………おかしい。仕草一つをとってもいつもと違うと思っていた。
動作の一つ一つがいつもの七瀬さんと違い、女の子らしいというか、乙女らしいというか……。
「…………なに?」
首を傾げる動作をしてもそうだ。何となく女の子らしいもの、を感じる。どうも俺の知っている七瀬さんとは微妙に…………。
「………………」
いくつもの記憶が浮かんでは消える。何となく悲しい気持ちになる俺。……いや、明らかにいつも七瀬さんとは違う。
「……な、なに? そんなにじっと見つめて」
「いや、何でもないんだけど……」
彼女はなぜか照れているらしく頬を赤らめていたりなんかする。な、なんなんだ?
俺の知っている七瀬さんといえば、それこそ破壊神の化身というか、外道というか……。
「ねえ……いまさっきから、どうしたの?」
「七瀬さんが、七瀬さんが、こんなにかわいいはずがないぃぃぃぃぃっっっ!!!!! 世紀末だぁぁ!」
思わず、俺は世の中の不条理に頭をかかえてしまう。
「……………………う」
ぐぅあっ!! しまったっぁぁ!! 俺様一生の不覚ッ! でるか?! 必殺の七瀬乱舞!!
「………………」
あれ? なんにもおきない? おそるおそる彼女の方に向き直ると涙ぐんでいた。
……何故だ? いつもの七瀬さんなら四十八の必殺技をフルコースで食らわせてくるのに……だ。
「ま、まあ……とりあえず悪気はなかったんだ、ごめん」
俺がそう言うと七瀬さんは目をそらしてあさっての方向を向く。何となく罪悪感を感じている自分がそこにあった。
何かが…………大いにおかしい。
・
・
・
人間という生き物はまったく知らないもの、未知というイメージを持つことができないらしい。
いや、正確に言うなら見たこともないものも記憶や経験、情報なんかから勝手に作り上げてしまう。
話ででてくる友人の友人の、そのまた友人の顔なんかも勝手に作り上げてしまうものなのだ。
早い話……百聞は一見にしかず、という奴だろう。
体験するまでいろいろ想像していても体験したとたん、ああ……なんだ……こんなもんか、と思うんだと聞いたことがある。
そう……そんなもんなんだ。俺は南、18歳になる高校3年の男子生徒だ。
ここは……まあ、なんというか……いかがわしい照明にベッドがあるという部屋である。
ちなみにベッドはダブルだ。世の中の高校生の何割かは見覚えがあるだろう印象を受ける場所だ。
俺は安らかな寝息を立てて自分のとなりに横たわる彼女を見る。そこにいるのは柚木詩子。
性格を考えれば、ひたすらにマイペースさらには強引で自分勝手というおまけ付き。
数ヶ月前までは変な女としか思わなかった、その彼女がいま……自分の横にいる。
彼女を知ったのは里村さんを通して、そして、偶然妙な話に巻き込まれて、偶然に会ってりもして一緒に遊んだりもした。
全てが……偶然なんだ。
ここに至るまでの分岐はそれこそ無数だ、でも運命なんて陳腐な言葉は好きじゃない。第一おれは無神論者だ。
でも、俺は思う。偶然だって重なり続ければ必然になるんだと。
「…………う……ん」
軽く寝返りを打つ彼女の髪にそっと触れる。その柔らかな感触が心地よい。
「………………」
彼女の顔をじっと見つめる。
にゅっ。
そして、何となく彼女の鼻をつまんでみる。
「……う…………」
嫌がっている、って当たり前か。そのかわいい寝顔に何となく微笑ましいものを感じ、微笑む俺。
「なにやってんだ、俺」
ひとりごちて苦笑する。確かにこんな状況は想像したこともなかった。いや、想像したにはしたが隣にいる人は違った。
里村茜。彼女のことばかり考えていた俺、でも、今の俺は間違いなくあのときの俺とは違う。
いまは自分のことを強く思ってくれる人がここにいる。
空に輝く星のように手を伸ばしてもつかめない幸せ。
目の前に咲く花のように簡単に手に入れられる幸せ。
誰もが、必ず選ぶときがくる。それが正解か間違いかなんてわからない。バクチと対して変わらないもんだ。
そして、俺は選んだんだ。そう、俺の求めた答え……昔の俺じゃなく今の俺が選んだ答え。
「ハッピーエンドは一つじゃない……か」
詩子さんに言われた言葉を思い出し、小さく笑う。なんかのドラマでも言ってたような気がする。
「これが俺の……」
「……私たちの、ハッピーエンド」
「起きてた?」
「鼻つまんだでしょ……仕返しッ!」
「うぁっ!」
そう……これが俺達のハッピーエンドだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
受験完了!〜後書き〜
よっしゃーーーーー! 受験完了!
住井「つーか出番ないな……おれ」
長森「わたしもだよ」
安心しろ。今度はちゃんと出番がある。
住井「ということは!」
長森「はぐれ3匹【FARGO編】が始まるの?!」
いや、その前にマシンの変更を。
住井「金はどうした?」
ナンバーズと貯金全額!(/><)/
長森「受験の結果は? 知らせなくてもいいの?」
あ、照明さんもう少し左から……じゃ、5秒前……4……3……2……1……。
住井「では、受験速報ーーー!!」
*YOSHIの大学受験は『合格』ですっ!!!*
住井「受験生活……長かったなぁ」
ああ……。国公立じゃ志望の学部に通らないからって私立に行くんだしな。
長森「じゃ、苦学生らしく……」
寮生活の可能性が……99.999%程度か。
住井「確定じゃない?」
定員が野郎は16人なんだ。まぁ、俺は人生真面目に生きてるから大丈夫だろう。
長森「えいりさんは25,26までって言ってたね」
まあ、おいらが一足先に決まりました。(^-^;でも、残りの2週間ほどをがんばってください!
じゃ、今日はこの辺で。
住井「感想はどうした?」
うっ、別に過去ログが再インストールで消えたとか、そんなことはないぞぉ……。
長森「2/8からだね」
あ、たいしたことじゃないけど2/7はおいらの誕生日。
住井「誰もその日に祝ってくれなかったりするし」
合格記念と一緒くたにされたな。(苦笑)(2/8発表)
住井「で、感想は?」
う、後で出す……。
住井「よかろう」
じゃ、長々となりましたがこの辺で。
住井&長森「さよぉならーーーー」
990210