innocent world  【episode [】 投稿者: PELSONA
今まで目の前に立っていた男が瞬時に肉塊に変わる。
悲鳴を上げることもなく、また、これからもあげることは出来ないであろう其れはどさりと倒れた。
郁未と晴香はもはや興味を失った其れの脇を通り抜けると門の内側へと入っていった。


「変ね・・・あれだけいた監視員が独りしか居ないなんて・・・」
「確かにそうね。もしかしたら罠かもしれない」
「でも、どちらにせよ、進むしか道はないわ。」
「ええ。慎重に行きましょう」


FARGO本部の建物へと続く山道。
かつては多くの教団員がひしめき合い、辺りに鋭い視線を投げかけていた。
が、郁未達が再び訪れたとき、そこには一人の監視員しかいなかった。
郁美達は其れを排除し、先へと進んでいったのだ。



一方、教団内の情報管理センターはにわかに騒がしくなっていた。


永遠の世界の具現化へのサポートに、侵入者の処理。
普段、起きることのないようなことが同時に進行しているのだ。
一方は、教主自らが指揮を行っているため、心配することは何もない。
だがもう一方。
侵入者の排除が大きな問題だった。


現在のFARGOで不可視の力を使用出来る物は13名。
教主と、その息子であるシュンを除けば11名になる。
内、未だ揃わない「神具」奪回のために動いている物が5名。
つまり、実質上の戦力は6名+教団員。
戦力では勝っていたが、相手が天沢郁未。
前、教主を葬った存在だと言うことが悩みの種だった。
もし、失敗したら自分は消されるかもしれない。
そんな恐怖が、彼に冷静な判断力を失わせていた。


「各戦闘員は独断で行動し、侵入者を始末しろっ!
 誰でもいい、奴らを殺せっ!!」



一方、天沢郁未は教主の間を目指していた。



「ねぇ、郁未」

晴香が突然問う。
郁未は顔だけを曲がり角から出し、前方の安全を確認している所だった。


「なに?」


そのままの状態で聞き返す。


「相手が不可視の力を使う物だった場合、どうするの?」
「どうする・・・って、倒すだけよ」
「私は一回、不可視の力を使える相手とやり合ったことがあるけど・・・
 力は同じ程度で、どちらも動けなかったわ。 そこをもう一人にやられたの」


その時を思い出したのだろう。
晴香は僅かに唇をかみしめる。


「大丈夫よ」


だが、そんな晴香の心配などお構いなしに郁未は言った。


「何故?」
「私の力の方が強いから」
「あのねぇ・・・そんな子供みたいな理屈、通用しないわよ?」


溜息と、少しの非難を帯びた目と共に言う晴香。
だが、郁未は続けた。


「貴方は不可視の力をどうやって使ってるの?」


突然のことに戸惑うが、晴香は答える。


「どうって・・・檻から猛獣を出すように慎重にその力を開放するのよ
 あの忌々しい男が無理矢理私に埋め込めた物を反対に操るの。
 操ると言うよりは押さえつけると言った感じね」
「・・・そう」


郁未は短く答えると、口を開く。


「私はその反対。眠っている彼に起きて貰って、私を助けて貰うの。だから・・・」


だから、私はあなた達とは違う。
愛しい、好きだった彼の分身を押さえつけたりするなんて出来ない。


そう、心の中で付け加える。
実際に葉子さんとやり合ったときも、彼女の力を簡単に押さえつけることは出来た。
それに、葉子さんよりも強い力を持つヒトがいるとは思えない。
彼と、その種族を除けば。


「・・・だから、大丈夫」


確信めいて断言する郁未に、晴香は何も言わなかった。
否、言えなかった。
ここに来た時点で、生きるか、死ぬかの選択肢しかないのだから。


「・・・わかった。先へ進みましょう」



そして二人は教主の間へと向かう。



郁未の宣言通り、一対一で郁未が負けることはなかった。
敵が2人で来たときは、一人を晴香が押さえつけ、もう一人を郁未が始末する。
そして、残った一人を同じように郁未が始末する。
郁未に頼りきってはいるが、二人は確実に教主の間へと近づいていた。


「ごめんね、足手まといで」
「急に何言ってるのよ」


移動中、急に晴香が言う。
おそらく、不可視の力を使える敵が来たとき、郁未に頼っていることを言っているのだろう。


「晴香のサポートがあるから、私は一人に集中できるのよ?
 私一人じゃとっくに死んでるわ」


場に不釣り合いな笑顔を除かせ、郁未が言う。


「・・・そうね」



教主の間はもうすぐそこだった。



「久しぶりだね」


そこで笑顔と共に現れたのは氷上と名乗っていた少年。


「悪いけど、今はここを通せないんだ。
 もう少し後で来てくれるかな?」



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・・・何が「三日以内に投稿したいな」だよ、俺(爆)
いろいろと忙しいんだよぉ・・・許してくれよぉ。
愚痴を言い始めるとこの後数行に及ぶのでこの辺りにしておきます。
この後、本当にちょっとだけどSS読んで感想投稿しますね。

「ふぁいとっ、だよ」

・・・幻聴?
あははーっ、そんなわけないですよねぇ。(笑)
それではーっ。

http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/