突然、里村茜がキレた。
それは世間一般で言うマジ切れという奴だ。
今まで、ちょっとすねてみたり、むくれてみたり、怒ったことは何度もあった。
それでも、何とか必死に謝れば許してくれたし、
反対に、怒っても謝れば許してくれる、そう思っていた。
でも、今回ばかりは駄目かもしれない。
もう、その怒り方からして、違うのだ。
たとえば、殺意の波動を出しているような。
たとえば、不動明王のような。
たとえば、柏○家の長女のような。
そんな、半端じゃない怒り。
「あっ、茜っ。この通りだっ、許してくれっ!」
「・・・・・」
「頼むっ!何でも言うこと聞くからっ!!」
「・・・・・」
「判ったっ!例の人形何個でも買ってやるからっ!!!」
「・・・・・」
「それとも、ワッフルかっ?いくつでも奢るからっ!!!!」
「・・・・・」
「茜ぇ・・・頼むから許してくれよぉ・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・一つだけ、条件があります」
「ほっ、本当かっ!!それで許してくれるだなっ!!!」
「・・・はい」
「そうかっ!判ったっ!!何でも言うことを聞くから教えてくれっ!!!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・大声で『パーマン、助けて』と叫んでください」
「・・・・・」
「・・・それで、許してあげます」
「・・・ここで・・・か?」
「はい」
「・・・ここが商店街の中心地でもか?」
「はい」
「今が放課後で、同じ学校の奴らが大勢いてもか?」
「はい」
「・・・どうしても、それじゃないと駄目なのか?」
「はい」
「・・・それを言わないと許してくれないんだな?」
「はい」
「・・・・・」
「・・・・・」
「パ・・・パーマン・・・た、助けて・・・」
「声が小さいです」
「・・・・・パッ、パーマーンっ」
「もっと大きな声で叫んでください」
「・・・・・」
「不服ですか?」
「・・・・・」
「厭なら、良いんですよ?」
「パーーーマーーーーンっ!!!!たーーーすーーーけーーーてぇーーーーっ!!!!!」
その日以来、浩平のあだ名は『パーマン』になった。
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ちょっと、やる気が戻ってきたかも。http://www.grn.mmtr.or.jp/~pelsona/