エピローグ「笑顔」 投稿者: 11番目の猫
------ エピローグ『笑顔』 ------
『このスケッチブックは特別なの』
…パラリ。

『笑うの』
『笑うの』
『笑うの』
どうして…?

『約束したの』
『約束したの』
『約束したの』
誰と…?

『信じてるの』
『信じてるの』
『信じてるの』
誰を…?

『伝えたい事いっぱいあるの』
『伝えたい事いっぱいあるの』
『伝えたい事いっぱいあるの』
誰に…?

『悲しくなんか、ないの』
やっぱり…

『みんなともっともっとお話するの』
『みんなともっともっとお話するの』
『みんなともっともっとお話するの』
なんで…?

『あの人にお話する事、もっともっと増やすの』
『あの人にお話する事、もっともっと増やすの』
『あの人にお話する事、もっともっと増やすの』
……

『あったかいの』
『あったかいの』
『あったかいの』
いなくても…?

『胸の中があったかいの』
『胸の中があったかいの』
『胸の中があったかいの』
痛くはないの?

『痛くなんか…ないの』
ほら…

『だから、頑張るの』
『だから、頑張るの』
『だから、頑張るの』
いつまで…?

『ずっと、頑張るの』
『ずっと、頑張るの』
『ずっと、頑張るの』
そう…

『笑うの』
『笑うの』
『笑うの』
ひまわりみたいだね。

『わたしのために、笑うの』
『あの人のために、笑うの』
『あなたのために、笑うの』
『みんなのために、笑うの』
ふふふ…

澱むのよ…
だれも気付かないうちに。
蝕まれるのよ…
自分でも知らないうちに。

土が悪くなるんだよ。
根元から腐り始めるんだよ。
花びらが茶色くなるんだよ。
風がなぎ倒して行くんだよ。
傷んだ根元から折れるんだよ。
地面に叩きつけられるんだよ。
その上を雨が通って行くんだよ。
ぬかるんだ泥の中でそのまま腐っていくんだよ。
種をつけることなんて…ない。

あなたも、彼も。

『このまま、食堂に行くの』
「うん」
……
『ラーメンとA定食一つづつなの』
「やっぱり目立ってるね…私たち」
『ちょっと恥ずかしいの』
「あら…あの人…」
『あ…』
バシャッ!
「やったわね…必殺どんぶり返し…」
『あったかいの』
「…しがみつくのはラーメンをどけてからにしてくれないか、澪」

そんな二人を見たくないから…
あなたのようには笑えないから…
わたしは…

……
『背中、あったかいの』

あーあ、甘えちゃって…
妹じゃあるまいし…
本当ならそこにはわたしがいるはずなんだよ。
わたしがそうやって笑っているはずなんだよ。

カキカキ。
『あなたとももっとお話するの』
え…わたしと…?
ふふふ…ありがとう…

そうね…
花はいつかは枯れるものだけど…
ほら、ドライフラワーより生花のほうがいいでしょう?
止まった時の中で寂しく微笑み続けるより…
過ぎ去る季節を輝く笑顔で過ごしてね…

「ん…澪、誰と話してるんだ?」
『秘密なの』

ううん、わかってる…わかってるよ…
これでいいんだけどね…
でも、やっぱり言わせてもらうよ。
お兄ちゃんの、バカ…

『あなたはどうするの』
わたし…?
世界の果てまで…この風に乗って…
そんな顔しないで…また来るよ…
『またお話するの』
そうだね…
今度はわたしが見た世界の事を話してあげようか…
『約束するの』
ふふ…約束よ…
じゃあね…

「みさお…」
『?』
「いや、いいんだ…」
カキカキ。
『元気出すの』
「ありがとうな、澪」

ラ…ララ…
約束…か…
…ラ………

fin.
------ あとがき ------

今回はずいぶんあっさりしてるなあ。
みさおは柔らかな風になっちゃうし…
もともとはシナリオライターさんの苦労を味わうべく、
「澪からみた最後の一年間」を描くつもりだったんだけど。
いつのまにか視点代わってますね。
ここに幻の原作を紹介しよう。

『このスケッチブックは特別なの』
一枚のページに一つの言葉。
溢れそうな思いを綴った言葉。

『笑うの』
『笑うの』
『笑うの』
パラリ。

『約束したの』
『約束したの』
『約束したの』
パラリ。

『信じてるの』
『信じてるの』
『信じてるの』
パラリ。

『悲しくなんか、ないの』
パラリ。

『頑張るの』
『頑張るの』
『頑張るの』
パラリ。

(以下再開シーンへとつづく)

作者の非道ぶりがうかがわれる逸品。
決して手抜きではないが…書くのに一分もかからなかったような。(縛)
しかしこれだけでもすんでしまうところが澪のすごさだな。

ヒロイン達のなかでは澪が一番「浩平の求めた」みさおに近いんではなかろうか。
みさおが妙に優しいのはそのせいです。

話はかわるけど、個人的には澪シナリオはあまり評価していません。
「体育館の壁にもたれて一人で消えていく」バッドエンドが実はお気に入りです。
自分もあんな風にたった一人で生きてきた痕跡を残さずに軽く消えられたらいいなって…
昔から思っているんですよ。いや、別に自殺願望とかじゃなくてね。
それを「逃げていたんだ」と一言であっさり翻しやがって…
確かに澪ちゃんはすごくいい子なんだけど。
長森シナリオよりこっちの方が許せん。
でもキスされたら…やっぱり考え直すかなあ。(笑)
すまん、気に食わなかったら忘れてくれ。

感想にGO!
…とその前に。
前作に感想をくれた皆様ありがとうございました。
みさき 「とってもうれしいよ、と猫さんに代わって言っておくよ」
茜 「…本人は照れ屋らしいです」

>ここにあるよ?様
カレーに練乳…茜、たのむから私の味覚を破壊しないでくれ。
>火消しの風様
おーい、シュン。やっぱり長森はいいねぇ。
>もうちゃん@様
着ぐるみブームですかねぇ。そういう問題じゃないか。
澪に先生は…
>よもすえ様
七瀬姫、いいっす。雨か…
>しーど&偽善者様
葉子さん以外は…ろくな事になりませんね。
>だよだよ星人さま
最近、七瀬っていいように使われている気がしてなりません。
ハイジ原作よく覚えてないよ〜。
>HMR−28様
それにしてもよく人が消える町じゃのう。(笑)