争奪戦(5) 投稿者: SOMO
第五話「これがほんとの争奪戦」





南は独り立っていた。
「ふふ」
『封印されし鉄の扉』と聞いてすぐに思い付いた。ここしかない。そしてその扉は今時分の目の前のある。
そして……

知っていた

その扉が

意志の力で開くことを

「…………」
音もなく扉が開いた。南はゆっくりと中に入る。

「おや?よく入ってこれたね」
南は目を疑った。目の前には自分とあまり年も変わりそうにない少年がいるだけだ。
(違ったか?)
一瞬そんな考えが頭の隅を過ぎる
「あれ?もしかして用事がないのかい」
「あ、あの〜。ホレ薬は……」
恐る恐る尋ねる南。だがなぜか緊張してて言葉が出てこない。
「ああ。これかい?」
少年は別に気にした風でもなく、どこからか試験管を取り出した。中には薄いピンクの液体が入っている。
「く、くれ!」
すると少年は今まで笑っていた顔を急に真面目にして
「あげるよ。君がほしいならね。でも一つ聞いておきたい。……どうしてホレ薬を求めるんだい?」
「あ、茜さんとラブラブになりたいからだ!!」
自分でも声が大きくなっているのがわかる。だが少年は軽く首を振り
「わからない。どうしてそんなことにホレ薬が必要なのか……」
「…………」
「まあいいけどね。ハイ」
南は複雑な表情でそれを受け取る。
「もうここに用はないんだろ」
「あ、ああ。ありがと」
南は身を翻す様に駆け出していった。



南は何だかんだいって嬉しかった。
これで茜さんとラブラブだ。苦節一年とンヶ月遂に報われるときが来たのだ。ホレ薬は確かに邪道かもしれない。しかし俺にはこの方法しかなかったのだ。そうだ!そうに決まっている!!……悲しいが。
…………お父さん。お母さん。明義は堕ちるとこまで堕ちました。けど心配なさらないで下さい。きっと僕もお父さんになってみせます!
「く、くふふふふ」(妄想モードON)

『里村さん。どうしました。顔が赤いですよ』

『っ!』

『どうしたんですか里村さん?』

『…茜です』

『は?』

『茜です』

『あ、茜さん?』

『…………』

『あ、あ、茜?』

コクン

『い、い、い、一体……』

『それは……』

「南!」
突如現実に引き戻された。くそっ!今からが見せ場だったのに……。しかしその妄想が現実になるのも遠くはない。輝く季節がすぐそこに……
「南!!!」
南は走るのを止め声のした方向を向く。
「住井か。悪いな。今急いでるから……」
「動かんほうがいいぞ」
南は忠告を聞かずに足を踏み出す。
「痛っ!」
踏み出した足に激痛が走る。
「おとなしくホレ薬を渡しなさい」
広瀬だ!
南は慌てて足元を見渡す。足元には画鋲が散らばっている。しかもすべてが針を上に向けていた。
「い、いつのまにこんな事を……」
「さあ。おとなしくホレ薬を渡しなさい」
「今ならまだ楽だぞ」
くそっ。どうしたら……
「あっ!」
気がつくと手からホレ薬がなくなっていた。
「……馬鹿だな。あいつ」
「すり足で動けばよかったのに……」
俺は遠くで声を聞いたような気がした……。
「くっそぉぉぉーーーーーーー!!!!」
俺は再び走り出した。



「お、追ってきてるぞ」
「しぶといわね〜。リタイアしたやつはどうでもいいのよ」
広瀬が画鋲をばらまく。
…………
なんか遠くで声が聞こえたが良しとしよう。って、あれ?
「痛っ!!」
何と俺の足元にも画鋲があった。
「広瀬!裏切ったな!!」
「裏切ってないわよ?元々仲間じゃないしね」
と、広瀬は軽く笑うと廊下を更に進んでいった。
「哀れだな。怒る気もせん」
俺のすぐ横を南が走りぬけっていった。
「くっ」
俺も少し遅れて走り出す。



「俺は生まれてくる前からてめえが気に食わなかったんだよ!!」
中崎が鋭い蹴りを放つ。
一歩後ろに下がりかわす南森。そして
「ほざけ!前世の恨みをここではらしてやる」
踏み込みつつ反撃に入る。

…が

「そいつを捕まえろー!」
二人がそちらを向くと広瀬がこちらに向かって走ってきていた。更にその後ろに影二つ。
「「おお!」」
二人の声がはもる。
広瀬が試験管を持っていたのだ。
((あれはホレ薬に違いない。そして現在の所持者は俺の七瀬さんの敵、広瀬!))
「「うりゃ!!」」
「あぐっ!!!」
見事にダブルラリアットが広瀬の首に入る。相手が走っていたので効果は倍増だ。
「「む?」」
どうやら今お互いの存在を思い出したようだ。
「中崎」
「南森」
「「今は一時休戦だ」」
二人はガシッっと腕を組むと廊下の先へと走っていった。



「ふっ」
「あまい!」
今や二人のコンビは最強だった。
永遠のライバル同士が手を組んだのだ。その強さは押して知るべしである。
ホレ薬をまるでラクビーボールのようにパスしては手の空いたほうが敵を倒していく。
「二時方向に七瀬さん発見!」
「よし!急速旋回だ!」
タッタッタ
「な、七瀬さん」
「これを……」
「ありがと」
ドスッ!ドスッ!
七瀬の鉄拳が二人のみぞおちに入る。
「あ、……ああ」
「ぐっ、…なんで」
二人はその場にうずくまった。そして廊下を走り出す足音と、
「七瀬さんのどこがいいんだ?」
「ま、すなおにあきらめろ」
「あなた達じゃ無理よね〜」
哀れみの声(?)を聞いた。




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SOMO「ふう」
七瀬「どうしたの?」
SO「疲れた」
七「はあ?」
SO「原因は聞くな」
七「なに?」
SO「疲れた。感想いくぞ」
七「う、うん」


雀バル雀さん
>一発劇場!10
SO「七瀬一体何者?髭を脅せるとはただ者ではあるまい。髭のおびえ方がとてもよかったですよ。七瀬って実は恥ずかしがり屋だったんですね」
七「白蟻ですか〜。彼らはプチプチと潰すのが楽しいです」
>ヒロイン 1話
SO「これがお話に聞いていた。ポニ子SSですね。すっごい、いい意味で期待を裏切ってくれましたよ。なんかものすごく悲しくなるお話です。ぐう。これがほんとの言葉に表せられない気持ちなのか〜って感じなのです。」
七「みさき先輩はいつでもいい感じですね。ケムマキって言ったら『忍者ハッ●リくん』しか思い出せません」
>ヒロイン 2話
SO「ポニ子がなげやりだ〜。こうなったらSOMOにできることは応援することぐらいだ〜。立ち直ってくれ〜ポニ子。ケムマキがんばれ〜。」
七「すいません。本当に言葉では表せないんです」
>ヒロイン 3話
SO「心が…痛いの。……ONEの流れに忠実なんですね。いや、シンデレラの話とかは凄くいい喩だと思います。広瀬が明るくっていい感じです(^^)」
七「この作品全体から漂ってくる悲しさみたいなのをどう喩えればいいんですかね」
>ヒロイン 4話
SO「冒頭の部分は…あれ?……ポニ子が浩平を好きになった理由には納得。個人的にケムマキにはがんばってほしい。お前も唯の脇役で終わるには惜しい役だぞ。」
七「この作品はONEの浩平が消えた後のヒロインの一人称に似ているんではないでしょうか?そこから出てくる悲しさや強さが………そんな感じがしました。」

シンさん
>いん・じ・えたぁなる・わぁるど 第二章〜望みの叶う場所〜
SO「おお!望みの叶う場所ですか〜。浩平が誰を呼び出すかわかりませんが、段々とエスカレートしていきそうですね」
七「ダンクーガ。十ン話で初めて合体して、全話通してたったのン回しか合体しなかったという伝説があります」
SO「記憶が定かではありませんが、ンの中には五か六が入ったと思います」
>追想
SO「実際に聞いてみましたが、とてもあってましたよ。試作段階でもこれは凄い出来ですよ。メロディーにとてもあってました。」
七「『とても大事な人』のほうがいいかな?」
>いん・じ・えたぁなる・わぁるど 第三章 〜あっちとこっちのWパニック〜
SO「七瀬登場ですね。でもなんで瑞佳だけが憶えてるんだろう?せっかくライバルが登場したんですからもう少し続けてほしいな」
七「え〜と。ペルソナとFFTかな?」

本間ゆーじさん
>これもまた日常…になる?(予告編…だね)
SO「おお!これはみたい。見てみたいです。続き希望に+1」
七「ゲテモノって一体……」
>例えばこんな1日があったら(1)
SO「なにが原因でこうなったんだ?う〜ん。見当もつきません。住井が真面目なのには驚いたぞ。でもでも、浩平も早く起きたんだし、知らず知らずのうちに自分もどうかなってるかも」
七「『茜ちゃんの今日の天気予報』が見たい」
>例えばこんな1日があったら(終)
SO「こんな一日は嫌ですね〜。夢でよかったよほんとに。澪。おまえ変わりすぎだぞ。」
七「う〜ん。繭とかも出してほしかったかな」

から丸さん
>幻想猫の魔法 第八話 「コークハイ」<後編>
SO「うおおおおおおーーーーーー!!!!!!詩子ぉーーーーー!!!!!」
七「ああ!詩子病が!!」
注:詩子病……幻想猫の魔法を読むとSOMOがかかる病気。その威力は凄まじく、かかると詩子がとてもいとおしくなってしまう(^^)。
<三十分後>
SO「はあ。はあ。……宴会がとても面白かったです。南がいてもいなくてもいいような存在だったのがかわいそうですな。浩平と瑞佳も影で仲良くなってるし。そして気になるのが思い出の猫。次回が楽しみです。」

犬二号さん
>突発SS・月とネコキャット団
SO「あはは。ニャーゴか。これはまた奇抜ですね。ん〜。精錬が面白い!猫まみれとは。かわいそうでありますよ。リョウスケのとまどったセリフがまた面白かった。ん?そうだ。七瀬。お前もニャーゴに……」
ゲシッ!
七「誰がいくか!……コホン。<A棟巡回員の怠惰なる日常・4>は面白かったですよ。まあそんなに暴走なさらずに……。暴走は怖いですよ。このSOMOなんか後一回暴走したらロスト体として処分されるでしょう。続き読みたいな」

ひささん
>終わらない休日 第12話
SO「おお!音子ですか。こりゃさすがにネコと呼びたくなりますよ。……浩平のふっきれ方が非常によかったです。そうですね〜。なんかちっちゃな幸せを見つけたようでした」
七「毎度毎度素晴らしいあらすじの書き方ですね」

ゾロGL91さん
>Juvenile K-6-
SO「ASRは澪を、ひとつの組織は浩平を狙っているんですね。個人的には七瀬の普通の生活がお気に入り。がんばって料理が上手くなるんだ七瀬。クッキーは焼けたはずだぞ」
七「次回のアクションに期待です」

加龍魔さん
>加龍魔初のリンクSS「ジャム(すずうたside)」
SO「はじめまして〜。鈴うたやってないSOMOには少しわからないとこもありますが、パッヘンベルの方はやってます。う〜ん。タイヤキで広がる友達の輪。美しいですね〜(笑)」
七「続きを待ってます」

YOSHIさん
>V・S・O・A出演者募集!!
SO「ああ!すいません。大変迷惑をかけております」
七「みんながどう出てくるかがドキドキ」

Matsurugiさん
>真夏のONE Phase#4
SO「おお!詩子だったんですか。なんか今回住井も協力的で非常に面白かったです。段々とわかっていく世界観にちょっぴりドキドキです」
七「『ななせなパラレル』もがんばって下さいね」

いけだものさん
>あきらめの悪い女 (前編)
SO「あのワッフルが売り切れ?しかも四日連続?これはもはやアンゴルモアが降臨しても文句は言えない状態ですな(笑)。茜のワッフルにかける心がいいですね」
七「後編での謎の解明にきたいです」

うとんたさん
>ONEQさん 第一話
SO「ONEQ!!……いや〜。面白かったです。ONEQの暴走ぶりがまた凄い。『言葉って場合によって全く意味を成さないものがあるよね』には納得。いいことを聞いたな〜。にしてもサリ●とは…やばいですね」
七「はちゃめちゃなONEQ気に入りました。続き希望です

ここにあるよ?さん
>ONE〜輝く季節へ〜始まり…その15
SO「おお!次は修学旅行ですか。なんか住井と浩平の言動が気になるぞ。一体彼らはどんな修学旅行を楽しむことになるのかな」
七「夏休みの課題はたくさんありますからね〜」




SO「疲れたなあ〜」
七「書きたいことあったのにね」
SO「ああ」
七「はあ〜。次はいつになることやら。次の作品の設定も決められないくせに」
SO「うっ」
七「はあ〜。仕方がない。……せーの」
SO&七『それではーっ』;br>