きっかけは、偶然耳にした噂話だった。 「なぁなぁ、七瀬さんって確かに可愛いけどさ、可愛らしいとは違うとおもわねぇ?」 「あ、わかるわかる。 なんか、違うんだよなぁ〜」 「可愛らしいと言えば、折原がたまに連れてくるあの子…なんて言ったっけ?」 「繭、だろ?」 「ああ、其れ其れ。 あの子は可愛らしいよなぁ」 「ホントホント」 ショックだった…… 私は、可愛らしくないということ。 繭に、あの、繭にさえ負けているということ。 このままだと、乙女なんて夢のまた夢。 だから、私は決意した。 変わることを。 「よぉ、七瀬。 相変わらず暇そうだな」 朝。 間抜けな面をした折原が声を掛けてくる。 私は大きく息を吸いこむと―― 「みゅ〜〜〜〜っ」 可愛らしく、声を上げながら小走りに折原に駆け寄る。 そして―― 「みゅっ♪」 ぴょこんっ、と跳ねて折原の胸元に抱きついた。 そして其のまま、上目遣いに折原を見上げる。 「ふみゅぅ……」 我ながら完璧だ、と思う。 あの、繭を完璧なまでに模写したこの行動。 いや、すでに繭さえ超えてしまっているだろう。 「な、七瀬……」 うろたえる様に私の名を呼ぶ折原。 ふっ、と笑いがこみ上げる。 あまりに強力な私の可愛らしさに折原を悩殺してしまったかもしれない。 ごめん、瑞佳。 隣で同じように固まっている瑞佳を、横目で見た。 折原は、慌てて私から離れて、言った。 「キモチワルイ」 ――――――――――――――――――――――――― んー、と。 落ちがイマイチ弱いです。 じゃ、是からテスト勉強するし(笑) 感想は、次回。 http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/