一方その頃…広瀬(第35投稿)  投稿者:WTTS


 <前回の大まかなのあらすじ>

いよいよ今日、人気投票の結果が明らかになる!
その発表はどうやら休み時間以降になるらしい!
だが授業中に、結局七瀬が1位であることが判明した!
ふと住井を見てみると、何だか神妙な表情をしているではないか!


それでは、今回で「第12話」となります。(礼)



************************************************************************


<12月5日>


(その2)


広瀬(ひょっとして、怒ってる………………の?)


一瞬そんなことを考えちゃったけど、住井くんに限ってそれはあり得ない。
確かに彼はこういうことに対する「不正」には厳しいんだけど、“怒る”なんて
ことはしない。 どちらかというと、“冷静に処罰を下す”ようなタイプだから。
でも、だったら一体何なのかしら…?

広瀬(ま、いいか…)

後で本人に直接訊いてみればいいことだしね。
それに、「住井くんが何を考えているのか」なんて、それを考えること自体が
愚の骨頂だもんね。

いまだ不機嫌そうな顔をしている彼からちょっと視線を横にずらすと、
何かもう天下取っちゃったみたいな、込み上げてくる嬉しさを
堪え切れないって感じの七瀬さんが見える。

広瀬(ったく、ニヤニヤしちゃって…)

それにしても、猫被ったまんまの姿で、しかもカンニングまでして獲得した
「1位」がそんなに嬉しいものなのかしらねぇ…。
私だったらそんな「嘘ばっかりの1位」なんて、謹んでお断り申し上げます
ってとこだけど、まあ嘘でも1位を獲れない私にとっては未知の領域だわね。
だいたい、もし本当にこんなことを主張したところで「人気者へのひがみ」としか
感じられないだろうし。
そこら辺がまあ、ちょっと悔しいって言えば悔しいわね。

とにかく、これだけははっきりした。
私は七瀬さんとは仲良くなれそうにない。
「嫌い」とまでは行かないかも知れないけど。
ああいう、自分を可愛く見せることに躍起になっているような女の子は
昔からどうも苦手。
もし向こうの方から「友達になろう」って言ってきてくれたとしても…
「うん、なろうよ」って素直に受け入れる気になるかどうかはかなり疑問ね。
 ・
 ・
佐織(七瀬さんと真希ちゃんて、ウマが合うんじゃないかなって)
 ・
 ・
ふふっ。「人徳の佐織」もヤキが回ったかな? …な〜んて。

 ・
 ・
 ・

休み時間。


稲川「真希っ」

賑やかなのがやって来た。

稲川「男子の企画って、きっと人気投票だったんだね」
広瀬「ええ、よく分かったわね」
稲川「折原君のあの叫び、そして男子連中の悲喜こもごも、これらから
   導かれる結論はただ一つね」

さすがは自称事情通。 無意味に目ざとくて論理的だわ。

稲川「って、え? 何だ、真希も気づいたの?」
広瀬「気づいたっていうか、知ってた」
稲川「へ?」
広瀬「隣の彼のおかげでね」

私は親指で御堂くんの机を指した。

稲川「あははっ、そういうことかあ」

ちなみに御堂くん本人は他の男子数名と一緒に住井くんの席を
取り巻いている。 もちろん「結果発表」を見るために。

稲川「じゃあ真希もアレ、見せてもらうんだね」
広瀬「一応そのつもり」
稲川「いいな〜」
広瀬「いいでしょう」
稲川「教えて」
広瀬「ダメ」
稲川「う、やっぱり…」

とか他愛ないおしゃべりをしている横で、さっきから結果発表組の
様々な“声”が聞こえてきている。

「くは〜っ、アイツに票が入ったか〜」
「お、おい! この『1票』ってのは、まさか…!」
「待て! 1票は1票でも、これは…!」
「何つーかまあ、シビアだなぁ…」


稲川「す、凄そうだね…」
広瀬「うん…」
稲川「ま、いいや。ところでそんなことより、今日の帰りどう?
   ボスバーガーにでも寄ってかない?」
広瀬「あら、いいわね。付き合うわ」
稲川「よーし、決まりっ。じゃ、あとの三人にも声かけておくね」

そう言うと麻実は去っていった。

住井くんの席では相変わらず男子が投票結果について
あれこれ批評を述べている。

広瀬(そういえば、2回目だっけ…)

実は4月の中旬にも一度、人気投票が開催されていたらしい。
ただ、後で住井くんから聞いた話だと、
「票が長森さんに集中しちまって、オレ的にはつまらなかった」
ということなんだけど。

だから私は一昨日、また人気投票をやるって知って「懲りないわね…」なんて
思っちゃったんだけど、よく考えてみたら今はもう12月。
クラスもいい加減、全体的に馴染んできて、誰がどういう性格なのかとか、
完璧にとは言わないまでもそこそこお互いを理解してるわよね。
ということは「気になる女子」ってやつにも既に“差”というか“バラつき”が
生まれているだろうし、そんな中、決定的理由とも言える七瀬さんの出現。
もっとも、今回の発案者の中崎くんがそこまで考えていたかどうかは不明だけど。
とにかく今回の人気投票は『開催されるべくして遂に開催された』という風な
位置づけだから…。

広瀬「盛り上がるわけよね。確かに2日は必要だわ…」

 ・
 ・
 ・

3時間目の休み時間。

住井くんの席に群がる男子もまばらになって、いよいよ私も
結果を見せてもらう余裕ができたみたい。

広瀬「住井くん」
住井「ん、広瀬か…」
広瀬「よかったわね。大分盛り上がったみたいじゃない」
住井「まあな。前回の反省も効いてるしな」

住井くんの名誉のためにも断っておくけど、決して前回の人気投票が
盛り上がらなかったわけじゃあないのよ。
ただ、主催者の住井くん本人が個人的に「失敗」だと思ってるだけ。

広瀬「ところで」
住井「何だ?」
広瀬「他のクラスの男子をまじえたりはしなかったの?」
住井「考えはしたさ。だがやめておいた」
広瀬「どうして?」
住井「…分かってんだろ?」
広瀬「分かってんだけどね」

クラス内人気投票ってのは、そのクラスの“傾向”を知るのにも役立つ。
だから、本当に意義のある結果を求めるなら、たとえ身内でもクラス外の人に
投票をさせるべきじゃないのよ。
それに、前回は長森さんに“票が集中してしまった”ことを嘆いている彼が、
おそらく「外見の可愛らしさ」しか判断材料を持っていないクラス外の男子に
投票権を与えて、わざわざ票を集中させてしまう原因を作るわけがなかった。

広瀬「そういえばあんた、1時間目の授業中、何か怒ってなかった?」
住井「あ? 怒ってた? 何でオレが?」
広瀬「いや、そう見えたからさ…」
住井「いつ頃だよ、それ…」
広瀬「折原くんが叫んだ辺り」
住井「折原が? ってーと…」
広瀬「…………」
住井「…………ああ! 思い出した。あん時はお前、考え込んじまってたのさ」
広瀬「何をよ」
住井「次の企画」
広瀬「…なるほどね」
住井「一つのイベントが終結した瞬間から、新たな闘いは既に始まってるんだ」
広瀬「あ〜もう分かったから例の結果を見せてよっ」

一瞬でも気になった私がバカだった。

住井「ほらよ」
広瀬「ありがと」
住井「…お前、そこそこの人気だぞ」
広瀬「ふ〜ん…。どれどれ?」


__________________________


 <第2回女子人気投票 “最終”結果発表>


    1位 : 七瀬留美  12票
    2位 : 長森瑞佳  10票
    3位 : 里村 茜   8票
    4位 : 稲木佐織   5票
    5位 : 広瀬真希   4票
    6位 : 青井美由紀  1票
    6位 : 早田優子   1票


       (仮入選)

       赤上理恵
       加山淳子
       水野奈緒子
       村田愛美
       山本佳奈
       


        ご協力ありがとうございました。


__________________________


広瀬「…………」


     
   (つづく)



************************************************************************


<あとがき>


終わんなかった…。(−−;;
「密着!〜」なんてものを書いておきながら、ちょっと趣向を
変えてしまいました。(^^;;

次回には「5日」が終わるとは思います。
その次はいよいよ椎名が登場!……って、え? 何?
『バカ女』の続編? ……あちゃ〜。(笑)


************************************************************************


 <感想>

明日、まとめて書き込みます。


 <謎のコーナー>

さる筋により、『大昔のログ』が密輸(笑)されたので
その整理にかまけます。(^^;;
今回はお休みです。


 <リレーSS>

一度書いたら(いい意味で)クセになりますよっ☆(笑)


 それでは、失礼いたします★

http://cgi-space.to/~sin/bbs4/gagaga/denju.html