「教えてください。何故、浩平がいなくなるんですか?」 「その前に、挨拶だ。始めまして、長森さん。僕の名前は氷上。氷上シュンと言います」 「始めまして。私は長森瑞佳です」 日は、沈もうとしていた。遠くに見える山々の間に沈もうとする夕日は紅い。其処を中心として放射線上に空が茜色から、空色へとグラデーションを描いている。尤も、下半分はすでに隠れている為、空の頂点に向かって侵食している様だ。素直に綺麗だ、と思う。茜色の海を泳ぐ影が二つ、三つ。山のほうへ消えようとしていた。 「夕方のことを黄昏って言うよね?」 シュンは、突然話を切り出してきた。 「誰そ彼。夕日を背にしたシルエットは暗く、誰かがわからない。たそがれ、とは『貴方は誰?』と問いかけている言葉なんだ。又、降魔ヶ刻とも言うね。魔物が降りる時間。昔から夕日が沈む時間は境目に当たるんだよ。魅入られる、と言うように美しいものには其れこそ魔性と言っても良いほどの魅力があるからね」 シュンはそういって背を向け、夕日を見る。丁度沈もうとしている夕日と直線状に並び、彼の姿は黒いシルエットだけになった。瑞佳は少し、自分の座標軸をずらす。そして彼と同じように夕日を見た。確かに、魅入られてしまいそうなほど、夕日は美しかった。 「ごらん。あの夕日の彼方を。吸いこまれそうなほど綺麗で、永遠にたどり着けそうにもないほど遠くにある、そんな予感。あの向こうに、彼は消えようとしている」 「消える? 言っている意味が良くわかりません」 「彼の今の状態を、言葉で表そうとするとそうなる」 シュンは振り向くと言った。 「現象や感情等は言葉にすると正確さを失う。言葉自体が人が、人にものを伝える為に作られた一つの定義だからね。極めて近い状態を表すことは出来ても、其れは正確ではない。つまりは、本人以外は解らない、ってことさ」 『封印再度』 「私ね、時々思うんだ。浩平と出会ったのは偶然じゃないって」 幼き頃の盟約 「封印だよ。記憶の底に沈めているんだ」 盟約の開放 「…消えたのは貴方だけではありません」 開放を望む者 「私ね、この高校生活がずっと続けば良いな、って良く考えるよ」 望まない未来 「これは、元々俺の内側に出来た世界なんだ」 未来は…… 『WHO INSIDE』 「貴方は、何を望んでいるの?」 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 森博嗣の影響浮けまくりなPELSONAです。 なんとなく思いついたので、書いてみました。 もしかしたら、長編として続きを書くかもしれません。 でも、私は長編かいてると飽きてくるからなぁ… そうやって迷惑を掛けるのもアレなので、迷い中です。 全部書き終わって投稿っ! ってのは性格的に出来ないし。 反応を見ながら路線を変えるってことね。 だから、ね? 読んだ人は、忘れてください(をぃ) では…… http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/