Everlasting Days 〜終わりなき日常〜 投稿者: Sasho
第4回 入学式・2(瑞佳視点)

「………で、あるからして私が高校生だったときは………」
ここは体育館。
前のステージでは、校長が自分の高校時代の話をしている。
話を始めてからすでに50分経過………。
(………早く終わらないかな………)
校長先生のの退屈な話を聞くのに疲れてきてついそんなことを考えてしまう。
そんな私の願いを聞き入れてくれたのか、校長先生の話がやっと終わる。
「………と、いうわけでこれから3年間、充実した高校生活をできるよう頑張ってください。
これで、私の話は終わりです」
(はぁっ………やっと終わったよ………)
そして、校長先生は一度はステージから降りようとしたが再び演説台の前に戻り
「これは余談ですが………」
とまた話し始める。
(………………)
今朝のことと、今の精神的疲労が重なって何も考えられなかった。
ふと、隣を見ると熟睡というか、むしろ爆睡している浩平と住井君がいた。
(………浩平たちは気楽でいいな………。 私も眠っちゃおっかな………。)
そして、浩平の寝顔を見る。
普段よりあどけない顔で寝ている浩平に思わず見入ってしまう。
その時突然、浩平が叫び出す。
「おわぁっ。ここはどこなんだぁ!?」
そして、座っていた椅子を後ろの方へ倒してしまうほど勢いよく立ち上がる。
響きわたる声。
そののちの、静寂。
(………また寝ぼけてるのね………)
(どうやら、私が期待していた平穏な高校生活は所詮叶わぬ夢だったのね…)
ようやく自分が置かれている状況を理解したのか、浩平は椅子を元に戻し座り直している。
それを横目で見ながらため息をつく。
「はぁ……」
私のため息に気づいて浩平が声をかけてくる。
「ため息の数だけ幸せが逃げるぞ、長森」
(………私の気も知らないで………)
そう思い再びため息をつく。
「これじゃ、これからの高校生活が思いやられるよ」
「何を言うか、オレのおかげで中学生活は毎日がハラハラドキドキの刺激のある生活だっただろう」
(……確かに中学生活は毎日ハラハラドキドキさせられたよ………)
ふと、中学の頃の事を思い出す。
いつも浩平に振り回されていたような気がする。
そんな生活が高校生になっても続くのかと思うと、思わず頭が痛くなる。
「……………ある意味で刺激のある生活だったよ………」
そう言ってやると浩平は何かを考え始める。
(何考えてるのかな………。 どうせまた、ろくでもないことだろうけど……)
そう思い、ステージを見ると今度は別の人が熱演している。
大方、PTA会長か何かだろう。
「まったく近頃の若い者は………」
「私が君たちくらいの年の頃は………」
など、半ば説教に近い形で長々と話している。
さっきからの話にだるくなりながら聞いていると、浩平のいるはずの隣から「キュッ、キュッ」という音が聞こえてくる。
何かと思い、浩平の方を見てみると、住井君の顔に落書きをしていた。
「あーーーっ、浩平、何やってるんだよ」
「うるさいぞ、長森。今は入学式の最中だ、もう少し静かにしろ」
「住井君の顔に落書きしちゃって、しかもそれ油性マジックペンじゃない」
「………聞いてないな、人の話」
「ちょっと住井君、起きて」
そう言って住井君の体を揺すって起こしてやる。
「ん、何? 長森さん、だっけ?」
「あのね、とても言いにくいことなんだけど………」
(………今言っても、ここじゃ落書きを落とせないし…どうしよう)
私が解決策を考えていると、浩平がとんでもないことを言った。
「実はな住井、長森がお前に一目惚れしたそうだ」
「えーーーーーっ、何て事言うんだよ、浩平」
「何っ、本当なのか? 折原!」
突然の浩平の発言に思わず声上げてしまう。
そして、思わず浩平の方へ詰め寄ってしまう。
住井君もわたしと同じように浩平に詰め寄っている。
「あっ、うっ、えっと………」
(浩平のことだから、きっと『ああ、本当だぞ』なんて言うな……)
そう考えると自然と顔が強ばってしまう。
そんなわたしの表情に気づいたのか、浩平が途中まで言いかけた言葉を閉ざし、住井君の方を見る。
住井君は住井君で、やはり浩平のことを睨んでいる。
浩平がなにやら考えていると、前方から教師の声が聞こえてくる。
「これにて、入学式を終了する。 なお、新入生は体育館前にクラス分けが掲示されているので
それを見て各クラスに移動すること」
「ふぅ。やっと終わったな」
浩平がそう言った瞬間、突然出口に向かって走り出す。
「あっ、ちょっと浩平〜」
「どういうことだ、折原!」
そう言ったわたしたちの声を無視して浩平は逃げていってしまった。
「……………」
浩平がいなくなった今、住井君と二人でいるのはひどく居心地が悪い。
「あのね、住井君。 浩平の言ったことは全部嘘だから、気にしないでね」
わたしがそう答えると何故か住井君はげんなりして答える。
「そう、なのか……」
「それよりも、住井君。 浩平がね……、住井君が寝てる間に……顔に落書きしてたから早く落とした方がいいよ」
「えっ、マジ?」
「うん。ほら」
そう言って住井君に手鏡を渡してやる。
「………折原〜〜〜」
住井君はわたしに手鏡を返すと、トイレに向かって走り出した。
(……仕方ない。わたしもクラス分け見に行こう)
そう思い、体育館を後にする。

体育館を出て、クラス分けが掲示されている場所に向かった。
結構、時間が経っているせいかもうすでにあまり込んではいなかった。
(………わたしはC組ね……)
自分と同じ中学の人が自分と同じクラスにいるか見ていると、浩平と住井君の名前を見つける。
(浩平とまた、同じクラスなんだ………)
そんなことを思っていると、後ろから住井君が声をかけてくる。
「はぁ……、やっと落ちたよ。 長森さん、何組だった?」
「わたしはC組だよ。 ちなみに、浩平と住井君もC組だよ」
「そっか、同じクラスなんだ。 それじゃ、一緒に教室に行こうよ」
「うん、そうだね」
そして、わたしたちは教室に向かうことにした。

To Be Countinued "Everlasting Days Next Story..."

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どうもSashoです。
第6回目の投稿ですが、どうでしたか?

また、前回投稿した「Everlasting Days 第3回」についての感想を書いてくれたSS作家様、
ありがとうございます。
今回の「Everlating Days 第4回」について感想もお待ちしています。

投稿予定のSS (2)

「close the world, open the next.」

永遠の世界へ行った浩平がどうやって永遠の世界を終わらせたかを描いたSSです。

「そして、輝く季節へ」(仮)

ONEヒロインの浩平がいなくなった後の生活を描いたSSです。

暇がない今日この頃ですが頑張って書いているので楽しみに待っていてください。