超人バロムONE 第二話(前編) 投稿者: TOM
超人バロムONE 第二話 乙女の園へようこそ(前編)
薄暗い空間の中、四つの影が円卓を囲んでいる。紅茶と茶菓子が用意されているがただ単にお茶会をし
ているという様子ではなかった。
「イブクロゲがやられたんだって?」
紅茶を啜りながら上座に座る人物、魔人ミズカは他の三人に問い掛けた。
「うん。さっきの報告によるとバロムONEとかいう奴にやられたんだって」
イブクロゲが着く筈の席にはイブクロゲの遺影と花が飾ってある。
「ま、イブクロゲは開発途中のプロトタイプだったからね。負けてもしょうがなかったんじゃない」
「みゅ〜〜♪」
『それはそうと、どうするの。ミズカ様』
ミズカは暫し考え込む。そして影の一つを見やった。
「私達の計画の邪魔になるようだったら早めに潰しておかないと駄目だよね。オトメルゲ、この件はあ
なたに任せるよ」
「分かった。このオトメルゲに任せておいて・・・って、ぎゃ〜」
「みゅ〜〜♪」
すっくと立ちあがったオトメルゲと呼ばれた影のおさげをもう一つの影が引っ張っている。だが、ミズ
カはそんな事にはお構い無しだ。
「さて、今日の作戦会議はこの位でお開きにしよ」
『じゃあ帰るの』
こうしてミズカ基地の日は暮れていった。

「はっ、はっ!」
鬱蒼と木々が生い茂る中、巨大なコントロールパッドを叩く者が居た。バロムONEである。
彼(彼女ら)は前回の戦いでの自らの不甲斐無さを悔い、レベルアップの為に修行に勤しんでいた。
(ふーっ、やっとパッド叩き百本が終わったよ・・・)
(詩子、次はパッド打ちこみ百本です)
(えーっ、まだやるのぉ)
詩子は少しだれ気味だった。ここ数日、放課後をレベルアップの為に注ぎ込んできたのだから無理も無
い。
(今日はこの辺で止めとかない?レベルも15になったことだし)
(・・・駄目です)
(そこをなんとか・・・)
(これが終わったら今日はアップにしますから・・・)
(分かったわよ。やれば良いんでしょ、やれば)
半ば自棄気味に詩子が叫ぶ。
(・・・全ては彼を倒す為です。頑張りましょう)
(まっちょれよ〜、アホプロフェッサー!)
叫ぶだけ叫ぶと気合を入れて打ちこみを始める。

「九十八・・・九十九・・・百!!終わったぁ!」
打ちこみが終わった瞬間何処からとも無くファンファーレが鳴り響く。
「ぱらぱぱっぱっぱ〜。バロムONEはレベル16になった。バロムコークスクリューを覚えた」
「やかましい!」
着々とレベルアップの道を歩んで行くバロムONEであった。

「あ、茜、おはよ。」
「おはよう御座います、詩子」
普段通りに朝の会話を交わす二人だが微妙に体が震えている。なれない運動を連続で続けてきた為、身
体中筋肉痛になっているのだ。
「やっぱり最後のは止めとけば良かったんじゃない?」
「いえ、多少無理をした方が早く身体が慣れますから・・・」
そう言う茜だったがやはり身体中の筋肉が悲鳴を上げていた。
「茜も辛そうだよ」
「・・・・やはり少しメニューを減らしましょう」
そんな事を話していると浩平と瑞佳が教室に駆け込んできた。
「ふう、ギリギリセーフだったな」
「もうっ、余計な事してるからギリギリになるんじゃない」
「浩平、長森さん、おはよう御座います」
「折原君、長森さん、おはよ」
「よお、茜。ついでにサボり魔も」
「里村さん、柚木さんおはよ」
「誰がサボり魔よ」
詩子が浩平に突っかかっていこうとした所でチャイムが鳴り響く。
「お、チャイムだ。ほらほら、みんな席につけ」
「はぐらかしたわね」
浩平達が各々席に着くと同時に扉が開き髭が入ってきた。が、髭の様子がいつもと違っていた。
髭は何故かピンクの女物の服を着ており、これまた何故か内股で腰をくねらせながら歩いていた。
「はぁい、みなさん席についてぇ」
それどころか岩田光央ばりのオネエ声で喋っている。その様子を見て教室中が完全に凍り付く。
「あら、どうしたの?ホラ、席に着いてってば」
髭は尚もオネエ声でみんなに語り掛ける。流石に髭がやっているとあって、かなりの気持ち悪さを醸し
出している。だが、固まったままで居ても仕方ないので全員席に着くことにした。
「それじゃあ出席を取るわよ」
髭はいつものように出席を取っていく。勿論オネエ声のままだ。
「次は・・・七瀬さん。あら、お休みのようね。七瀬さんは欠席・・・っと」
出席を取り終えると髭は投げキッスをして去っていった。そのおかげで生徒の大多数がダメージを受け
ていた。
「おい、折原。髭の奴どうしたんだ?いきなりオカマみたくなってるなんて」
「さぁ?変なもんでも拾い食いしたんじゃないか・・・って何故ここに居る、住井!?」
「は?何の事だ」
「何の事だって、お前この間化け物に食われたんじゃなかったのか?」
「俺は不死身だ!」
そう言うと住井は親指を立ててニッと笑った。するとキュピーンという音とともに歯が光り輝いた。
「そ、そうなのか・・・」
浩平はそんな住井の行動にやや圧倒されていた。
そのころ、茜と詩子は・・・。
「今のって髭先生だよね」
「ええ、ですが様子が変・・・と言うよりも普通じゃ有りません」
「もしかして例の怪人の仕業かな」
「だとすると、もうそろそろ奴が・・・」
と、茜が言ったところで頭の中にいい加減聞きなれた声が響いてくる。
「その通り。またもやミズカの放った怪人の仕業だ」
「プロフェッサー・・・」
「と言うわけで今回の君達の使命は学園の平和を乱す怪人を見つけ出し倒す事だ。例え、君達が命を落
とす事になっても当局は一切関知しないので覚えておくように」
「んな、無茶苦茶な・・・」
「尚、このメッセージは自動的に消滅する・・・ボンッ!」
二人はやれやれといった表情で顔を合わせた。
「茜、どうしようか?」
「やるしか無いでしょう・・・。とりあえず放課の時間を利用して学校内を探ってみましょう」
そうこう話しているうちに一時間目のチャイムが鳴り響いた。

―― 一時間目終了
「さて、何処から探しましょうか?」
「てきとーに歩いてたら怪人に出くわしたりしてね」
「とりあえず職員室から行ってみましょう」
二人が職員室を覗いてみるとそこに居た男性教師の殆どがオカマになっていた。
「どうやらほぼ全員が被害を受けているようですね・・・」
「とりあえずここには何も無さそうだね」
「では、一年生のフロアに行ってみましょう」
職員室を離れ、一年生の教室が並ぶ棟に差しかかる。すると廊下の先から悲鳴が聞こえてきた。
「詩子、急ぎましょう」
「うん」
悲鳴の元に駆けつけると教室から生徒が逃げ出してきた。
「た、助け・・・うあぁっ!」
一人の男子生徒が扉から出てきた瞬間、背後から光線が照射される。そして光線が消えるとその生徒は
女子の制服を着ていた。
「きゃーきゃー」
「な、なんなの、これ!?」
「・・・どうやら髭先生と同じ様です」
「と言うことはこの中に怪人が・・・」
二人は意を決して教室に飛び込んだ。すると教壇の上に一人の少女が立っていた。
「あ、あなたは・・・七瀬さん?」
茜達が教壇上の人物に驚いていると騒ぎを聞きつけた浩平と住井が教室に駆け込んできた。
「茜、お前達も来てたのか。ん?七瀬も居たのか」
「私は七瀬留美なんかじゃないわよ」
確かに教壇の上に立っているその人物の顔は七瀬であったがフリルだらけの服を着てピンク色の竹刀を
握っている。端から見れば只のコスプレ姉ちゃんだ。
「何だその格好は。魔法少女のつもりか?」
「だから違うって言ってるでしょ。私はオトメルゲ。ミズカ様が下僕、オトメルゲよっ!」
「オ、オトメルゲ!?」
「ちょうど良いわ。あんた達も私達の計画の為に乙女にしてあげるわ!」
オトメルゲは浩平達に竹刀を向ける。すると、住井がオトメルゲの前に立ちはだかった。
「ふっふっふ、怪人が出たとあらば俺が出るしかなかろう。漢(おとこ)住井の正義の鉄拳、受けてみ
よっ!」
住井はファイティングポーズを取るとオトメルゲに突っ込んで行った。
「こ、この展開は!?」
「まさか・・・」
「食らえ、空手パン・・・」
「邪魔よっ」
突っ込んできた住井に向かってオトメルゲが竹刀を横一文字に叩きつける。
「ぶべらっ!」
顔に竹刀の直撃を食らった住井は三回転半して壁に叩きつけられた。
「前回と同じです・・・」
「よ、弱い」
「ワ、ワイがアホやってん・・・」
そう言い残し住井の腕ががくりと落ちる。
「住井ーーー!」
浩平が駆け寄るが住井は既に「燃え尽きたよ、真っ白にな・・・」状態になっていた。
「これで邪魔者は居なくなったわ。さぁ、今度はあなたの番よ」
オトメルゲが浩平にジリジリと迫ってくる。
「このままじゃ折原君がオカマになっちゃう」
「それだけはなんとしても食い止めなければ・・・(主に気味悪いから)」
二人は急いで廊下に出る。生徒は殆ど逃げ出したらしく周囲に人影は無かった。
「詩子、変身です」
「うんっ」
「友・・・」
「情」
「合体!(・・・(茜))」
右手を組み合わせた瞬間、辺りに閃光が走り二人の体が渦を巻くように混ざってゆく。
「遠心力で絡みません・・・」
「洗濯機かっ!」

「さぁ乙女の園へいらっしゃい」
更に浩平に迫るオトメルゲ。浩平は逃げ回っていたがとうとう教室の隅に追い詰められてしまった。
「くっここまでか・・・」
浩平は観念し目を瞑る。と、その時、教室のドアを吹き飛ばしバロムONEが飛び込んできた。
突然の出来事にオトメルゲの手が止まる。
「き、貴様は!」
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。超人バロムONE、ここに参上!」

(続く)


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次回予告

浩平のピンチを辛くも救うバロムONE。
だが、オトメルゲの竹刀攻撃はバロムを翻弄する。
バロムの拳が唸る時、王者の風が吹き荒れる。
次回、乙女の園へようこそ(後編)をお楽しみに。

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あとがき

茜「あとがき・・・」
詩子「コーナー♪」
瑞佳「だよ」
七瀬「科白がない・・・」
詩子「久々の投稿で忘れている方や知らない方が多いと思うからちょっとここでバロムONEについて
      説明するね」
茜「バロムONEというのは私と詩子が友情合体する事で生まれる特撮系ヒーローです」
瑞佳「そして私が魔人ミズカとしてバロムと闘っていくんだよね」
七瀬「前回は食いまくり怪人イブクロゲと闘ったのよね」
詩子「そうそう。あの闘いは辛かったわね・・・」
茜「偶然勝てたようなものです・・・」
瑞佳「それはそうとして何でこんなに第二話が遅れたのかな?」
茜「作者に聞いてみましょう・・・」
離れに移動する一同。
茜「ここが作者の部屋です・・・」
詩子「うわ、きったな〜い」
瑞佳「浩平の部屋より酷いね」
七瀬「で、作者は・・・あ・・・」
TV「ワタシハ・・・ワタシハ・・・シゼンカイノチョウテンニタツモノ。ニンゲンヲホロボスモノ。
      ワタシハ”エンペラー”」
作者はDC版のハウスオブザデッド2をやっていた。
七瀬「SS書かずになにをやっとるかっ!(ばきっ)」
詩子「電源切っちゃえ(パチッ)」
TOM「ああっ、折角ノーコンテニューで来たのにぃ」
茜「そんな事をしているから第二話を書くのが遅れるのです」
TOM「だってやってないゲームが溜まってるんだもん・・・」
七瀬「言い訳すなっ」
瑞佳「そんな事してる間にもドンドン書いてかないと次のが書けなくなっちゃうよ」
詩子「確かシリアス巨編をやるんだよね」
TOM「う、うん・・・」
茜「じゃあ早速書きましょう(PC電源ON)」
しぶしぶPCに向き合うTOM。
(5分経過・・・)
PC「ああっ、お客様っ!」
TOMは某メイド調教ゲームをやっている。
七瀬「なにメイド調教ゲームで遊んどるかっ!」
詩子「しかも、女の子の前でHゲームを堂々と・・・」
TOM「だって未だ二回しかやってないんだもん・・・。早く終わらせないと次のが出来ないだろ。
        それに見なきゃいけないビデオが数百時間あるし(無関係)」
瑞佳「はぁっ、バロムONE自体終わらせれるのか心配になってきたよ」
茜「本当です・・・」
詩子「こうなったら私達が監視して書かせるしかないわね」
七瀬「所謂、缶詰状態ってやつね」
TOM「ほほう、と言うことは俺も人気作家の仲間入りか」
七瀬&詩子「んなわけあるかっ!」
茜「自意識過剰です・・・」
瑞佳「ほらっ、バカな事言ってないでキリキリ書くの」
TOM「はうううう・・・」
こうしてTOMの一日は過ぎていったのだった。

(EOF)