NEO UNIVERSE  投稿者:PELSONA



静かな室内に、乾いた音が響いた。

「川名さん?」 と、私の名前を呼ぶ声。

はい、と私が答えると同時に扉は開き、声の主と、もう一人の足音が近づいてきた。

足音は私のすぐ横、ベッドの脇で止まる。

「調子はどうですか?」 ノックとは別の声が私に尋ねる。

「ええ、悪くは無いです」 私は答えて、

「ただ、少しお腹が空いちゃって……」 と、付け足した。

私に体調を聞いた人は、少し笑って、「それは私にはどうしようもないな」

もう一人が「お昼まで後2時間ありますけど、我慢してくださいね」 と言った。

私も、少し笑って返す。

ベッドの中、ノックのときに慌てて隠したチョコレートの銀紙がかさり、と音を立てた。

「明日には目の包帯、取れると思いますから」

その言葉に、私は只、「はい」 とだけ答えた。



病院の廊下と、学校の廊下は何処と無く似ている。

学校の廊下を歩きながら、そう思った。

時刻は早朝。

日の出前のこの時刻、聞こえるのは私の足音だけだ。

素肌に、少し冷たい風が心地よい。

立ち止まり、肺一杯に空気を吸い込む。

その冷たさが、私の中を清めてくれるような気がした。

目を閉じたまま、二度、三度と深呼吸をする。

そして私は目を開き、歩き出した。

頭の中のスクリーンに、学校,と言うなのフィルムを映し出して。

目指すは、屋上。



それまで、只、暗いだけだった目にわずかな光が飛び込んでくる。

学校の、屋上。私のお気に入りの場所だ。

ここにくる間での間に日が昇り始めたらしい。

光を含んだ少し暖かな風が吹いている。

瞼の裏側はわずかに茜色。

『朝や夕方のこの時間をマジックアワー、って言うんだって。言われてみれば魔法みたいだよな』

昔、一緒に夕陽を見ながら浩平君が教えてくれた言葉が脳をよぎった。

「私は朝は弱いから夕陽しか知らないけど…何時か、一緒に見れたら良いね」

微笑みながら返した私に、彼は頭をくしゃくしゃに撫でて答えてくれた。

照れくさかったのかもしれない。

でも、本当に何時かは一緒に見れると思っていたのだ。

彼が消えていなくなった日まで。



夕焼けは、小さい頃から好きだった。

昼と、夜の境界線。

空で燦燦と光り輝く太陽が、紅を内包した光に変わり、沈んでいく様は綺麗だった。

一秒ごとに変わるグラデーション。

それは、怖いほどに儚く、美しかった。

だから、毎日のようにここで見ていたのだ。

光を失う日までは。

今は、どんな感じなのかな。

目を瞑り、考えてみる。

夕焼けと逆の状況を思い浮かべようとしたが、なかなか想像できなかった。

只、夕焼けのときは次第に冷たくなっていく風が暖かくなっていく様だけは肌に伝わってくる。

それだけが、未だ目の見えない私に朝だと言う事を感じさせていた。




NEO UNIVERSE

作詞:hyde
作曲:ken
編曲:L'Arc〜en〜Ciel&Hajime Okano

傾きかけた天秤の上へ
築き上げてく天よりも高く

そんな飛べない無邪気な天使にも
朝は届く鮮やかに

その手を放さないで
目覚めるこの世界を感じて

ひび割れそうでも透明なままで
昨日眠らず待っていたんだね

夢を見ていた奇跡はもう来ないけど
遠い空が導いて

あなたは風のように優しく
鳥のように自由に
この世界をはばたく
恐がらずに neo universe

悲劇だとしても
あなたに巡り会えてよかった

背中合わせの絶望をゆだねて
信じていたい いつまでも

きれいな花のように笑って
星のように輝いて
この世界をはばたく
恐がらずに neo universe

生まれ変わる季節よ
切なすぎた季節よ
空のように一つに
結ばれよう neo universe




光が、強くなってきた。

犬の鳴き声、鳥の囀り。

眼窩で広がるであろう世界は、少しずつ動き出している。

急ごう。そう思った。

未だ見えない瞳を開く。

是からする事に恐怖は感じなかった。

風は、少しずつ暖かくなっている。

「今日の風には100点を上げるよ」

呟いて、微かに笑う。

そして、

私は飛んだ。




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知らないヒトははじめまして。
知ってるヒトは、こんにちは。
PELSONAです。

暫く投稿を…とか言ってたくせに、投稿してますね(笑)
って、今はそんな暇無いんだけど、思いついたから仕方ない、と言う事で。
えと、目の手術に失敗したから自殺しちゃったよSSです。
タチワルイな・・・(苦笑)
でも、起きないから奇跡、って言うんですし、起きちゃったら奇跡なんかじゃないですからね〜(をィ)
まぁ、気にしないで下さい。

タクSS作家さんなどがカキコしている掲示板。
どなたでも書きこんでいってください〜

http://cgi-space.to/~sin/bbs4/gagaga/denju.html

SSとは関係ない私のHP。
見るだけ時間の無駄です。

http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/mask/

それでは、また逢う日まで……