Everlasting Days 〜終わりなき日常〜 投稿者: Sasho
<第5回・教室での出来事(浩平視点)>

オレが教室にはいると先に来ているもの同士で談笑が繰り広げられていた。
「………………」
仕方がないので、比較的空いている窓側の後ろの方の席に座り、外を眺める。
(今日は、いい天気だな………)
雲が少しあるものの、春独特の心地よい日差しが気持ちいい。
ふと、校庭に目をやると、桜の木が目にはいる。
桜の木は校庭の東側に大量に植えられていて、風に吹かれて花びらが舞っている。
8分咲きだろうか。花見をするにはちょうど良い咲き加減だ。
しばらく横目で眺めていると、だんだんと眠気が増してくる。
(やわらかな日差しが心地良いな………)
そんなことを考えながら、オレはゆっくりと無意識の中へ落下していった。

オレが眠ってからどれくらい経っただろうか………
誰かが体を揺すってくる。
「ねぇ、起きてよ、浩平」
どうやら、オレを起こそうとしているらしい。
(………誰だ? オレを起こそうとしているのは?)
しかし、その振動さえも心地よく感じられ、再び眠ってしまう。
そいつはオレを起こそうと、体を揺すっているが、
いつまでも起きないオレにいらだってきたのか、思いっきりオレを引っ張る。
(うぉっ、ちょっ、ちょっと待て………)
その瞬間、オレはバランスを崩し、机から落ちてしまう。
その背後から「あぁ〜〜」という、声が聞こえてくる。

オレがようやく意識を取り戻し、周りを見ると長森と住井がいた。
どうやら、先ほどオレを揺すって起こそうとしていたのは長森らしい。
「………おい、長森、何て事をするんだ」
ちょっと恨ましげに長森に言ってやる。
「わっ、私は悪くないもん。浩平がなかなか起きないから………それで」
「それは、起こすためなら手段を選ばないと言うことだな?」
ちょっと意地悪してみる。
いつもなら、ここで長森がムキになって反論してくるところだが、
今日は少し違っていた。
いつまでも続けそうなこの会話に住井が終止符を打つ。
「おい、折原、そこら辺にしておけ」
そう声をかけてくる住井の顔を見ると額が赤くなっている。
どうやら、落書きを落とすときに擦りすぎたらしい。
「ああ、そうだな。 オレもこんな不毛な会話をこれ以上続ける気はさらさらないんだ。
それよりも……よく、気づいたな」
そう言い、オレは住井の額を指さしてやる。
「ああ、これか? これはな、長森さんが教えてくれたんだ」
住井の笑顔を見ていると、何だか罪悪感にさいなまれる。
「………怒ってないのか?」
「これのことか? ああ、オレは何とも思っていないよ。
イベントで眠った者はなにされても文句は言えないという暗黙の了解があるじゃないか」
そう言って笑って許してくれる住井はいい奴だと思った。

「ところでだ、折原」
ふと、口調を改めて住井が話しかけてくる。
「何だ?」
「この後のことだが、どうする」
「ああ、お前のおごりでどこかに遊びに行くというやつか」
「ああ。 とりあえず、カラオケかボーリングにしようと思うんだが………」
「それなら、わたし、カラオケがいいな」
(カラオケか……、結構いいかもしれないな。
でも、長森は何を歌うんだ? まさか、中学の時みたいに童謡を歌ったりはしないだろうけど……)
オレが、考え込んでいると後ろから陽気な声で話しかけてくるやつがいる。
「何をそんなに楽しそうに話し込んでいるのかな〜〜〜?」
その声に反応して振り返ると、そこには一人の女生徒が立っていた。
「………誰だ?」
そうオレが聞くと、その女生徒は決めポーズ(?)をして、自己紹介をする。
「わたしは『柚木 詩子』よろしくね!」
ふと、その柚木とかいうやつを見ると何故か他校の学校の制服を着ている。
「お前、どこの学校の生徒だ? ここの学校じゃないだろう?」
オレが質問するが、柚木は聞いていないようで勝手に話し始める。
「ねえねえ、さっきは何を楽しそうに話していたのかなぁ〜?」
「あの……、それより、自分の学校に戻った方がいいと思うんだけど……」
長森がそう言うと、柚木はそんなこと気にしないといった表情で
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
と言った。
「大丈夫なわけがないだろう。すぐに先生につまみ出されるぞ」
とオレが言うと、柚木は世にも恐ろしい発言をする。
「だいじょーぶだって。 さっきも入学式受けてたけど、誰も何も言わなかったもの」
(………何だって?)
オレは再び柚木の格好を見る。
あからさまにうちの学校と違う制服。
それを着ているのにもかかわらず、入学式を受けたこいつの神経と、
他校の生徒がいても何も言わないこの学校を疑った。
(………これは学校選択を間違ったかな………)
これから3年間こんな学校で過ごさなければならないと思うと頭痛がする。
「………それでも、自分の学校に戻った方がいいと思うよ」
「え〜だってこれから私たちで遊びに行くんでしょ?」
「誰も連れていくとは言ってない」
そんなやりとりを大騒ぎでしていると、別の女生徒が話しかけてくる。
「詩子が迷惑かけてすみません………」
声がした方を振り返ると、そこにはかなり長いブロンドの髪の毛が印象的な女の子が立っていた。
その女の子を見るなり、柚木は歓喜をあげその子に話しかける。
「あ〜っ、茜。捜したんだよ」
「詩子、それよりも学校はどうしたのですか?」
「………今日は創立記念日なんだ」
(………柚木、そのいいわけはかなり無理があるぞ………)
「解りましたから、行きますよ」
「はぁ〜い」
「それではみなさん、ご迷惑かけました」
そう言って謎の女生徒は柚木をつれて自分の座っていた席に戻っていく。
あまりの出来事にあっけにとられていると、住井が口を開く。
「あれは何だったんだ………」
残念ながら、それはオレにも解らない。
そこに、長森がいつもの発言をする。
「でも、楽しそうな人だったね。浩平にはそんなタイプの人が向いてるんじゃないかな」
(………またか。新しい女の子が現れる度にこれだしな………)
オレは露骨にげんなりしながら答える。
「またか。これで何十人目だと思うんだ?」
「だって浩平にはしっかりと面倒を見てくれる人がいないと心配だもん」
「大丈夫だ」
「何で?」
「お前が面倒見てくれるからな」
そう、オレがぶっきらぼうに答えると、何を勘違いしたのか長森が顔を真っ赤にし、あわてている。
「えっ、そっ、それって……」
「高校に入ってからもこうして起こしに来てくれるしな。これからもよろしく頼むぞ」
そう言うと何故か長森はうなだれてため息をつく。
「………はぁ」
そこにドアを開け、誰かが教室に入ってくる。
住井入ってきた人物に気付きがオレ達に話しかける。
「おい、担任が来たから、一時解散な」
そう言って近くの椅子に座り込む。
長森も廊下側の席に戻っていった。
そして、退屈な学活がはじまる。

つづく

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どうも、Sashoです。
この連載を初めてそろそろ1ヶ月か経つ頃でしょうか……。
それなのに、これしか進んでいないなんて………。
次回で自己紹介する予定ですが、この分だと1日が終わるまでに3ヶ月くらい
かけないと終わらないような気がする今日この頃です。

まあ、頑張ってこれからも投稿するつもりなので
気長に待っててやってくださいな。

前回の投稿に感想をくださったSS作家様、ありがとうございます。
SSを書く励みになるとともに、悪い点などもご指摘いただけて次の作品を書くときに
参考にしています。

わたしも感想を書こうと思っているのですが、なかなか書く暇がなくて………。
暇ができたら感想を書こうと思っています。

それでは、また。