七瀬トップ記念SSその1 投稿者: 11番目の猫
----- 注意書 -----
結構長いです。
この人たちは「ONE」の登場人物とは多分別人です。
----- 注意書おわり -----

そこは剣と魔法が支配する世界。
これは乙女を夢見た勇者の物語。

The Story of Heroine who dreams OTOME
- 勇者ナナセの大冒険 -

第0章 プロローグ

今日もまた日が暮れる。
冒険者達がつどう酒場にとっては一日のかきいれ時でもある。
ここ「11番目の猫」亭も。そんな時間をむかえていた。

その中で。
勇者ナナセは叫んでいた。
「3番テーブルに大ジョッキ一本追加!」
…ウェイトレス姿だったりする。

夕食時が過ぎて。
アルバイトを終えたナナセは2階へと向かっていた。
彼女たちのパーティが大部屋を一つ借りているのだ。
そこには彼女を除く六人がすでに集まっていた。

ナナセ クラス 勇者
ナガモリ クラス ケットシー(猫娘)
ミサキ クラス エルフの魔法戦士
アカネ クラス 魔法使い
ミオ クラス 神官
マユ クラス ビーストマスター
コウヘイ クラス 盗賊 + 遊び人

お・約・束が約?名。

ナナセ「ふー、づかれたぁぁぁぁ」
ナナセ「アルバイトも楽じゃないわねー」
コウヘイ「おまえが酔っ払って店のドアを全部壊したりするからだ」
ミオ『それくらいにするの』
ミサキ「ご飯つきだからいいんだよ」
アカネ「…」
ナガモリ「コウヘイ〜一緒に遊ぼー」
マユ「みゅ〜♪」
会話になっとらんな。すでに。

ナナセ「未探索のダンジョンについての情報を客から入手したわ」
コウヘイ「何!見せてみろ」
ミオ『お手柄なの』
アカネ「…ようやくストーリーに入れますね」

第1章 出立

コウヘイ「…何なんだ?この秘宝『乙女グッズ』シリーズってのは」
マユ「みゅ?」
ナナセ「乙女の夢よ」
コウヘイ「くだらん」
ミサキ「コウヘイ君、言い過ぎだよ」
コウヘイ「ん、待てよ…ちょっと出かけてくる」
……
……
コウヘイ「待たせたな」
コウヘイ「このクエスト、おれは乗った」
意外そうな視線が集まる。
ナガモリがコウヘイをつれて部屋を出た。
ナガモリ「コウヘイ…そんな趣味あったの?」
コウヘイ「ばか。おれは今スミイ商会にいって確認してきたんだ」
ナガモリ「何を?」
コウヘイ「秘宝『乙女グッズ』シリーズの値段をだ」
ナガモリ「…はぁ」
コウヘイ「こいつを元手にして今度こそ…」
ナガモリ「コウヘイ、そういっていつも全部すっちゃうんだよ」
ナガモリ「ナナセさんがこの事知ったら大変だよ」
ナガモリ「クエストの報酬のほとんどがミサキ先輩の食費とコウヘイの賭事で消えてるなんて」
コウヘイ「大丈夫だ、あいつはにぶいから」
ナナセ(聞こえてるんですけど…)

ナナセ「比較的モンスターも弱いみたいだし」
ナナセ「ま、わたしにかかれば楽勝ね」
コウヘイ「ただ、トラップがかなりすごいらしいな」
ナナセ「そうね」
ミサキ「大人数で行くのはかえって不利かもね」
マユ 「すーすー…」
マユはすでに寝ている。

コウヘイ「と、いうわけで」
コウヘイ「俺とナナセ、ミサキ先輩、ナガモリの4人がベストだと思うが」
ミサキ「素早さと戦闘能力を考えたんだね」
ナナセ「ちょっと待って」
一同「?」
ナナセ「ミサキ先輩の代わりにアカネ」
コウヘイ「…なんでだ?魔法だったらミサキ先輩でも十分だろう」
ナナセ「テレポートが必要かもしれないのよ」
ナガモリ「そういう罠もあるもんね」
コウヘイ「ミサキ先輩、ごめんな」
ミサキ「ちょっと残念だよ」
コウヘイ「アカネ、いいかい?」
アカネ「…嫌です」
一同「…」
アカネ「…冗談です」
顔色一つ変えずにいうのは相変わらずである。

次の日の朝。
ナナセ「じゃ、いっちょ張り切っていくわよー」
コウヘイ「乙女はどうした」
ナナセ「…コホン」
ナナセ「ミサキ先輩、ミオ、マユ」
ナナセ「…悪いけど留守番お願いね」
ミオ「『おみやげ、待ってるの』」
ミサキ「なにかおいしいもの」
マユ「みゅー」
コウヘイ(…)

すこし解説しよう。
魔法を使えるミサキ、ミオ、アカネはESP(超感覚)を持っている。
そのため、彼女たち同士ならテレパシーで会話が可能なのだ!
アカネ 「…ご都合な設定です」

ミオ『ミサキ先輩、さっきコウヘイと何を話してたの?』
ミサキ「よくわからないんだけど...」
ミサキ「迷宮の近くでお店を開いてくれって」
ミオ『???』
マユ「みゅ〜?」

数時間後、ナナセ一行はダンジョンに到着していた。
ナナセ「ここみたいね」
コウヘイ「ガセネタじゃなかったみたいだな」
ナガモリ「くんくん…」
アカネはおさげを気にしている。
一行はダンジョンに入った。

第2章 迷宮地下1F

通路を入ってすぐ。頑丈な扉が一行の行く手をはばんだ。
ナガモリ「コウヘイ〜、出番だよ」
コウヘイ「へいへい」
コウヘイ「ちょいちょいっと…あれ?」
ナナセ「どうしたの?」
コウヘイ「これは…魔法錠だ。警報は解除しておいたが俺には開けられない」
ナナセ「マジック・ロック?アカネ、開けられる?」
アカネ「(呪文詠唱中)…無理です」
アカネ「キーワードが必要みたいです…多分」
それだけ言うとアカネは後ろに下がってしまった。
コウヘイ「困ったな…」
ナナセ「こうなったら!」
ナナセ「七瀬流剣殺法奥義!!『壊破』」
コウヘイ「…乙女は素手で力任せにドアを壊すのか」
ナナセ「ほっといてよ!」
ナガモリ「ナナセさん!モンスターみたいだよ!」

「さまよう目玉」が2体現れた!
ナナセの攻撃 目玉Aは90ポイントのダメージ!
ナガモリの攻撃 目玉Aは40ポイントのダメージ!
目玉Aを倒した!
コウヘイの攻撃 目玉Bは10ポイントのダメージ!
アカネの魔法 目玉Bは60ポイントのダメージ!
目玉Bの攻撃 コウヘイはうまくかわした!
ナガモリの攻撃 目玉Bに50ポイントのダメージ!
目玉Bを倒した!

敵は全滅した!

ナナセは90の経験値を得た!
ナガモリは90の経験値を得た!
アカネは60の経験値を得た!
コウヘイは10の経験値を得た!
コウヘイはナナセから1000の経験値を盗んだ!

480Gを発見した!

ナナセ「ふん、雑魚ね」
コウヘイ「…まずいな」
ナナセ「え?」
コウヘイ「こいつは生きた警報ってわけだ」
アカネ「…来ます」

「黒服」が3体現れた!
…中略…

ナガモリ「やったね〜」
ナナセ「やっぱり雑魚ね」
コウヘイ「なんなんだ?こいつら」
アカネ「…人間みたいです」
コウヘイ「しかしどっかで見たような服装だな…」
ナナセ「邪魔者は排除するまでよ。さ、先に進むわよ」
コウヘイ「ま、そのうち思い出すかもな」
一行は奥へと進んだ。

その頃地上では…
ミサキ「とりあえずこんなものかな?」
ミオ『こんなものなの』
マユ 「みゅ〜♪」
簡素な造りだがかなりの大きさの工房が完成していた。

第3章 迷宮地下3F

一行は戦い続けていた。
ナナセ「まったく鬱陶しいわね〜」
アカネ「…面倒です」
ナガモリ「なんか変なダンジョンだよ、ここ」
コウヘイ「たしかに…」
ナナセ「どういうこと?」
コウヘイ「隠し扉やトラップは妙に多いのにモンスターは目玉と黒服だけだ」
ナナセ「いわれてみれば…でもまだ序盤だからよ、きっと」

コウヘイ「おっとまた隠し扉発見」
一行は宝箱を見つけた。
コウヘイ「開けるぞ…」
「乙女のリボン」を手に入れた!
ナガモリ「ナナセさんよかったね〜」
ナナセ「あれ…?このリボンどっかで見た覚えが…」
コウヘイ(俺もそんな気がするが黙っていたほうがいい気がする)
コウヘイ(…なんでだろ?)
アカネ「…進みましょう」

その頃、地上にある工房「3M」では。
はじめてのお客さんを迎えていた。

男A 「我々はスミイ商会のものだ」
男B 「ある時はスミイ武具店の店員」
男C 「またある時はスミイネットワーク諜報員」
男D 「さらにある時は雑魚戦闘員」
男E 「しかしてその実態は…」
ミサキ 「低賃金労働者」
男A 「…なぜわかる」
ミオ 『ご苦労さんなの』
男B 「うっ、こんな役嫌だったのに…」
男C 「くそっスミイの野郎CGがあるのをいいことに俺達をこき使いやがって…」
男D 「…とにかく、大至急作ってもらいたい品がある」
ミオ 『初仕事頑張るの』
マユ 「みゅ〜♪」
男E 「それは…」

第4章 迷宮地下5F

戦闘は続いていた。

……
……
敵は全滅した!
……
コウヘイはナナセから1000の経験値を盗んだ!

コウヘイはレベルアップした!
ナガモリはレベルアップした!
アカネはレベルアップした!
ナナセはレベルダウンした!

ナナセ 「はぁはぁ…さすがに5Fともなると敵もやるわね」
ナガモリ 「そう?変わらないような気がするよ」
アカネは索敵の呪文を唱えている。
コウヘイ(すまん、ナナセ)
コウヘイ(おまえのレベルが1になったらやめるから…)
外道…。

宝箱がある。
「ネコぐるみ」を発見した!
ナガモリ 「かわいいね〜これ」
コウヘイ 「そうか?」
ナナセは猫と乙女の定番率を計算している。
アカネ 「…ところでこれどう使うんです?」
コウヘイ 「…着るしかないだろう」
ナガモリが突然コウヘイに襲いかかった!
「ネコぐるみ」を使った!
ナガモリ 「かわいいよ〜」
コウヘイはケットシーにクラスチェンジした!
コウヘイ (服のせいか普段じゃ考えないようなことを考えてしまうな…)
コウヘイ 「ナガモリはきれいだな…」
ナガモリ (ポッ)
手を取り合って走り出す2人。いや2匹だ。
ナナセ 「ちょっと!どうして背景CGまでピンク色になるのよ!」
らぶらぶイベントだからじゃ。
ナナセ 「それは乙女の特権なのよ!」
アカネ 「…」
無言で成り行きを見守っていたアカネが後ろから手を伸ばした。
そのまま「ネコぐるみ」を剥ぎ取る。
アカネ 「…これわたしが持ちます」
ナガモリはかなり残念そうだ。

アカネ「…作者の妄想イベントです」
その通りだ。

その頃地上では…
工房「3M」が大繁盛していた。
どういうわけか知らないが。
スミイ商会の低賃金労働者がひっきりなしにやってきては注文していく。
ミオ 『商売繁盛なの』
ミサキ 「今日のお昼はごちそうにしようよ」
マユ 「みゅ〜♪みゅ〜♪」

第5章 迷宮地下7F

ナナセ達は頑張って進んでいた。
数え切れないトラップを外し(コウヘイ)
数え切れないドアを破壊しながら…(ナナセ)
欲とはげに恐ろしきものなり。

宝箱がある。
「『主』のぬいぐるみ」を発見した!
コウヘイ 「ピ○チュー?」
ナナセ 「ハムスター…かな」
ナガモリはネコ以外の動物にはそれほど興味を持たないようだ。
アカネ 「…これ欲しいです」
奇異の視線が集まる。
だが超強力な魔法の結界が張られておりアカネでも破ることはできなかった。
突然頭の中に声が響いた!
謎の声 「我に50万Gを捧げよ!」
思わず顔を見合わせるナナセ達。
アカネ 「…『主』のお言葉です」
コウヘイ 「もしかして…払う気か?」
当然、といった目でアカネがコウヘイを見る。
ナガモリ 「今日手に入れたゴールド使い果たしちゃうよ?」
アカネ 「…」
どうやらチャーム(魅了)されているらしい。
コウヘイ 「悪徳商法だ!公正取引委員会に訴えてやる」
公取委も迷惑だろう。
有り金全部かき集めるハメになった。
ゴールドをぬいぐるみの前に置くと再び声が響いた。
『主』 「アカネ、我が分身汝とともにあらん」

『主』のぬいぐるみがパーティーに加わった!
アカネの背負う魔法のナップサックの中に…

一方地上では…

マユ 「みゅ〜♪」
テリヤキバーガー片手に上機嫌のマユ。
そのマユの号令の下、100匹近いモンスターが働いている。
みゅ〜58号(ウェアベア)達が斧を振り上げて木を切る。
みゅ〜14号(コボルト)達が枝をおとす。
みゅ〜75号(ドラゴン)達が丸太を運搬する。
強いぞ。強すぎるぞ。マユ…

工房「3M」内。
ミサキを中心に、数十名がドアやトラップの作成にいそしんでいる。
ミサキ 「雪ちゃん、次のトラップの設計図」
ミユキ 「どうしてわたしが…ブツブツ」
シイコ 「主役の座狙ってたのに〜」
ヒロセ 「わたしは女王様よ!」
数人の黒服も混ざっている。
どうやらデューダ(転職)したらしい…

ミオは会計で大忙しだ。
ミオ 『描写が手抜きなの』
許せ、ミオ。ストーリーが長くなりすぎたのだ。

第6章 迷宮地下9階

ナナセ 「次でいよいよ最下層よ」
コウヘイ 「なぜわかるんだ?」
ナナセ 「『乙女のグッズ』は全部で10個あるのよ」
ナガモリ「そういえばいままで一つの階につき一個づつみつかったよ」
乙女のリボン、乙女のソックス、乙女のTシャツ、乙女のブル○…
当然ながら毎回発見者のコウヘイは匂いを嗅いでみたりする。
コウヘイ 「おれはそこまで変態じゃない!」
だが外道だ。

「乙女のスカート」を手に入れた!
ナナセ 「なんか、すっごく見覚えのあるスカートなんだけど」
コウヘイ (なんか、すごく悪い予感がしてきたぞ…)
コウヘイ 「みんな、一つ聞いてほしいことがある」
ナナセ 「なに?」
コウヘイ 「毒消しがもう残り少ない」
アカネ 「…たしかにそうです」
ナガモリ 「毒ガストラップとか結構あったもんね」
コウヘイ 「マスクをしていこう」
ナナセ 「少しはマシかもね」
ナガモリ 「コウヘイ頭いいね〜」
4人は顔の下半分をマスクで隠した。

第七章 迷宮地下10階、そして…

ついに、迷宮最下層に到達したナナセ達。
そして、ついに…

「乙女の制服」を手に入れた!
ナナセ 「これって…」
ナナセ 「どこかで見たことがあると思ったら全部あたしのじゃない!」
ナナセ 「一ヶ月前に無くしたものがどうして宝箱から見つかるのよ!」

コウヘイは考えている。
どうして自分が盗みスミイ商会に売っ払った物がここにあるのかを。
そして一つの結論にだどり着いた。
コウヘイ (そうか、ここは…)
ナナセも一つの結論にたどり着いたらしい。
「会長のお・部・屋」と書かれた豪華なドアの前に立っている。
ナナセ 「ここね、盗賊の首領の部屋は」
たぶん、それは違うぞ。
ナナセ 「七瀬流剣殺法秘奥義『連掌打』!」
突っ張りのどこが剣殺法の秘奥義なのだ。
ナナセ 「うるさいわね!こないだ剣を誰かに盗まれたのよ!」
コウヘイ…おまえって奴は…

粉々になった扉の向こう側から人影が現れた。
ナナセ 「盗賊、覚悟!」
突進するナナセ。だが…
声 「盗人はそっちだろうが!」
聞き覚えのある声に立ち止まるナナセ。
それは…スミイ商会会長、スミイその人であった。
スミイ 「スミイ商会宝物庫を荒らし放題荒らしやがって…」
ナナセ 「宝物庫…?」
スミイ 「許さん!」

コウヘイ 「まずい!とにかく一旦撤退するぞ!」
コウヘイ 「アカネ!テレポートだ!」
アカネ 「(呪文詠唱中)…無理です」
コウヘイ 「何?」
アカネ 「このダンジョンはテレポート禁止みたいです」
コウヘイ 「くっ…」

ナナセ (なんか…雲行きが変ね…逃げた方がよさそう…)
スミイ 「狼藉者だ!出会え!出会え!」
スミイ 「先生、お願いします!」
おおらかそうな髭の剣士まで現れた。
髭 「あ〜盗みはいかんな、盗みは」
ナナセ (間違ってる…どっか間違ってる…)

コウヘイ 「仕方がない!とにかく走って脱出するぞ」
アカネは「ネコぐるみ」を取り出した。
アカネ 「コウヘイ…こっち見ないでください…」
恥ずかしそうなアカネ。
ローブの下は下着だけらしい。
透き通るような白い肌…金色の産毛におおわれたうなじ…
サービスシーンなのじゃ。
アカネはケットシーにクラスチェンジした!
コウヘイ 「ナナセ!しんがりは任せたぞ!」
ナナセ 「えっ…」
走り出すコウヘイ、ナガモリ、アカネ。
専門技能を持つだけに速い速い。
ナナセ 「ま…待ちなさいよー!」

8階と7階を結ぶ階段。
その7階からの降り口付近。
ここでナナセは戦っていた。
囲まれないならば黒服程度なんでもない。
だが、下方から髭が近づいてきた。
ナナセ 「あいつ…できる…このままじゃまずいかも…」
髭 「ふーむ。とりあえず斬っておくか…」
あの、ちょっと先生。
ナナセ 「くっ…これだけは使いたくなかったけど…」
ナナセ 「七瀬流剣殺法最終奥義!『HANA−BI』」
一瞬警戒する髭たち。
後方に跳ぶナナセ。
ナナセは手榴弾を階段に投げ込んだ!
あわてて逃げ出す髭たち。
……
あら?不発?
怒った髭たちが再び階段へ殺到してきた!
そこに。
ナナセはもう一発手榴弾を投げ込んだ!
…なかなかよく解っていらっしゃる…

3階まで走って逃げてきたコウヘイ達。
しかし、その行く手を頑丈な扉がはばんだ。
コウヘイ 「くそ!なぜ破壊したはずの扉やトラップが復活しているんだ!」
もとはと言えばおまえの計画だろ。
ナガモリとアカネはお互いが珍しいらしく遊んでいる。ニャンニャン。
後方からは、黒服達の大群。
スミイの声が響いた。
スミイ 「盗賊ども!おまえ達は完全に包囲されている!」
スミイ 「この損害は…へっへっへ…体で払ってもらおうか」
この男には3流悪役がよく似合う。
ナガモリ 「フーッ!フーッ!」
威嚇しているらしいがあまり効果はない。
アカネは天井を眺めている。
コウヘイ 「まずい…まずいぞ…」
そのとき。
遠くから爆発音。さらに不気味な振動が伝わってきた。
黒服 「大変です!8階、6階、5階が完全に破壊されたようです!」
スミイ 「なにぃぃぃ!」
黒服 「このままではここは完全に崩壊します!」
スミイ 「バカな…俺の…俺の…世界制服の野望がぁぁぁ!」
世界制服か…選んだ制服が悪かったな、スミイ。
コウヘイ 「助かっ…てねえ!」
振り向いて見れば。
アカネとナガモリがひしと抱き合っている。
コウヘイ (俺も混ぜてくれ…)
口にださなかった事だけはほめてあげよう。

突然アカネの背負ったナップサックから光り輝く物体が飛び出した!
『主』のぬいぐるみである。
『主』 「…汝等の献身に報いる時がきた」
光のバリヤーがアカネ、そしてナガモリを包みこむ。
そして。そのまま上昇していった。
ナナセ 「わたしはどうなるのよ!」
コウヘイ 「へるぷみぃぃぃ!」
スミイ 「世界制服ぅぅぅ!」
『主』 「…定員オーバーじゃ。許せ」
……
……

工房「3M」。
ミサキ 「なんだかダンジョンの方が騒がしいね」
ミオ 『騒がしいの』
ミサキ 「そろそろ引き上げ時かな?」
ミオ 『引き上げ時なの』
マユ 「みゅ〜♪」
こうして工房「3M」は。
創業以来の短い歴史に幕を下ろした。
ミサキ 「これで3ヶ月は食費の心配しなくてすむよ」

第8章 エピローグ

酒場「11番目の猫」亭の2階。
ダンジョンから命からがら脱出してきた2人が言い争っていた。
ナナセ 「コウヘイ!ネタは挙がってるのよ!」
コウヘイ 「落ち着け、ナナセ。一体なんのことだ」
ナナセ 「とぼけないで。スミイから聞いたのよ!」
コウヘイ (あいつ…止めをさしとくんだった)
ナナセ 「あんたがわたしの制服一式をスミイに売りつけたんですって!?」
コウヘイ 「落ち着け、ナナセ」
ナナセ 「殺す…」
コウヘイ 「俺の言うことを聞かないと絶対後悔するぞ」
ナナセ 「辞世の句ぐらい詠ませてあげるわ」
コウヘイ 「お前の服を売ったことは謝る」
ナナセ 「そ。じゃ覚悟はいいわね」
コウヘイ 「だが!お前の制服が『乙女の制服』として保管されていた事実をよく考えろ!」
ナナセ 「え…?」
コウヘイ 「つまりだ。お前は伝説の乙女として認められたんだよ」
ナナセ 「伝説の…乙女?わたしが?」
コウヘイ 「そうだ」
……
……
ナナセは幸せだったという。
「あのときコウヘイがわたしを乙女にしてくれたんだね」

Happy End

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何回かにわけるべきだったかな?
以下感想コーナー

>雫さん
おおいに笑わせてもらいました。
このSSも多分に影響受けてます。
彼には外道がよく似合う。

>よもすえさん
…感想の述べようがないほどイッてますね。
主人公はだれなんだろう…

>だよだよ星人さま
ということは茜のうなじが…(縛)
さすがに茜の髪の毛にはいたずらできませんね。

>静村幸さま
長森のみじゅぎ…
色っぽいのかそうでないのか…
ほのぼの。

>天の月さま
超音波か…どこから出しているんでしょうか。
出力を上げれば不可視の力っすね。

>しーどりーふさま
留美ぱんまんの顔、想像できません。(泣)
大快球が…頭の中を飛び回ってる…

他の方、どうもごめんなさい。
長くなりすぎました。