私は、ココに立っている。 流れ落ちる雫を、見つめながら。 私は、ココで待っている。 通りすぎる風を、感じながら。 何時までも、何時までも。 帰る筈の無いあのヒトを、待っている。 詩子は言う。 「今日も待っているの?」 私は答える。 「……はい」 只、其れだけの会話。 同じ会話を、何回も、何回も。 朝がきて、夜がきて。 春がきて、秋がきて。 次の夏がきて、次の冬がきて。 また、新しい朝を迎えても、繰り返している。 ある日、私は気付いた。 詩子が、詩子の姿が大人びていることに。 其れまで気付かなかったのが不思議なくらい、変わっていた。 詩子は何時もの様に花を置くと言う。 「今日も、待ってるの?」 私は其れに答えず尋ねる。 「なんだか、随分と変わってしまいましたね」 詩子は自分の姿を見ると、 「もう、随分とたったからね」 私は自分の姿を見て、 「私は、変わっていません」 「其れはそうだよ」 と、詩子。 「どうして?」 と、私。 「其れは――」 「其れは?」 「――自分で気付いたほうが良いと思うよ」 と、詩子。 「――よく、解りません」 と、私。 詩子は微笑むと 「其れでも良いと思うよ」 そして、今も尚。 私は、待っている。 帰る筈の無い、あのヒトを。 私は、待ちつづける。 あのヒトの、帰りを信じて。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 息抜き、息抜き。 茜と詩子のお話でした。 うむ、実力不足は否めない。 次回は感想にします。 おそらくは。 http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/